民事再生の申立て条件

民事再生の申立てを行うことができるのは、次の2つの場合です。

・債務者に破産手続開始の原因となる事実が生じるおそれがあるとき
・債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済できないとき
出典: e-GOV 法令検索 民事再生法21条

民事再生は会社の再建を目指す手続きであるため、支払不能や債務超過の状態に陥る前に手続きを開始することを認めています。そのため、手続き開始の原因となる事実そのもの(支払不能、債務超過)がなくても、破産の「おそれ」や債務の弁済ができなくなった場合に申し立てることができます。

ただし申立てができる場合も、「再生計画案」が可決されなければ、再生計画をスタートすることはできません。 再生計画案の可決には、議決権者の過半数の同意かつ議決権総額の2分の1以上の議決権を有する者の同意が必要です(民事再生法172条の3第1項)。

民事再生は、申立て自体は破産手続きに比べて簡単に行える反面、再生計画をスタートさせるにはハードルが高い手続きであると言えます。

民事再生が棄却される場合

民事再生の申立てができたとしても、民事再生法25条の棄却事由が認められる場合には、申立ては開始決定前に棄却されます(民事再生法25条)。民事再生法25条の棄却事由は、次の通りです。


・再生手続の費用の予納がないとき
・裁判所に破産手続又は 特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき
・再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき
・不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき
出典: e-GOV 法令検索 民事再生法25条

そのため申立てを行う際は、事前に再生計画案の検討を十分に行うことが求められます。 見切り発車で申立てをしても、費用が準備できない、もしくは実現可能性のある再生計画を示すことができず、申立てが棄却されてしまう可能性が高いでしょう。

民事再生を進めるポイント

民事再生を進める上で気を付けたいポイントは、以下の通りです。

開始決定前の棄却を防ぐ

民事再生を実現するには、前述の「棄却」を回避しなくてはなりません。

実現可能な再生計画案を作成する

債権者の同意が得られるよう債権者に配慮しつつ、無理な返済計画とはならない実現可能な再生計画案の検討について、申立てを検討する段階から着手することが大切です。そして、手続きの流れに応じて、内容を順次ブラッシュアップしていくことが理想的です。

経営戦略を策定し、資金繰りの流れ・予定を明確にする

民事再生の申立てから再生計画が認可されるまでは、おおよそ半年ほどの期間を要します。その間、既存の取引先との信用取引や金融機関からの新たな融資は見込めないため、申立てから再生計画が認可されるまでの資金繰りの流れ・予定を明確にしておくことも重要なポイントと言えます。