世界でいちばんやさしい 教養の教科書[人文・社会の教養]
(画像=FortisDesign/stock.adobe.com)

(本記事は、児玉 克順氏(著)、fancomi氏(イラスト)の『世界でいちばんやさしい 教養の教科書[人文・社会の教養] (Re Seriesまなびを、もういちど。) 』=学研プラス、2023年2月24日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

江戸時代考察

ー江戸時時代のシステムが見直されるー

まずは江戸時代における社会システムと、それにともなったアイデンティティのあり方を追いかけていきましょう。ごく最近まで、「江戸時代は身分制が厳しい社会であった」と考えられていました。

①江戸時代の身分固定システム

かつては、江戸時代には「 士農工商(しのうこうしょう) という身分序列の制度があり、その身分制度に従って人々が暮らしていたと考えられていました。それが常識だったのですが、現在の研究では、そのような身分の序列は実は存在しなかったと考えられています。支配階級の武士の身分は高かったとしても、その他の人々に身分差はほぼありませんでした。

『世界でいちばんやさしい 教養の教科書[人文・社会の教養] (Re Seriesまなびを、もういちど。) 』
(画像=『世界でいちばんやさしい 教養の教科書[人文・社会の教養] (Re Seriesまなびを、もういちど。) 』より)

では、江戸時代における身分はどのように固定されていたのでしょうか。それは職業というよりも、出身地による固定でした。(はん) による区分、 による区分、農村部による区分で人を分けて固定し、人口の都市部集中を抑えようとしたのです。

『世界でいちばんやさしい 教養の教科書[人文・社会の教養] (Re Seriesまなびを、もういちど。) 』
(画像=『世界でいちばんやさしい 教養の教科書[人文・社会の教養] (Re Seriesまなびを、もういちど。) 』より)

また、都市部·農村部ともに様々な仕事が細やかに用意されていたため、地区ごとに仕事がなくなることはなく、 ワークシェアリングが成り立っていました。人々はそれぞれの出身地で仕事にありつけたので、他の地に移住する必要がなかったのです。

『世界でいちばんやさしい 教養の教科書[人文・社会の教養] (Re Seriesまなびを、もういちど。) 』
(画像=『世界でいちばんやさしい 教養の教科書[人文・社会の教養] (Re Seriesまなびを、もういちど。) 』より)
世界でいちばんやさしい 教養の教科書[人文・社会の教養] (Re Seriesまなびを、もういちど。)
児玉 克順
1972年生まれ。現役専門予備校の老舗「市進予備校」、全国の加盟塾に配信される映像授業「ウイングネット」の現代文担当講師
fancomi
1980年生まれ。2004年A&A青葉益輝広告制作室入社。2010年よりイラストレーターとしてジャンルに捕われず幅広く活動中。2010年第3回グラフィック「1_WALL」ファイナリスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

※画像をクリックするとAmazonに飛びます