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デジタルマーケティング市場は引き続き拡大、2023年は3,167億5,000万円に成長見込

~コロナ禍を経てデジタルマーケティングツールの導入が拡大、CRM、MAでは中小企業での活用が進む~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のデジタルマーケティング市場を調査し、市場概況、参入企業の動向や将来展望を明らかにした。ここでは、CRM、MA、DMP、CDP、ABM、動画制作ツール市場の市場規模推移・予測について公表する。

デジタルマーケティング市場規模推移・予測

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1.市場概況

2022年の国内のデジタルマーケティング市場規模(事業者売上高ベース)は、2,828億円と推計した。また2023年の同市場規模は、3167億5,000万円に成長すると見込む。市場拡大の背景には新型コロナウイルス感染症が拡大して以降続いているユーザーのデジタルシフトが挙げられる。従来デジタルマーケティングに対して積極的に投資を実施してきた大企業に加えて、中小企業によるツールの活用も進んでいる。

また、個人情報保護の観点から3rd Party Cookieの規制が強化されている影響も大きい。ユーザーでは自社で収集できる1st Party Dataを活用することで、顧客に対してパーソナライズされた体験を提供することに注力するようになった。こうした点も市場拡大の追い風となっている。

2.注目トピック

CRM、MAでは中小企業での導入が進む

従来、CRM、MAといったツールは、デジタルマーケティングに対して積極的に投資を行うことができる大企業を中心に導入が進んでいた。しかし、コロナ禍に入り、企業規模に関係なく営業活動のデジタル化やITツールを活用した業務効率化といった取り組みが活発化した。対面での営業が難しくなったことからウェビナー参加者や自社サイト訪問者から見込み顧客を獲得したり、ツールを活用した顧客管理をすることが重要となった。これにより、中小企業や地方企業などデジタルマーケティングツールの活用が比較的遅れていた企業でもツールの導入が一気に進んだ。こうした市場の流れを受け、これまで大手企業を中心に展開してきたベンダーも中小企業向けの提供を検討するようになっており、市場の裾野が広がっている。

また、ユーザー内部で様々なツールの導入が進むことで、これまで以上にツール間の連携のしやすさが重視されるようになった。数あるツールの中からユーザーは自社に最適なものを選択する。しかし、それらのツールに蓄積されたデータをツール単体で活用するのではなく、マーケティング活動を通して活用することで顧客に対して一貫したサービス提供を実現することが望ましい。こうした背景からベンダー各社では自社以外のツールとの連携も強化すべくエコシステムの構築に取り組んでいる。

3.将来展望

デジタルマーケティング市場は、今後順調に拡大する見込みである。デジタルシフトによって、ユーザーにおける顧客との接点は多様化している。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響による不安定な情勢が落ち着いてきていることで、オフラインでの営業が再開してきている。ユーザーは大量のチャネルからデータを収集することが可能となるが、それらを十分に活用していくにはツールの利用が不可欠になっていくとみる。

また、多くのベンダーで生成AIの組み込みを実施している。具体的にはメール文の自動生成、分析のアシスト、レポートの自動作成、広告の構成案の生成など活用方法は幅広い。今後、生成AIの更なる活用によってユーザーにおける利便性の向上や更なる顧客体験の向上の実現が期待される。

こうした背景からデジタルマーケティングツールの導入は今後も加速していくことが期待される。

調査要綱


1.調査期間: 2023年4月~7月
2.調査対象: CRM、MA、DMP、CDP、ABM、動画制作ツールベンダー等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、一部電話やメールによる調査、ならびに文献調査併用
<デジタルマーケティング市場とは>
デジタルマーケティングツールとは、企業がデジタルマーケティングを実施する際に活用するソフトウェアやアプリケーションを指す。本調査におけるデジタルマーケティング市場では、MA(Marketing Automation)、CRM(Customer Relationship Management)、DMP(Data Management Platform)、CDP(Customer Data Platform)、ABM(Account Based Marketing)、動画制作に関するツールを対象とする。なお、各ツールの定義については以下の通りである。
(1)MA
大量の見込み顧客(既存顧客を含む)を一元管理した上で評価を行い、設計したシナリオに基づいて個別に育成することで確度の高い商談を創出するツール。
(2)CRM
顧客との関係性を構築するために顧客の個人情報、問い合わせ履歴などの情報を管理するツール。具体的には以下のような機能を有するものを指す。
・SFA(セールスフォースオートメーション)
・Call Center(コールセンター)
・Marketing Analytics(マーケティングアナリティクス)
・Field Support(フィールドサポート)
本調査で選定したCRMツールはこれら機能を一部分のみ有するものやその他の機能を有するものも含まれている。
(3)DMP
インターネット上のユーザーの行動履歴や属性情報など様々な情報を蓄積・管理するプラットフォーム。DMPは主に3rd Party Dataを管理するパブリックDMPと1st Party Dataを管理するプライベートDMPに分けられることがあるが、本調査ではパブリックDMPをDMPとし、プライベートDMPについては以下のCDPに含むものとする。
(4)CDP
複数のチャネルで蓄積していた顧客データを収集・統合・分析するためのプラットフォーム。
(5)ABM
企業のABMを支援するツール。主に自社にとって高い価値を持つ特定のアカウント(企業・団体)を選定する機能を有する。
(6)動画制作ツール
広告や商品紹介などビジネス用途の動画を制作・編集するためのツール。
<市場に含まれる商品・サービス>
MA、CRM、DMP、CDP、ABM、動画制作ツール

出典資料について

資料名2023年版 デジタルマーケティング市場の実態と展望 ~マーケティング手法の多様化におけるツールの活用実態~
発刊日2023年07月28日
体裁A4 192ページ
価格(税込)253,000円 (本体価格 230,000円)

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