(本記事は、安達 裕哉氏の著書『頭のいい人が話す前に考えていること』=ダイヤモンド社、2023年4月19日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
「客観視」の思考法① 少ない情報を信じ切るとバカに見える
「先輩、昨日テレビで見たんですけど、年収を上げるには、英語力と会計の知識が重要みたいです。どう勉強したらいいですかね?」
「えっと……佐藤さんの仕事って、英語も会計も使わないよね?」
この後輩はテレビで見た情報 だけ を信用して、話をしているように聞こえます。
ここが、話が浅く感じる第一のポイントです。
「少量の、根拠の薄い情報」に依存しているように見えると、残念ながらその人の話は浅く聞こえてしまいます。メディアの情報に限った話ではありません。
たとえば、
「私の知人の上場企業の役員が……」
「東大卒でモルガンスタンレーでファンドマネージャーをやっていた〇〇さんが……」
「政党の幹部が便宜を図ってくれた……」
「フォロワー100万人の〇〇さんがすすめてたんですが……」
など、著名人や政治家を引き合いに出して話す人も同様です。
著名人である、肩書きが立派である、という理由だけでその情報が正しいと信じていると、残念ながら「浅い話をする人だ」と思われてしまうのです。
〝大手メディアが取り上げた〞〝著名人が紹介した〞など、大なり小なり、説得や駆け引きには権威を引き合いに出すことがありますが、問題は「権威がなぜこのように述べているのかの理由を知らない」のに引き合いに出すことです。
それはつまり、行列の先に何があるか知らないのに〝行列になっているから〞という理由だけで列に並ぶようなものです。
理由を知らないのに話している状態は、単に、「その人の口を借りてものを言っている」だけで、自分の意見がない ように見えてしまいます。
ビジネスシーンではとくに、本人の実績が伴わないにもかかわらず、こうした言説が重なると「話が浅い」と思われるだけでなく〝この人の話は聞く価値がない〞と思われてしまいます。
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