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産経ニュース エディトリアルチーム
株式会社タカサキホームズは、アパートからマンション、戸建て、店舗、事務所など幅広く仲介や売買事業を展開し、新しいチャレンジを続けて安定した経営を続けている。事業継続の観点から、データバックアップなどのICTシステムを導入したばかりで、今後もICTを活用して業務拡大に生かしていく方針だ。(TOP写真:タカサキホームズの外観)
仲介、売買とも総合的に扱う。実績を積み上げ、公職に就き信頼性を向上
株式会社タカサキホームズは、1992年に竹内昭久代表取締役がそれまで5年間勤めていた不動産会社から独立し、28歳の時に創業した。ただ、当時はバブル経済崩壊後で不動産市況も極端に悪化しているなど、「どん底からのスタートだった」(竹内社長)と振り返る。当初は仲介がメインだった。1社で仲介契約をまとめた場合、売り手・買い手双方から手数料が入るが、竹内社長は手数料が半分になったとしても同業者と協業して案件をまとめていき、着実に実績を積み上げていった。
現在では不動産の仲介、売買とも総合的に扱う。新規の物件情報については、月に1回、同業者約25社による会合の場を持ち、情報交換や法律関係の勉強の場を通じて取得するほか、地元の農家や自身で築いた人脈等からの不動産情報を駆使し事業を軌道に乗せた。
こうした実績を積み上げていく中で、竹内社長は現在、群馬県宅地建物取引業協会の理事や、同協会高崎宅建支部の副支部長を務めるほか、地元地域の、区長、民生委員を任されるなど公職に就いている。そうして会社としての信頼性を高めたこともあって、不動産関連の情報もより自然と入ってくるようになったという。
10棟程度の物件を自社保有、経験を生かし顧客への土地活用や相続対策の相談を強化
地元出身の竹内社長の実家は代々農業や造園業などを営(いとな)み相応の土地を保有していたこともあり、現在ではアパートやマンション、戸建て、オフィスなど10棟程度を自社で保有。その賃貸収入が安定財源となっている。こうした経緯の中で自身の相続対策も経験したことから、顧客に対しても土地活用や相続税対策などの相談に乗り、ビジネスにつなげていることも強みだとしている。
不動産業は週に1日を休業としているところがほとんどだが、タカサキホームズはホームページ(会社概要)でも年中無休としている。「休みの日でも重要な情報は自分の携帯電話にかかってくる」(竹内社長)と、顧客重視の姿勢を崩さない。コロナ禍によって商談延期などの例もあったが、それほど影響は大きくなかったという。それよりも、建設関連の資材費上昇による影響の方が心配だという。高崎市の不動産業者は群馬県内で一番多い上に現在も増え続けており、競争激化の中でのコスト上昇が懸念材料だ。
20年前からホームページを開設。時代の変化に合わせて不動産の売買や不動産の取得・運営モデルに注力
竹内社長は約20年前、「いち早くホームページを開設」するなどネット活用を進めていた。当初は紙からインターネットへのシフトで他社との差別化にもなっていたが、インターネットの普及により他社も続々と参入。ホームページは、良好な物件を探してアップすればすぐに反応はあるが、費用対効果も低減してきたという。そのため、当時よりプログ,SNS等に力を入れ、今も継続して差別化を図っている。
また竹内社長は、不動産の売買や自社で実践している『取得した土地に賃貸アパート・マンションを建てて管理・運営するビジネスモデル』を顧客に提供していく、と将来像を描く。
パソコンの故障でバックアップの重要性に気づく。NAS導入で課題を解消
ホームページの導入では先駆けたものの、その後の大幅なシステム更新はしていなかった同社に、2023年3月にアクシデントが起きる。竹内社長のパソコンに不具合が起き、契約書などの文書を読み取れなくなったのだ。修理を依頼したところ、OSの故障だった。無事に修復できたが、蓄積してきたデータをバックアップしていなかったため、事業継続の点で大きな問題があることに気づいた。そこで、複合機、パソコンも一新したほか、NASと呼ばれるネットワーク接続型ハードディスクを搭載したサーバーを導入。さらにバックアップ用ハードディスクで二重化してバックアップ体制を万全にした。この結果、「記録が残っているという安心感は大きい」という。
安心して運用するための保守サービス、パソコンのスピード化、オンライン契約の準備など、次へ向けての準備を進める
サーバー導入のメリットはこれだけではない。パソコンの保守サービスも採用したことで、不具合が起きても、これまでのようにその都度有償の修繕を依頼する必要がなくなり、保守費用の平準化にもつながった。
さらに、外出先からでも安全に共有データにアクセス可能となったことで、「営業担当者にはテレワークも検討していきたい」としている。竹内社長のパソコンは、HDD(ハードディスク)より動作速度が速いSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)に変更したことで、使い勝手が向上した。
2022年5月には宅地建物取引法が改正され、資料や契約書、重要事項説明書などで押印を省略し、部屋探しから契約までをオンラインで完結できるようになった。これについて竹内社長は「不動産売買では対面での交渉が必要だが、賃貸の契約ではオンラインが増えている。印紙代も節減でき、今後も増やしていく準備はできている」と積極的だ。
地域に役立つ企業として、目先の結果ではなく長い目で経営する
不動産会社の経営について、竹内社長は「一喜一憂しないこと」という。特に売買の場合、金額が大きいため成約まで時間がかかるケースが多く、直前までうまく運んでいてもゼロになるケースもある。成約に至った場合でもその案件はそれで終了で、また新しい案件をゼロから始めるため、「何が起きても平常心を保ち、常に新しいチャレンジをする気概を持つようにしている」という。
竹内社長は業界団体だけでなく、奉仕団体や環境関連団体など地元の活動に積極的に参加し、「それなりの責任あるポストを任せていただいている」と地元重視を欠かさない。地域貢献の精神で参画しているが、こうした活動が「ビジネスにつながることもある」。地域に密着した不動産業者として、タカサキホームズの地道な活動が続いていきそうだ。
企業概要
会社名 | 株式会社タカサキホームズ |
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住所 | 群馬県高崎市井野町338-7 |
HP | https://www.takasaki-homes.co.jp |
電話 | 027-364-5082 |
設立 | 1992年 |
従業員数 | 3人 |
事業内容 | アパート、マンション、戸建て住宅、事務所、駐車場などの賃貸、売買、管理 |