(本記事は、内藤 誼人氏の著書『最先端の研究が教える新事実 心理学BEST100』=総合法令出版、2021年9月10日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
商談での勝負服は「赤」で決まり
タイガー・ウッズや石川遼は、ここ一番という大会に出場するときには、「赤」の勝負服を身に着けて臨みます。
赤色は〝強さ〟の色。そのため、まず自分自身を鼓舞して、「さあ、やるぞ!」という気分にさせてくれますし、対戦相手には、強さで威圧感を与えることもできます。ですから、勝負のときは赤色で決まりです。
アントニオ猪木も、赤いマフラーと赤いパンツがトレードマークでした。「燃える闘魂」と呼ばれたくらいですから、やはり赤でないとピンときませんよね。
では、ごくごく普通のサラリーマンにとっては、赤色は活用できない色なのでしょうか。
いえいえ、そんなことはありません。たとえば、大切な商談を控えているとか、セールスや営業をしている人なら、赤色を使うこともできます。
「今日は絶対に契約をまとめなければならない」
「どうしてもこちらの要望を受け入れてほしい」
強い気持ちを前面に出すには、赤色のネクタイや、赤色のスカーフ、赤色のリストバンドの腕時計など、とにかく赤色のものを身につけていくとよいでしょう。そうすれば、話をまとめられる可能性がぐんとアップするはずです。
赤色は強さの色ですから、話すときにも声に勢いが出せます。それにまた、赤色を身につけたあなたを見て、相手も心理的に 気圧 されるでしょう。そのため、あなたの言い分をそのまま受け入れてくれる可能性は少なからずアップするのです。
カナダにあるトロント大学のナディア・ベイシャーは、まったく同じ話を聞かせる場合にも、赤色を身につけている話し手のほうが、相手は受け入れやすくなることを確認しています。
ベイシャーは、「水にフッ素を添加することで、虫歯予防ができる」といった内容の文章を用意し、伝え手の写真も載せておきました。ただし、伝え手の写真は2種類用意されていて、赤色のセーターか、白色のセーターを着ていました。
さて、その文章を読み、どれくらい説得されたのかを調べてみると、表⑭のような結果になったそうです。まったく同じ文章でも、伝え手が赤色を着ていると、それだけで説得効果が高まることがわかりますね。
上司にお願いしたいことがあるときには、赤色のネクタイなどを身につけておくと、受け入れてもらえるかもしれません。好意を持っている人を食事に誘うときにも、赤色を身につけておくと承諾してもらえる可能性は高まるでしょう。赤色というのは、いろいろと応用ができる、まことに素晴らしい色なのです。