これで上司にヒイキにされる? 上司との距離をグッと縮めるたった1つの質問
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

(本記事は、岡田 洋介氏の著書『評価される人になる技術』=ぱる出版、2023年9月25日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

目標設定の際に評価を高めるたった1つの質問

目標設定を行う際にありがちなのが、あなたが設定した目標と上司が考えている目標との間の乖離です。自分の中ではチャレンジングな目標を掲げているつもりが、上司にはそう見えないケースや、上司が高い目標を部下に押し付けてくるケースなどがあります。これは、部門目標の達成を中心に考えている上司と、個人として目標を達成することを中心に考えている部下との間で生まれるギャップです。

こういった場合、目標設定の面談では、お互いに気を遣いながらギャップを埋めるところから始めるということになります。

では、その際には、どんなことに注意すればよいのでしょうか。

ここでは部下であるあなたができる対応法を伝授します。ここでのポイントは、ギャップを埋めることに注力しないことです。ある意味、逆転の発想が必要で、ぜひこう尋ねてみてください。

「上司である○○さんの目標達成のために、私ができることは何ですか?」

部下であるあなたが上司に贔屓にされるためには、上司の期待を理解することが重要です。その際に大切なのは、上司に寄り添うという姿勢です。上司は部門目標を課せられており、プレッシャーを感じています。

部下に頑張ってほしいと思う反面、こんな目標を設定したら部下のモチベーションを下げてしまうのではないかという不安を感じていることは意外と多いものです。部下は部下で、達成できそうな個人目標にしたいですから、せめぎ合いが生じます。そのやりとりが長くなるほど、お互いにストレスがかかってしまいます。目標設定の場が上司と部下の対立の場になります。これから今期を頑張ろうというスタートラインに立つ時点で、険悪なムードになるというのは、笑い話にもなりません。

そんな時に、先のような質問をあなたがしたら、上司はどのように思うでしょうか。自分のことしか考えていない部下と上司の不安に寄り添ってくれる部下、どちらが上司にとって嬉しいと思えるかは言わずもがなです。「あなたのために自分ができることを教えてください」と寄り添う姿勢は、上司が具体的に期待していることを理解できると同時に、お互いにやさしい気持ちが伝播します。結果として、余計なストレスが減ります。いかに目標を下げるか、いかに自分が楽をするかを前面に出してくる部下が多い中、上司の期待や不安を受けとめようとするあなたは、上司にとって特別な存在になります。

一方で、こんな質問をしたら、これ幸いと達成できないくらいの高い目標を課してくるのではないかと不安になる人もいるかもしれません。高く設定されると困りますし、上司の評価が低くなるのを恐れて、仕方なく受け入れてしまうのも嫌ですよね。

しかし、ほとんどの上司はこのような部下に、無理難題は言いません。なぜなら、手放したくないですし、嫌われたくないと思うからです。

とはいえ、ラッキーと思って無理な目標を押し付けてくる上司も稀にいます。実際は、この質問後に高い目標を設定する上司は、質問がなくても高い目標を設定してくることが多いので、この質問を使うこと自体がデメリットになるわけではありません。

もし、あなたが想定していたよりも高い目標を上司から期待されたら、次のステップを試してみましょう。

【Step1】寄り添う姿勢を見せる
「私ができることは何ですか?」

【Step2】なぜその目標が大切かを確認する
「なぜ、その目標が必要かの背景や目的を理解したのですか?」

【Step3】頑張りたい意思を伝えつつ、自分の力不足を素直に伝える
「何とかしたいと思いますが、自分ひとりでは難易度が高いような気もしています。達成に向けた具体的なサポートもお願いしてよいでしょうか」

前向きに努力する姿勢があるかどうかが、まずは上司の理解を得る上で必要不可欠です。上司が期待しているのは、結果の前に頑張る姿勢があるかどうかです。だから、努力する姿勢をまずは見せましょう。その後に、不安な気持ちとともに、アドバイスを求めましょう。これは順番が大切です。

先に不安から伝えると、上司は言い訳をされているように感じます。でも、前向きな姿勢の後であれば、上司も素直に受け入れられますし、サポートをしたくなります。

上司もアドバイスができない場合は、受け取った目標は難易度が高いということです。その事実を理解してもらいやすくなります。

評価される人になる技術
岡田 洋介
株式会社アクティベーションコンサルティング代表取締役
人事評価コンサルタント、経営人事コンサルタント、組織開発コーチ(日本で約200名のORSCC有資格者)

早稲田大学商学部卒業後、日本ブレーンセンター(現:エン・ジャパン)に入社。約100名の組織が1500名規模の一部上場企業に急成長するまで、様々な軋轢やトラブルを組織内部にて経験しながら、20年に渡りその成長を支える。在籍時は、経営人事のトップコンサルタントとして、管理職教育を含む研修実績は延べ400開催以上、人事評価に関しては延べ100社以上の指導を行う。
2018年に独立。1万枚以上の評価シートを実際に指導する中で、評価されている社員がやっていることを整理。さらに現在は、日本では200名しかいない組織開発コーチングの有資格者(ORSCC)としての活動も行い、「心理的安全性」「共感的な対話」「自分と向き合う勇気」をテーマにした研修やセッションも数多く開催している。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます