瀬戸内国際芸術祭の運営でも威力を発揮 DXが生み出す人材派遣ビジネスの次のカタチ  Coaマネジメント(香川県)

目次

  1. 行政機関、企業、市民のベストパートナーでありたい
  2. 派遣事業からイベントの運営・販売支援・マーケティングに強み、派遣以外が売上の80%へ
  3. ICT導入によって大きな効果が見込める人材派遣業
  4. 全国的にも有名な瀬戸内国際芸術祭の運営でも、ビジネスチャットツールの活用でイベントスタッフの管理を大幅に改善
  5. 人材派遣に特化したスタッフ管理システムの活用を進める
  6. ホームページの作成システムを活用して機動的に情報発信 ホームページの編集を外部に委託することなく自社で行えるのが最大の利点
  7. 旧本社の7倍の新本社1階を働く人のキャリアアップのための地域拠点に
制作協力
産経ニュース エディトリアルチーム
産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。

香川県高松市に本社を置く株式会社Coaマネジメントは、香川県など瀬戸内エリアの総合人材サービス企業として2013年の設立以来、長期から短期の人材派遣をはじめ、イベント運営、広告提案、マーケティングといった様々な事業に取り組み、地元を中心に行政機関、企業と強固なネットワークを築いている。事業拡大を見据え、2023年3月には新社屋を開設した。人材派遣の登録者数は香川県を中心に約2,000人。近年、ICTを導入して紙書類からデジタルへの業務の転換を進めている。(TOP写真:2023年に開設したCoaマネジメント新本社のオフィスの様子)

行政機関、企業、市民のベストパートナーでありたい

「働く人それぞれの強みづくりを応援することで、企業の成長に貢献し、企業の力を高めることを通じて地域の活性化に貢献していきたいと考えています。仕事を通じてつながりを育んできた行政機関、企業、市民の皆様のベストパートナーでありたいと思っています」。20年近くにわたって人材派遣のビジネスに携わってきた株式会社Coaマネジメントの代表取締役である中塚雄介は事業への思いをこのように語った。社名に冠しているCoaは、Confidence(自信、信頼)、organize(整える)、activate(活発にする)の頭文字を組み合わせて生み出したという。

瀬戸内国際芸術祭の運営でも威力を発揮 DXが生み出す人材派遣ビジネスの次のカタチ  Coaマネジメント(香川県)
中塚雄介代表取締役

派遣事業からイベントの運営・販売支援・マーケティングに強み、派遣以外が売上の80%へ

Coaマネジメントが事業の中で派遣と共に注力してきたのが、幅広い分野での委託・請負だ。地域を代表する大規模なイベントやスポーツイベント、新製品のプロモーションイベントの運営、コールセンターの運営、競艇場内でのボート搬送、量販店での販売支援、施設管理、マーケティングなどの各種調査、研修、ノベルティ制作など多彩な業務を担うことで、売上の8割近くを占める主力事業に成長させた。実績の積み重ねが新しいイベント・事業の受託につながる好循環が生まれている。

「事業やイベントに必要不可欠な運営力が私たちの強みです。地域を活性化させる上でのイベントの重要性が年々高まる中で、蓄積してきた知識と経験を活用して効果的な人材活用の手法を確立しています。独自のノウハウで事業やイベントの付加価値を高めることで、働く人たちのやりがいの向上や待遇改善につなげていきたいと考えています」と中塚社長は話した。

瀬戸内国際芸術祭の運営でも威力を発揮 DXが生み出す人材派遣ビジネスの次のカタチ  Coaマネジメント(香川県)
Coaマネジメントは地域貢献につながる様々な認定を受けている

国連の持続可能な開発目標、SDGsの取り組みにも力を入れ、2023年3月、SDGsの取り組みを原動力とした地方創生の実現を目指す登録事業者として、香川県の認定を受けた。高松市からは女性活躍企業の認定も受けている。

ICT導入によって大きな効果が見込める人材派遣業

人材派遣業はICTの導入によって紙中心の仕事をデジタル化することで生産性が大きく向上する業種のひとつといえる。

新規スタッフを登録する際、手書きの応募書類をシステムに手入力する作業ひとつとっても手間と時間がかかっている。記入漏れや読みにくい文字に悩まされるだけでなく、紛失といったリスクとも隣り合わせだ。書類を保管するスペースも確保しなければならない。勤怠管理や給与の計算も紙書類をベースにしている限り、締め日を中心に業務が集中するので、担当者にも大きな負担がかかる。

業務のデジタル化を進めれば社員の生産性の向上、派遣スタッフ、派遣先の満足度の向上、属人的な業務や人が携わることが必要な業務の削減につなげることが可能だ。応募書類をデジタルデータで保管すれば、記入漏れの際の加筆修正が容易になり、書類紛失の心配もなくなる。また、書類の保管スペースを別の用途に活用することもできる。面接のオンライン化を進めれば会場まで足を運んでもらう必要もなくなる。

全国的にも有名な瀬戸内国際芸術祭の運営でも、ビジネスチャットツールの活用でイベントスタッフの管理を大幅に改善

Coaマネジメントは、2020年から勤怠管理システム、給与計算システムを順次導入するなどICTを積極的に導入している。「多くの登録者がいるので契約書の作成・保存、請求業務、給与計算といった事務作業の量は膨大です。紙文書中心の仕事をデジタル化していくことで業務を効率化していきたい」と中塚社長。2016年から受託している瀬戸内国際芸術祭の運営にあたるスタッフの募集、教育、管理、給与支払などの業務でもICT活用の効果が出ている。

