HRテックはどうやって始める? 口コミサイトの正しい活用法とよくある5つの疑問
(画像=yoshitaka/stock.adobe.com)

(本記事は、森中 謙介氏、町田 耕一氏の著書『これ1冊でわかる 中小企業のHRテック入門~わが社でもできる! 導入から運用まで~』=あさ出版、2022年11月24日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

⦿HRテック利用者口コミサイトの正しい活用法

口コミサイトなどの情報を信用することに抵抗のある方もいるでしょう。しかし、ことHRテックに関しては、正しい情報の取捨選択の方法を理解した上であれば、口コミサイトからかなり有用な情報を得られますし、事業者選定の際に役立てることができます。

具体的な方法についていくつか見ておきましょう。

同一ジャンルのHRテックとの比較機能(評価項目別に点数化されている)のあるサイトを活用する

口コミサイトを利用する際は、同一ジャンルのHRテックとの比較機能があり、かつ評価項目別に細かく点数化されているものが便利です。AというシステムとBというシステムを比べる場合でも、全体的な得点はAのほうが高くても、自社が最も重要視するポイントはBのほうが勝っているということがあるからです。

また、迷っているシステム同士のみを画面上で比較できる仕組みがあると、資料請求せずに画面上で優劣をつけることができるので大変便利です。このような点で、筆者は主要な口コミサイトとして「ITreview」というサイトを推奨しています。

このサイトでは同種の製品の認知度と満足度も見ることができるので、ただ有名なだけで使った人は満足していないHRテックや、逆に有名ではないものの使った人は大満足しているHRテックをジャンルごとに見つけることができます。

②改善要望に対するHRテック事業者の返答をよく確認する

口コミサイトによっては、HRテックのメーカーがユーザーの不満コメントに回答できる仕組みがあります。ただし、その仕組みを使ってWeb上で応対をするかどうかはメーカーによって分かれます。概して誰でも見られるプラットフォーム上でていねいに応対している会社は、Web上の口コミのクレームをうまく製品の改善につなげていることが多く、またそのような会社は導入・運用の際の担当者の応対もていねいであることが多いため、事業者選定の候補には必ず上げておくことをお勧めします。

⦿どのHRテックにも共通するマイナス口コミトップ5

様々なHRテックに共通する代表的なマイナス口コミを紹介します。それぞれに筆者からもひと言コメントを入れていますので、参考にしてください。

「どんなシーンで使ってよいのか分からない」
筆者コメント 先に解決したい人事課題を議論しましょう。それをせずに何となくHRテックを入れるとこうした事態に陥ります。

「ユーザー目線で見るとどこで何ができるのか分かりづらい」
筆者コメント 提供元のメーカーも呼んで勉強会を開催し、質疑応答を行いましょう。

「機能が多すぎて使いこなせない」
筆者コメント 使う人のトレーニングで解決できるのであれば、トレーニングを実施しましょう。そもそも使う必要のないものが多いのであれば最初から機能を制限したプランで導入するか、もっと目的に合ったシンプルなHRテックに選び直しましょう。

「設定が煩雑」
筆者コメント マニュアルの豊富さや、事業者側でどの程度対応してくれるかも最初によく確認しておきましょう。自社で使いこなせる自信がない場合は、同じ機能ならできるだけ設定がシンプルなHRテックを選ぶようにしましょう。

「特定のシステムと連携できない」
筆者コメント 導入前の段階で連携する可能性のある社内システムは全て列挙した上で、連携可能かどうか最初の段階で確認しておきましょう。

これ1冊でわかる 中小企業のHRテック入門~わが社でもできる! 導入から運用まで~
森中 謙介(もりなか・けんすけ)
株式会社新経営サービス人事戦略研究所マネージングコンサルタント
中小企業経営者への人事制度構築・改善のコンサルティングを中心に、これまでにかかわった会社は90社にのぼる。各社ごとの実態に沿った、シンプルで運用しやすい人事制度づくりに定評がある。「人事制度を軸にした“人・組織の成長”」をモットーにしており、制度導入後も経営理念、経営方針の浸透、あるいは評価者教育の推進など、幅広い支援を行っている。そのためクライアントとのかかわりは中長期にわたることが多く、リピーターも多く有している。
著書に、『9割の会社が人事評価制度で失敗する理由』(あさ出版、2019)、『人手不足を円満解決 現状分析から始めるシニア再雇用・定年延長』(第一法規、2020)、『社内評価の強化書~上司の“評価エラー”を逆手に取る出世の法則~』(三笠書房、2018)、『社員300 名までの人事評価・賃金制度入門』(中央経済社、2016)などがある。
町田 耕一(まちだ・こういち)
株式会社新経営サービス人事戦略研究所コンサルタント
大学院修了後、大手ERP 開発企業で人事給与システムの導入・保守に携わる傍ら、残業削減を含む社内改善にも携わり、成果を出す。新経営サービス入社後は、人事・情報技術の知見を活かし、人事制度策定・運用だけでなく、HRテックの導入・活用に対する顧客への提案も積極的に行っている。 新経営サービス内でのHRテック導入を主導した実績をもち、中小企業で一からHRテックを導入する際の留意点や、また社内でHRテックを扱える人材の育成手法にも明るい。 また、システム開発経験のある人事コンサルタントとして、HRテック事業者へのシステム開発協力も精力的に行っており、同業界の最新事情にも精通している。 G検定(AI活用能力)に2019 年3月合格後、E 資格(AI作成能力)合格者との限定コミュニティ(5万名以上)で活動。「NEWS+」グループのリーダー。2022年に貢献に対する投票等で決まる最優秀賞をグループ・個人とも受賞。英国王室公認品質協会(CQI|IRCA)から、世界80か国、2万名以上の会員に発刊された『Quality World』誌2022年秋号のAI特集記事への寄稿にも協力。

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