巻込み力 国内外の超一流500人以上から学んだ必ず人を動かす伝え方
(画像=wellphoto/stock.adobe.com)

(本記事は、下矢 一良氏の著書『巻込み力 国内外の超一流500人以上から学んだ必ず人を動かす伝え方』=Gakken、2022年12月15日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

スライド1枚、1分で伝える

「テレビのインタビュー取材を受けたが、30秒しか放送されなかった」と言われることがあります。なぜテレビの制作者はせっかく撮ったインタビューを、もっとまとまった長さで放送しないのでしょうか。

理由は簡単です。インタビュー映像を長時間流すと、視聴率が下がるから。単調な映像を見続けるのは、ほとんどの人にとっては退屈なのです。それゆえテレビ番組の制作者は15秒程度の映像を小刻みにつなぎ合わせることで、ひとつのVTRを構成しようとします。

スライドの説明も、テレビ番組のインタビューと同様です。長い時間をかけて1枚のスライドを説明しても、「変化しない画像」を前に、聞いている側の集中力が途切れてしまいます。

では、1枚のスライドにかける時間はどれくらいが適切なのでしょうか。私はだいたい、1分を基準としています。テレビのニュース番組のアナウンサーが原稿を読む速さは、1分あたり350字程度。スライドの説明原稿をつくる際には1枚あたり、この字数を目安にすることになります。

ソフトバンクの孫社長の記者発表資料も、だいたい1枚1分程度でつくられています。例えば2022年の第1四半期の決算発表会でのスライドは54枚、発表に要した時間は1時間9分でした。スライド1枚、平均で1分17秒です。同じ年度の第2四半期の決算発表の記者会見ではスライド44枚、発表時間は38分ですから、1枚の平均は52秒となります。1枚あたり1分前後のペースであることがわかるでしょう。

スライド1枚あたりの発表時間が長くなってしまう主な原因は、1枚に情報を詰め込みすぎてしまうこと。「1タイトル、1図表、1説明文」の公式を用いてつくれば、1枚あたりの発表時間は自ずと1分程度に収まります

情報を1枚に押し込めると、スライドは見にくくなるし、1枚あたりの発表時間も長くなります。情報の詰め込みすぎは、何のメリットもないのです。

『巻込み力 国内外の超一流500人以上から学んだ必ず人を動かす伝え方』
(画像=『巻込み力 国内外の超一流500人以上から学んだ必ず人を動かす伝え方』より)
巻込み力 国内外の超一流500人以上から学んだ必ず人を動かす伝え方
下矢 一良(しもや・いちろう)
PR戦略コンサルタント
周囲に溶け込むのが苦手で「技術者になれば、人付き合いをせずに済む」という理由で、早稲田大学理工学部に入学。しかし就職活動を迎えると、「自分の好きなことを仕事にしよう」と、テレビ局を目指す。面接を勝ち抜くための「アピール方法」を分析し発揮した結果、倍率100倍以上の面接を突破しテレビ東京に入社。『ワールドビジネスサテライト』『ガイアの夜明け』を経済部キャップとして制作。スティーブ・ジョブズ氏、ビル・ゲイツ氏、孫正義氏、三木谷浩史氏、髙田明氏、藤田晋氏、前澤友作氏らにインタビュー。500人以上の一流ビジネスパーソンを取材し、彼らに共通する「うまく伝える法則」を見出す。併せて、7万通以上のプレスリリースを読んだことで、典型的な「伝え方の失敗例」も知ることに。その後、ソフトバンクに転職。孫正義社長直轄の動画配信事業(Yahoo!動画、現・GYAO)を担当。この際、孫社長の情報発信術を間近で学ぶ。年に1組しか選ばれない「ソフトバンク・アワード」を受賞。現在はPR戦略コンサルタントとして中小企業のブランディングや宣伝のサポート等を行う。

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