(本記事は、中條 一夫氏の著書『できるビジネスマンは日本酒を飲む ―外国人の心をつかむ最強ツール「SAKE」活用術』=時事通信社、2020年10月28日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
さまざまなビジネスシーンで活用できる
ビジネスの現場で「日本酒を活用する」と言うと「差し向かいで飲む」シーンが浮かびます。もちろん実際に飲んでもらうことが大切なのですが、私は、実際に飲む以外にもさまざまなビジネスシーンで日本酒を活用しました。
日本食レストランに誘う
日本人ビジネスマンにとって、仕事の会食や歓送迎会、仕事相手との飲み会など、相手を食事に誘う機会はよくあると思います。私も海外駐在中、仕事相手の外国人を会食に誘う機会が多くありました。そういう時に、日本酒の飲める日本食レストランに誘うのは効果的です。多くの外国人は、日本食には良いイメージをもっていますし、日本酒にも関心はあるがよく知らないので飲んでみたいという人が多いです。
私の海外での体験からも、外国人に対して「日本酒のおいしいレストランがあるのですが今度ご一緒にいかがですか」と誘った方が、通常のレストランに誘うよりも気軽に声がかけられますし、相手の反応も概して良かったです。
もし先方がお酒を飲めない人であった場合にも、お酒は抜きで食事の約束をすることにつなげることはできます。そういう意味では、気軽に声をかけるツールとして日本酒は役に立っています。
自宅に誘う
日本ではビジネス相手を自宅に招くことはあまりありませんが、海外では、国や地域によっては、レストランよりも自宅に客を招く方が喜ばれることもあります。しかし、海外に駐在する日本人は自宅への招待に慣れていないため、外国人との距離感を縮めるチャンスを逃しがちなケースもあり、残念です。
海外の自宅に日本酒の買い置きがあれば「先日日本に一時帰国した際に珍しい日本酒を何本か買って来たので、今度自宅で飲み比べの会をやろうと思うのですが、いかがですか?」と持ちかけると、かなりの確率で関心が示されますし、その場で実際に日時の調整が進むこともありました。
ホームパーティーを一度でも開けば、相手との関係は格段に深まります。単身赴任で料理に自信がない場合は、つまみはテイクアウトでも各自の持ち寄り形式でも構いません。自宅という場を提供することが重要であり、日本酒がそのきっかけを作ります。
先方が当面忙しい場合でも「次の機会にぜひ誘ってください」と好意的に断られることが多いです。先方が終業後は家族と過ごすことを優先する人だとしても、そのような招待を受けたということを好意的に覚えてくださる方も多くいます。本気で誘えば、たとえ断られても決して無駄ではありません。
イベントやレセプションで使う
仕事上のイベントや記念日など、ホテルの宴会場でレセプションを開催することがあります。日本国内でもホテルのセットメニューにはドリンクに日本酒が含まれていない場合が多いですし、海外では自分で手配しなければまず出てきません。日本酒の調達をアレンジして提供すれば、来場者にも強いインパクトを与えることができますし、会場での話題にも活用できます。
国内はもちろん、海外でも日系ホテル、日本人会、大使館などで、樽と小槌と枡をイベント用具として常備してあれば、イベントの際にテープカット代わりにステージ上で鏡開きを行うことがあります。お酒を飲まない来場者に対しても日本情緒を演出できます。
プレゼントに贈る
外国人から会食や自宅に招待された際、あるいは海外出張の際の手土産にも、日本酒は重宝します。もちろんお酒が飲めない人もいるので日本酒が万能ではありませんが、日本酒は「十分に珍しがられる」「予算に応じた選択が可能」「小瓶や缶入りもあり気軽に使える」「ウイスキーやワインよりもコスパが良い」といった利点があります。
日本酒そのものでなくても、酒器(グラスやお猪口など)、日本酒に関する本(外国語版も増えてきた)をプレゼントにするという手もあります。
外国人を酒蔵に案内する
日本に駐在中あるいは研修中の外国人を誘って、週末に酒蔵に連れて行ったことがあります。ビジネスで訪日して短期滞在している外国人の方から、半日や一日の空き時間が生じた際の過ごし方について相談された場合にも、私は酒蔵訪問を提案したことがあります。
一軒の酒蔵を訪問するために半日あるいは一日の旅行をするのは大変ですが、その地域の酒蔵訪問を含めた形の小旅行を提案することで、日本の滞在を忘れられない思い出にできます。事前に調べて確認する必要がありますが、外国人向けのパンフレットを用意していたり外国人訪問客の訪問を歓迎する蔵が増えています。
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