瀬戸内国際芸術祭は2010年から始まった3年に一度、瀬戸内海の島々を舞台に開催される現代美術の国際芸術祭。国、香川県、同県内の市町村、経済団体、企業で構成する実行委員会が企画・運営している。春、夏、秋の季節ごとにそれぞれ数十日にわたって開催され、会場は高松港周辺、直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、宇野港周辺など季節によって多少異なるが十数ヶ所にのぼる。会場が点在しているためスタッフの確保や配置には高いマネジメント能力が求められる。Coaマネジメントは2016年から2022年までの3回にわたって運営を支え、2022年は612人のスタッフを採用して1日あたり平均120人を動かしていた。

過去2回の芸術祭はスタッフの勤怠状況について紙の資料で管理し、連絡手段も携帯電話が中心だったので手間と時間がかかっていた。この状況を改善しようと、2022年の芸術祭から人や組織のスケジュール管理、ファイル共有、メール、アドレス帳、アンケートなどの機能を備えた企業向けのクラウド型チャットツールを導入したところ、リアルタイムでスタッフのスケジュールが管理できるようになっただけでなく、給与計算などの業務効率が大きく改善したという。

「以前は月ごとに十数ヶ所の会場から紙に記録した勤怠記録を回収してからでないと給与計算を行うことができず、締め日の前後に業務が集中したので大変でしたが、2022年は1日ごとにその日働いたスタッフの勤怠状況を把握できるようになったので、給与計算の作業を10日ほど前倒しで終えることができるようになりました。確認作業の時間を増やすことでミスも大幅に減りました」と管理課の山田和恵課長は話した。

瀬戸内国際芸術祭の運営でも威力を発揮 DXが生み出す人材派遣ビジネスの次のカタチ  Coaマネジメント(香川県)
複合機の文書管理機能を活用してペーパーレス化を心掛けている

ペーパーレス化を進めているが、紙文書の削減は一朝一夕にはいかない。パソコンのデータを印刷しなければならない時は複合機の文書管理システムを使って、無駄な印刷をしないように心がけているという。

人材派遣に特化したスタッフ管理システムの活用を進める

2022年12月から人材派遣に特化したスタッフ管理システムを導入し、本格的な活用に向けて準備を進めている。システムは、スタッフの採用、案件のマッチング、契約、勤怠管理、給与支払、請求管理といった一連の業務をデジタルで処理する機能を備えている。今後活用を進めることでそれらの業務にかかる時間を短縮することができる。

「スタッフ管理システムは今後の事業拡大や会社の成長に欠かせない心強い存在です。事務作業の効率化によって生み出した時間を営業活動や新しい企画の立案に向けていきたい。スタッフ一人ひとりの職歴を蓄積して見える化することで、キャリアアップや賃金アップに役立ててもらえるようにしたいと思っています。派遣業界で働く人たちの環境を改善するためにICTを活用していくつもりです」と中塚社長は話す。

ホームページの作成システムを活用して機動的に情報発信 ホームページの編集を外部に委託することなく自社で行えるのが最大の利点

2016年から企業向けホームページの作成システムを導入し、求人ニュースなどの情報発信を機動的に行っている。「ホームページの編集を外部に委託することなく自社で行えるのが最大の利点です。会社の取り組みや募集している仕事の内容がわかりやすく伝わる構成にすることを心掛けています。情報発信効果を高めるための研究をこれからも続けていきたい」と営業本部広報担当の吉川賢司さんは話した。

瀬戸内国際芸術祭の運営でも威力を発揮 DXが生み出す人材派遣ビジネスの次のカタチ  Coaマネジメント(香川県)
ホームページを編集する様子

旧本社の7倍の新本社1階を働く人のキャリアアップのための地域拠点に

Coaマネジメントは2023年3月、新本社を開設した。旧本社は高松市内のオフィス街のビル内に置いていたが、事業の拡大に伴って広い業務スペースが必要になったため、旧本社から数キロ離れた場所で2階建ての社屋に移転した。面積は旧本社と比較して約7倍に拡大し、1階を人材育成研修などに活用するためにリノベーションの準備を進めている(2023年5月現在)。

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今後、リノベーションを進めるCoaマネジメントの本社1階
瀬戸内国際芸術祭の運営でも威力を発揮 DXが生み出す人材派遣ビジネスの次のカタチ  Coaマネジメント(香川県)
リノベーション後の本社1階のイメージ図1
瀬戸内国際芸術祭の運営でも威力を発揮 DXが生み出す人材派遣ビジネスの次のカタチ  Coaマネジメント(香川県)
リノベーション後の本社1階のイメージ図2

「パソコン操作や介護などをテーマにした研修を企画して、働く人たちのキャリアアップをお手伝いしていきたい。新本社を多様な仕事で活躍できる人材を育成する地域の拠点にしていきたいと考えています。地方だからこそできる対面とICTを組み合わせた新しい取り組みをしていきたい」と中塚社長はこれからの構想を話した。今後、インターンシップの受け入れや新卒社員の採用にも力を入れていきたいという。

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Coaマネジメントの本社の外観

地域で働く人たちのために今後も積極的にDXを進める意欲を示すCoaマネジメント。「多くの人の挑戦をサポートするとともに魅力的で多彩な仕事を作り出すことにも力を入れていきたい。生き生きと働く人が多ければ多いほど、地域は活性化していくはずです。これからも地域の自治体、企業、市民の皆様と共に歩んでいきたい」と中塚社長は力強く語った。

企業概要

会社名株式会社Coaマネジメント
本部香川県高松市西ハゼ町276-1
HPhttps://www.coa-m.jp
電話087-867-1178
設立2012年12月
従業員数53人
事業内容 一般派遣事業、紹介派遣事業、有料職業紹介、販売代理店事業、研修事業、セールスプロモーション、業務の委託・請負