(本記事は、岡田 洋介氏の著書『評価される人になる技術』=ぱる出版、2023年9月25日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
上司のタイプ別攻略法
人には、シックスヒューマンニーズ(六大欲求)があるという考え方があります。それは、「安定感の欲求」「不安定感(自由)の欲求」「重要感の欲求」「一体感の欲求」「成長の欲求」「貢献の欲求」の6つです。
これらの欲求に良い悪いはありません。人間であれば誰でも持っています。しかし、人によってどの欲求を強く持っているかは異なります。だからこそ、上司の欲求を理解することは、評価を高める上で非常に重要です。
これらの欲求の中でもベースとなる、「安定感の欲求」「不安定感(自由)の欲求」「重要感の欲求」「一体感の欲求」の4つに焦点を当て、それぞれを強く持っている人のタイプの説明、対応方法、どのように仕事をすべきかを見ていきます。
「安定感の欲求」
●タイプ:安全や安心を好みます。慎重であり、実績を重視します。先が見えないことには不安を感じやすく、計画や管理できないことが苦手です。目に見えることを大切にする傾向があり、調和を好みます。未来よりも現実的な考えに即した行動を取ります。
●対応方法:大きなチャレンジは求めていません。失敗するくらいなら安定的に仕事をきっちりとしてほしいと感じています。無計画で突拍子もない仕事をされるのを嫌うため、上司の管理下で進捗をきちんと共有することが大切です。報告や相談などこまめなコミュニケーションを行うと安心してもらえます。
●仕事ぶり:上司の期待を正しく把握し、ミスなく、着実に進めることが大切です。計画的かつ安定感のある仕事が評価されます。ローリスク・ローリターンであることを確認しながら仕事を進めていくことが必要です。前例にないやり方よりも、実績のあるやり方を好みます。
●この上司が多く見られる業界:官公庁、役所、銀行、医療関係
「不安定感(自由)の欲求」
●タイプ:好奇心が旺盛で、新しいことや変化を好みます。感性や感覚に従って行動するため、自由奔放に見られます。仕事や自分の行動にワクワクできるかどうかが大切であり、常に刺激を必要とします。反面、同じことを続けると飽きてしまう傾向があります。
●対応方法:未来の話や熱い話が大好きですし、やるなら楽しむことが大切です。飲み会など、上司と想いを語る場を持ちましょう。新しいことや未知のことを好むため、そういった情報にアンテナをはり、積極的に共有するとよいでしょう。
●仕事ぶり:安定よりも、刺激や変化を求めるため、仕事をどんどん工夫や改善していく姿勢が必要です。チャレンジして失敗するくらいが丁度良く、トライアンドエラーを積極的に行いましょう。
●この上司が多く見られる業界:クリエイター、エンタテイメント、芸能、広告
「重要感の欲求」(=承認欲求)
●タイプ:自分の中に明確な基準を持っており、その基準で物事や人を評価していきます。部下の行動が、自分の基準に照らして、良いか悪いか、正しいか間違っているかで評価をします。人から重要と思われたり、すごいと思われたりしたいと思っています。
●対応方法:まずは、上司の評価基準を理解しましょう。何を重視し、何にこだわっているかを理解することが大切です。可能であれば、なぜこだわっているのかの背景まで理解し、そこを理解している姿勢が伝わると関係が良くなります。上司の言動に対して、「さしすせそ」で褒めることも効果的です(「さすがですね」「知りませんでした」「すごいですね」「センスいいです」「そうなんですね」)。
●仕事ぶり:論理性や効率を重視する傾向が強く、無駄を嫌うので、ロジカルな仕事の進め方が求められます。事実に基づいて動きたいため、数字や根拠を多く活用するようにしましょう。常に、目的を意識した姿勢を見せると安心してもらいやすくなります。
●この上司が多く見られる業界:建築業、不動産業、※経営者に多く見られる
「一体感の欲求」
●タイプ:チームとしての一体感を求めており、コミュニケーションを重視します。共感やつながりを大切にしたいという気持ちが強い傾向があります。親密さや絆を生む行動を好み、相手のことを受容することが多いタイプです。
●対応方法:気遣いや配慮の心を大切にしており、日常からそういった関わりを大切にしましょう。仲間であることを強く好むため、上司ではなく仲間として一緒に行動することで安心します。雑談などコミュニケーションの時間を意識的に多くし、対話することを心がけてみましょう。自分の気持ちや感謝などを口にすることも効果的です。
●仕事ぶり:人間関係やモチベーションを大切にしているため、思いやりや配慮、共感や笑顔を意識しましょう。心配ごとや悩みを積極的に伝えることもよいでしょう。チームワークを重視するため、周囲との情報共有をこまめに行い、一緒に進める姿勢を見せることがオススメです。
●この上司が多く見られる業界:飲食業、小売業、接客業、人材サービス業、保育園
これらの欲求はあなたも上司も持っています。ただし強弱があるため、あなたが大事にしたいと思っていることと上司が大切にしたいことが一致しないことがよく起こります。上司の満足度を高めて評価される人材になるためには、あなたの上司がどのタイプであるかを知った上で、上司の期待に合わせていくということが必要となります。
人事評価コンサルタント、経営人事コンサルタント、組織開発コーチ(日本で約200名のORSCC有資格者)
早稲田大学商学部卒業後、日本ブレーンセンター(現:エン・ジャパン)に入社。約100名の組織が1500名規模の一部上場企業に急成長するまで、様々な軋轢やトラブルを組織内部にて経験しながら、20年に渡りその成長を支える。在籍時は、経営人事のトップコンサルタントとして、管理職教育を含む研修実績は延べ400開催以上、人事評価に関しては延べ100社以上の指導を行う。
2018年に独立。1万枚以上の評価シートを実際に指導する中で、評価されている社員がやっていることを整理。さらに現在は、日本では200名しかいない組織開発コーチングの有資格者(ORSCC)としての活動も行い、「心理的安全性」「共感的な対話」「自分と向き合う勇気」をテーマにした研修やセッションも数多く開催している。
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