日本独自のメタバース観を分析した論文をMITポール・ロケ准教授が発表!『メタバース進化論』など日本のメタバース書籍から考察

米マサチューセッツ工科大学(MIT)准教授のポール・ロケ氏は、日本のメタバース書籍として人気の『メタバース進化論』(バーチャル美少女ねむ:著)、『メタバース さよならアトムの時代』(加藤直人:著)、『メタバースとは何か』(岡嶋裕史:著)、『メタバース革命』(動く城のフィオ:著)の4冊を取り上げ、日本独自のメタバース観を分析した論文を発表した。

日本のオタク達による「現実とは違うもう一つの世界に逃避する」強いメタバース観と、Meta社が描く「現実を拡張する」弱いメタバース観を比較検討した内容となっており、特にバーチャル美少女ねむ氏が『メタバース進化論』で提唱している、「なりたい自分になれる」と言うメタバースの特性や、メタバースの引き起こす3大革命『アイデンティティのコスプレ』『コミュニケーションのコスプレ』『経済のコスプレ』について注目している。

今回、バーチャル美少女ねむ氏が、論文の引用部分の日本語訳を自身のブログ内で公開しているので当サイトでも紹介する。

【関連】メタバース進化論がITエンジニア本大賞2023ビジネス書部門大賞受賞

メタバースイベントを無料PR可能
メタバースイベント検索サイト「メタイベサーチ」


論文:日本のメタバースへの退却(Japan’s Retreat to the Metaverse)

◎著者:
ポール・ロケ(Paul Roquet)

◎発行日:
2023年

◎所属:
マサチューセッツ工科大学(MIT) 比較メディア研究・執筆プログラム

◎ジャーナル:
Media, Culture & Society

> Japan’s Retreat to the Metaverse

■概要

” 2021年10月にFacebookが用語を採用してMetaへのブランド変更を発表したことにより、日本でも「メタバース」に対する関心が急速に高まりました。Meta自体のビジョンは、仮想空間を現実のオフィス環境と統合することに焦点を当てていましたが、日本の主要なメタバースのアプローチは異なる世界を制作することに重点を置き、より完全にこの現実世界を代替できるものでした。この論文では、Facebookのブランド変更に続いて、日本で発売されたメタバースの開発者や支持者による書籍を取り上げ、これらのメタバースの表現に特徴づけられる、物理的および社会的な引きこもりの重要性を探求します。現実から退却し、より快適でより制御可能なメディアに没入していく日本の保守的な「オタク」たちの戦略を検討することで、日常的な社会的やりとりの営利化を目的としたアメリカの技術プラットフォームに依存することを批判的に検討します。 ”

※日本語訳:バーチャル美少女ねむ
※出典:MIT Libraries


論文の引用部分日本語訳

論文では、日本独自のメタバース観を解説するために、主に以下の4つのメタバース解説書が引用された。

・バーチャル美少女ねむ (VTuber/作家)『メタバース進化論――仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界(技術評論社)』
・加藤 直人 (クラスター株式会社 代表取締役CEO)『メタバース さよならアトムの時代(集英社)』
・岡嶋 裕史 (情報学研究者)『メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」(光文社新書)』
・動く城のフィオ (VR法人HIKKY CVO)『メタバース革命 バーチャル経済圏のつくり方(扶桑社)』

> バーチャル美少女ねむ氏ブログ


著者:MIT准教授 ポール・ロケ(Paul Roquet)氏

” マサチューセッツ工科大学(MIT)比較メディア・スタディーズ 准教授。 人文科学の立場から日本の没入型メディアを研究。初期の研究対象をアンビエント・メディア(音楽/文学/映像)とし、視聴者を取り巻く個人的雰囲気・空気について、現代日本の新自由主義的である癒し文化に即して分析・考察した。 近年はVR(バーチャル・リアリティ、仮想現実)、AR(拡張現実)などの没入型メディアの日常生活に対する影響に焦点をあてて研究を進めている。テレビアニメ『電脳コイル』に見られる近未来AR社会についての論文、VRと「周辺視覚」の関係を論じる記事などを発表。学部授業では日本のメディアと文化について講義を行っている。 ”

※出典:ポール・ロケ | Paul Roquet


メタバース進化論(技術評論社)とは?

『メタバース進化論(技術評論社)』は、メタバースに興味を持った幅広い読者の方を対象に、現在のメタバースの真の姿、そしてその革命性をわかりやすく伝える「メタバース解説書の決定版」である。自身も黎明期のメタバースで暮らす"メタバース原住民"の一人である著者・VTuber「バーチャル美少女ねむ」が、自分自身の体験、数多くのユーザーへのインタビュー、そして全世界のユーザー1,200名を分析した大規模調査「ソーシャルVR国勢調査」を元にメタバースのリアルを明らかにする、世界初の「仮想世界のルポルタージュ」だ。 発売3ヶ月で6刷重版の大ヒットとなっており、昨年12月22日には、本書によりアバター文化の発展に貢献した功績が認められ、ねむはキズナアイ以来の史上二人めとなる一般社団法人VRMコンソーシアム「アバターアワード2022 特別功労賞」を受賞した。

> 特設サイト:『メタバース進化論』

【関連】『メタバース進化論』が全国の新聞で特集【五刷重版決定】


バーチャル美少女ねむさんについて

日本のVTuberで、メタバース文化エバンジェリスト。
HTC公式VIVEアンバサダー。
2022年には自身の体験とVR国勢調査を元に解説書『メタバース進化論(技術評論社)』を出版し、発売3ヶ月で六刷重版の大ヒットに。
その他にも、スイスの人類学者ミラ (リュドミラ・ブレディキナ)さんと共同で、メタバースでのハラスメントに関する実態を明らかにした大規模調査レポート「メタバースでのハラスメント」の発表や、「メタバースで生きていく」をテーマとした新曲MV『メタバースデイ』を公開するなど、様々なメディアでマルチに活躍している。

> 公式Twitter@nemchan_nel


【バーチャル美少女ねむ:関連記事】
・バーチャル美少女ねむさんがキズナアイ以来史上2人目の「アバターアワード2022 特別功労賞」を受賞(2022.12.23)
・メタバースでのハラスメントに関する調査レポートを公開(2022.11.10)
・音楽ライブ「メタバースデイ・パーティ」が開催(2022.11.1)