遺産相続の手順,相続争い,相続税の納めすぎ
(写真=ベンチャーサポート法律事務所編集部)

相続が、争族になってしまわないために事前に対策を立てる必要があります。

相続対策というと、何か難しいことを想像される方も多いと思われますが、実際の方針は実にシンプルです。

今回は、遺産相続でもめず、相続税を必要以上に支払う必要がないように、どのような方針で対策を立てたらよいのかという点をご紹介します。

相続対策で重要なことはたった3つ

残された相続人が争わないための対策

まずは、親族の仲に亀裂が入らないように、遺言などで誰が何を相続するのか決めておくことです。

一番やっかいなのは、そもそも仲が良い親族どうしなので相続争いなど起こるはずがないと思いこみ、遺言も何も残さず相続が始まってしまうことです。

というのも、仲が良い親族どうしであっても相続争いが起こることは十分にあり得るためです。

相続は、普段手にしない大金や資産が手に入るチャンスでもありますし、被相続人(お亡くなりになった方)へのいろいろな思いが吹き出してしまう場面でもあります。

普段は仲がよさそうに見えていた親族であっても、「自分のほうが親のことを気にかけていたのだし、いろいろな手伝いをしたのだから遺産を多くもらえて当然である」と主張することはあり得ます。

支払う相続税の金額を減らすための対策

相続税は、期限内に申告するだけでもさまざまな控除を受けることができます。

ただし、期限内に申告書を提出しなければなりませんので、遺産分割協議で意見がまとまらず長引いたりすると申告期限に間に合わなくなります。

さらに、事前に対策を立てておくことで相続税の金額そのものを減らすことができます。

例えば、相続が起こる前に物件を購入し、他人に貸し出すなど、今ある資産の形を変えることで節税をするということが可能なケースがあります。

具体的にどのようなケースで、どれだけ節税の効果があるのかという点については、税の専門家である税理士に相談する必要があります。

というのも、税に詳しくない人が節税対策をした場合、一部では節税になっていてもトータルで見ると節税にならないばかりか、かえって税負担が増えてしまうということがあるためです。

税制度はとても複雑です。

専門家の力を借りましょう。

相続にかかる費用を用意しておくための対策

相続には、お金がかかります。

具体的には、相続税の支払い、分割しづらい資産がある場合の代償分割のための資金などが必要になります。

司法書士や税理士などの力を借りる場合は、報酬を支払う必要があります。

もし、相続税の支払いの対策もせず、代償分割の対策もしないままに相続を迎えてしまった場合、相続にかかるさまざまな資金は相続人が用意しなければならず、大変な負担になります。

相続にかかる資金を準備する方法の中で代表的なものは、生命保険の活用です。

また、代償分割を考える場合は、遺言で分割方法を指定しておくことも重要です。

たとえば、証券は長男にあげたいが、もらえなかった弟のほうにはそれに代わる資金が渡るようにするということです。

とある人に家を残したいが、それをすると他の人はほとんど何ももらえなくなってしまうという場合でも、何ももらえない人に向けて何かしら得られるように事前に対策をしておきます。

このような対策がないとどうなるかというと、遺留分侵害請求をされる可能性があります。

遺留分は、相続人の権利です。

何ももらえなかった相続人は、最低限もらえる遺産分を請求し、取り戻す可能性があります。

結果として、遺産をもらえた人はそれを手放して請求に応じざるを得なくなるかもしれません。

3つの相続対策の柱を活用する

相続対策で重要なことは、「残された相続人が争わないための対策」「支払う相続税の金額を減らすための対策」「相続にかかる費用を用意しておくための対策」の3つです。

これらを細かく分けていき、具体的に何をすればいいのかリストアップしていくことで、今後すべきことが明確になります。

遺産相続の手順,相続争い,相続税の納めすぎ
(画像=ベンチャーサポート法律事務所編集部)

自分でも相続について学び、知識をある程度身に着ける必要があります。

また、細かい点についてはそれに詳しい専門家にアドバイスを求め、よりよい対策を立てていくと良いでしょう。

相続をされる側として、できるだけのことをして、残された人が困らないように対策できればベストです。

まとめ

今回は相続対策に重要な3つの観点をご紹介しました。

まずはこの3つの方針を中心に据え、具体的にどうするかを考えていくことでポイントを押さえた効率のよい相続対策をすることが可能です。

相続対策は、資産が少ない、相続人が少ないという場合でもしておくべきです。

資産が少なく、相続人も少ないからといって争いが起こるリスクはゼロではないためです。

相続人が複数いるという時点で、争いが起こるリスクはあると考えましょう。

リスクは、それに応じた対策をとることで減らすことが可能ですので、早めに対策を打ちましょう。(提供:ベンチャーサポート法律事務所