2022年度は一定程度売上を回復する調剤薬局経営企業が多くなる見通し
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の調剤薬局市場を調査し、現況、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
2022年度はコロナ禍における行動制限が緩和されたことで、既存店舗の処方箋枚数の回復、M&Aを含む新規店舗開業による売上寄与などにより、前年度から一定程度売上高を回復する調剤薬局経営企業が多くなる見通しである。
2.注目トピック
求められる調剤薬局の「機能強化」と「人材育成」
2022年度の調剤報酬改定にあたる議論も含め、敷地内薬局(病院の敷地内にある調剤薬局)の在り方については各種意見が出されているが、調剤薬局側としては患者の利便性向上や地域医療を支えるものという観点に基づき、敷地内への出店を今後も進めていくと見られる。
また、調剤報酬改定は、今後も大手の調剤薬局チェーン経営企業にとっては厳しい形になる見通しである。大手、中小に問わず、調剤薬局経営企業が改めて認識する必要があるのは、「患者のための薬局ビジョン」に基づいて施策が進められるという部分である。「対物業務から対人業務へ」、「立地重視から機能重視へ」というスタンスに基づき、調剤報酬の改定や加算などが進められていく見込みである。
調剤薬局経営企業に求められるのは、2021年よりスタートした認定薬局の取得や健康サポート薬局の取得など調剤薬局の「機能強化」であり、かかりつけ薬局・薬剤師としての役割をこなすための知見と人員を確保するという「人材育成」という部分である。
薬局それぞれの機能と人材が評価される形となることから、今後はこういった差別化を含めた変革ができる調剤薬局経営企業となれるかが、調剤薬局領域で事業展開を行う上で重要なポイントであると考える。
3.将来展望
国内の調剤薬局市場では、医薬分業の進展と薬局数の増加に伴い、新規出店の余地は確実に縮小しており、これまでのように多数の企業が大量出店を背景に売上高を伸ばすことは難しくなっている。したがって、従来以上にかかりつけ機能を強化し、既存店売上高の伸長を図り、地域シェアの拡大を実現することの重要性が増している。
調査要綱
1.調査期間: 2022年11月~2023年3月 2.調査対象: 調剤薬局経営企業および製薬企業、医薬品卸、レセプトコンピュータベンダー 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話による調査、ならびに文献調査併用 |
<調剤薬局とは> 本調査における調剤薬局とは、地方厚生局長等に届け出た保険薬局(保険調剤が可能な薬局)で、医療機関から発行された処方箋に基づき医薬品を交付する薬局を指す。 調剤業務を主体とする調剤専門薬局の他、物販を主体とする薬局・ドラッグストアでも調剤業務を実施している店舗が含まれる。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 調剤薬局経営企業、調剤薬局チェーン経営企業 |
出典資料について
資料名 | 2022~2023年版 調剤薬局の実態と展望 |
発刊日 | 2023年03月30日 |
体裁 | A4 227ページ |
価格(税込) | 132,000円 (本体価格 120,000円) |
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