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(画像=相続サポートセンター)

相続は、人が死亡すると開始されます。

相続開始の手続きをしたから、または遺産分割協議が成立したから、相続が成立するわけではありません。

ですので、その人がいつ死亡したかはとても重要で、それによって相続人や相続分に影響が出たりすることもあります。

この記事では、死亡から相続開始までどのような流れになるのかを解説します。

相続の開始とは

相続の「開始」とはどのような意味なのでしょうか。

また、相続が開始されると法律的にどのような権利義務関係が発生するのでしょうか。

死亡すると

人は、死亡すると法律上の権利義務関係を失います。

そのため、その人の持っている財産や財産的地位は、相続によって受け継がれます。

死亡したままで、権利義務関係を保有しておくことも、あるいは財産を持ち続けることもできません。

その人が死亡したときにそれらの権利義務関係や財産、財産的地位はすべて相続によって一定の身分関係にある者に受け継がれることになっているのです。

ただし、一身専属権については、受け継がれません

一身専属権とは、その人でしか行使することができない権利や、あるいはその人でないと意味がない権利のことをいいます。

たとえば、親権や資格などがこれに該当します。

一身専属権は相続の対象となりませんので、その人が亡くなるとともにそれらの権利も消滅します。

相続の開始とは

相続とは、その人が持っている財産や財産的地位などについて、その人と一定の身分関係にある者が受け継ぐことをいうのですが、これはその人が死亡したときに開始されることになります。

何かの手続きをしたから開始されるわけではないことに注意が必要です

たとえば、不動産は、登記することによって、誰が所有者かわかる仕組みになっています。

もちろん不動産も所有物であり財産ですので、相続が開始されれば、相続人の所有物になります。

ですが、実際の登記手続きは、死亡後数ヵ月経ってからするということもよくあります。

ここで重要なことは、不動産の登記手続きが完了したから相続されたということではありません。

不動産の所有権は、死亡のときに相続されていて相続人に所有権は移っていることになります。

手続きは、その所有権が移っていることを確かなものにするために、事後行われているにすぎません。

また、遺産分割協議書の作成ができていないからといって、相続ができていないということにもなりません。

遺産分割協議は、どの財産を誰が相続するかについて話し合うものですが、これの成立が相続の成立ではありません

死亡のときに、遺産は相続人の共有財産となります。

その後、その共有財産を誰がどの持ち分をもらうかを遺産分割協議によって決めるということになります。

このように相続人が複数いる場合は、死亡のときから遺産分割協議の成立まで、遺産は相続人の共有財産となるのです

相続人がいなかったときは

もし、相続人が誰もいない場合はどうなるでしょうか。

相続人が誰もいない場合、利害関係人や検察官の申し立てによって、家庭裁判所は相続財産管理人を選任します

相続財産管理人は、官報に公告することで、債権者や相続人がいないかを確認します。

そこで相続人が現れないと相続人不存在が確定します。

相続人不存在が確定すると、その後相続人が現れても、相続人の権利を主張することはできなくなります。

相続人不存在が確定すると、生計を同一にしていた者や、亡くなった人の療養看護に努めていた者などの特別縁故者は、家庭裁判所に遺産の全部または一部をもらうことを申し立てることができます。

もしも、これらの手続きによっても残った遺産があれば、それは国のものとなります。

相続開始後の流れ

相続が開始された場合、その後相続人は、どのような手続きを取る必要があるのでしょうか。

また相続したくない場合は、どうすればいいのでしょうか。

その流れを解説します。

死亡後の手続き

ある人が亡くなった場合、身内や親族は、死亡の事実を知った日から7日以内に死亡届を提出する義務があります

この死亡届には死亡診断書の添付が必要となります。

死亡診断書は、医師によって記載されるものになります。

死亡診断書に記載された時刻が死亡時刻となり、相続の開始は、その時刻に発生したことになります。

交通事故でも病院で息を引き取ったときは、死亡診断書が作成されますが、事故現場で死亡する場合もあります。

この場合は死体検案書が作成されます。

失踪宣告

生死が不明で生きているのか死んでいるのかがよくわからないという場合があります。

このようなとき失踪宣告をするという方法があります。

その者の生死不明状態が7年間続いているときは普通失踪といい、船の沈没や飛行機事故、あるいは戦争などでの生死不明状態のときは、その危難が去った後1年間生死が明らかでないときを特別失踪といいます。

関係者は家庭裁判所に申し立てることによって失踪宣告をしてもらうことができます。

失踪宣告があると、普通失踪の場合は、失踪期間の満了したときに、特別失踪の場合は、危難の去ったときに死亡したものとみなされます

そしてこの死亡したとされるときに相続が開始していることになります。

相続により確定すること

相続が開始されると、相続人とその相続人の相続分が確定します。

相続人とは、法律により、その人が死亡したときに誰が相続人になるのかが決められており、この法律によって相続人になる者のことを法定相続人といいます。

また、相続分についても、相続人が誰になったかが決まれば、その相続割合も決まり、この割合のことを法定相続分といいます。

死亡したときに、この相続人と相続分が確定しますので、いつ死亡したかという事実はとても重要になります。

なぜなら、ある人が死亡したときに、その相続人となる者がすでに死亡していたのか、それともそのときは生きていたけれど、その後死亡したのか、という違いでも、それぞれの相続分がかわったり、あるいは代襲相続できたのか、それともできなかったのか、という問題があるのです。

代襲相続とは、相続人となる者が、相続が開始したときにすでに死亡していた場合、その子どもがかわって相続できる仕組みのことをいいます。

つまり、相続人がいつ死亡したかによって、誰が相続できるのかが決まりますので、死亡日時は相続においてとても重要なことになるのです。

相続の開始から相続人がすべき手続き

相続人が複数いる場合、その相続財産はいったん相続人全員の共有財産となります。

その後、その共有財産について、遺産分割協議をし、誰がどの遺産を所有するかを話し合いで決めていくのですが、その前にその遺産について相続するのか、それともしないのかの選択をする必要があります。

なぜなら相続財産はプラスの財産のみではなくマイナスの財産についても引き継ぐ必要があるからです。

借金だらけの財産を引き継ぎたいと思う人はいないでしょうし、その場合は相続放棄をする必要があります

あるいはプラスの財産もマイナスの財産も複雑に入り組んでいて、瞬時に判断がつかない場合もあります。

こういった場合は、家庭裁判所に限定承認の申し立てを行うことで、マイナスの資産よりプラスの資産が多い場合に相続することができるようになります。

この相続放棄の申し立てや限定承認の申し立ては相続の開始を知った時から3ヵ月以内に行う必要があります

これは死亡したときから3ヵ月以内ではありませんので注意が必要です。

つまり、ある人が死亡してその死亡を知らずにいた場合は、この「3ヵ月以内」にはカウントされません。

では、相続の開始を知ったときから3ヵ月以内に相続放棄や限定承認の申し立てをしなかった場合、どうなるのでしょうか。

この場合、相続人が相続を承認したということになります。

これを法定単純承認といいます。

相続が承認されれば、死亡した人の権利義務関係のすべてを相続開始のときから引き継いだものとなります。

ですので、相続放棄する場合や限定承認する場合は、相続の開始を知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があり、もし何もしないでいると、相続が単純承認されることになってしまいます。

また、相続人は自身で相続することを認める単純承認もあります。

単純承認も承認すれば、法定単純承認と同じで、死亡した人の権利義務関係のすべてを相続開始のときから引き継いだものとなります。

また、法定単純承認には、限定承認や相続放棄の手続きをしなかった場合のほかに、相続人が相続財産を処分したときや、相続人が相続財産を隠匿し消費したとき、悪意で相続財産の目録中に記載しなかったときなどについても承認したことになります。

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相続にとっての重要な死亡日時

相続は、その人が死亡した時、法定相続人が生きているのか、死んでいるのかによって、相続人や相続分に影響がでます。

ですので、いつ死亡したのかという情報が大事なのです。

相続人が死亡していた場合

ある人が亡くなった時に、その相続人となれる人がすでに死亡しているというようなことがあります。

その場合、代襲相続ができる場合があります。

たとえばある人が亡くなった時にすでに相続人であるはずの息子も亡くなっていたとします。

そのようなとき、その息子にはさらに子ども(亡くなった人にとっては孫にあたります)がいた場合、この子どもは代襲相続をすることができます。

代襲相続ができるのは、相続人が子どもであった場合のその子ども(孫)と、相続人が兄弟姉妹であった場合のその子ども(甥や姪)となっています。

たとえば、父A、息子B、孫Cといる場合、息子Bが父Aより先に亡くなった後、父Aが亡くなったとします。

このとき、Aの孫であるCはAの財産を代襲相続することができます。

ここで、息子Bには配偶者Dがいたとします。

しかし、配偶者Dは相続人となることはできません。

また、孫Cにさらに子どもがいた場合で、孫Cも亡くなっていた場合、再代襲といってこの子どももさらに代襲相続することができます。

ですが、兄弟姉妹の子どもが相続人となった場合は、再代襲はありません。

このように死亡した人が死亡した時に誰が生きているのか、亡くなっているのかによって相続人と相続分が決まります。

脳死か心臓死か

近年、脳死は死亡とされるかどうかで争いがあったりします。

もちろん倫理上の争いや、医学上の争いでもあるのですが、相続という法律問題においても、死亡の時期というのは重要になりますので、脳死等の問題もどのような解釈をするかというのは、重要な問題になってくるのです。

ただこの点については、現在それほど事例がなく判例もありませんので、これからの課題となっていくところになります。

まとめ

人が死亡すると相続が開始されます。

相続は何かの手続きをしたから開始されるわけではなく死亡したときに開始され遺産は相続人の共有財産となります。

相続人がいないときは利害関係者や検察官の申し立てによって家庭裁判所は相続財産管理人を選任し、この相続財産管理人は公告等必要な処置を取り、相続人不存在を確定します。

相続人不存在が確定すれば、特別縁故者は、家庭裁判所に遺産をもらい受ける申し立てを行うことができますが、特別縁故者がいなかったときや、遺産を分けても残った遺産がある場合は国のものとなります。

死亡は死亡診断書に記載された日時に死亡したこととなりますが、事故現場で死亡した場合は死亡検案書が作成されます。

また、生死が不明の場合は失踪宣告をすることができ、失踪宣告がされた場合は死亡したものとみなされます。

相続が開始されると相続人は相続放棄する場合や限定承認する場合は相続の開始を知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。

この相続放棄や限定承認の申し立てをしないで3ヵ月が経過すると相続を承認したものとみなされます。

ある人が亡くなった日時は、相続人が亡くなった日時との関係において相続人や相続分に影響が出ますので、とても重要となります。
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