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育成:目的・動機の高次化で仕事は価値化する。
先週末、「IG後継者育成塾」を終えたばかりである。お陰様で、2008年9月に第1期をスタートしてから11年目に入る。
今回もそうであったが、卒業生がときどき顔を出してくれるのが有難い。今回のテーマは、「仕事を価値化する〜仕事の報酬は仕事!」である。「仕事の価値化」とは、何を意味するのだろうか?
「改めて、問う」と、いろいろな答えが出てきそうで面白い。グループ討議も、さまざまな意見が飛び交い、弾んでいたようだ。
「仕事の価値化」を考えるとき、「自分はいま、何のために働いているのか?」という仕事の目的やその仕事を選んだ自らの動機を問うことから始める必要があるだろう。
「改めて、問う」と、それこそ十人十色だ。
「生活のため。趣味や生きがいはほかにある」「能力を高め、スキルアップしたい」「楽しいから、好きだから」「報酬をガンガン稼ぎたい」「自己実現したい(夢や志)」「社会貢献したい」等々。
このように仕事に対する目的や動機を「改めて、問う」と、ものの考え方(価値観)に次元の違いを感じることができる。「生活のため」というのと、「自己実現あるいは社会貢献のため」というのでは、明らかに次元の違いがあると思う。
実は、「仕事の価値化」とは、その目的や動機の次元を高次化することにあると考える。つまり、マズローの欲求5段階説でいうところの、欠乏欲求(生理・安全・帰属・自尊)から成長欲求(自己実現・自己超越)へと次元を高めていくことから始めるべきではないだろうか。
仕事の本質は、奉仕である。
仕事の「仕」も「事」も「つかえる」という意味だ。世のため人のために貢献できてこそ、仕事の価値は高まるものだ。まさに、仕事の報酬は仕事なのだ。
仕事は必ず「場」を形成する。
場とは社会システムを構成する部分であるが、さまざまな出逢いがあり、関係性を構築して、システム化していく。そのような状況下で、私たちは支えられ、生かされている。つまり、職場とは働く者にとって協働の場であると同時に、成長機会を提供してくれる場であり、自己実現のステージである。
企業は、社会への貢献性を高めることにより、存在価値が認められ、より大きな場へと成長していく。その場に、優秀な人材が集い、切磋琢磨しあい、互いに成長する機会を共有しているのである。
このように考えると、仕事の価値化とは社会システムの抱えている問題(ニーズ)に応えることによって、社会の進化に貢献することではないだろうか。
育成:働きがいが育まれる環境にする。
人間の成長にとって、「働きがい」はいつも課題の中心となる。
「人間は、仕事を通して成長する」という言葉があるが、もっと厳密にいうと、「人間は、働きがいのある仕事に出逢ったときに飛躍的に成長する」と考えたほうがいい。
だから、仕事を選ぶとき、「働きがいのある仕事なのか、どうか?」は大切な判断基準とすべきだと思う。では、「働きがい」を見出し、高めるためにはどうしたらいいのだろうか?これに関しては、ドラッカーの次の言葉が響く。
「働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。そのためには、①生産的な仕事、②フィードバック情報、③継続学習が不可欠である」
仕事に対する責任こそが、「働きがい」の源泉だという。つまり、自らの責任を果たすことが「働きがい」を生み、動機づけの要因になるのだという。
「働きがいの源泉は他に求めるものではなく、自覚だ」という。このドラッカーの考え方は、主体性を確立したいという成長欲求を持っている者にとって肝に銘じておくべきことだと思う。
さて、仕事を遂行するレベルには次の4段階(成長のプロセス)があると思う。
① 指示に従って正確かつ迅速に処理できるか
素直さ、感謝、基礎力。
② 自らの段取りで仕事ができるか
責任観、職域拡大、目標管理。
③ 仕事に対しての問題発見能力があるか
問題意識、指導力、自己革新。
④仕事に対しての問題解決能力があるか
使命観、マネジメント力、リーダーシップ。
仕事の各段階において、どのような責任を期待されるのか?その責任を全うするために何をなすべきかをしっかりと考え、目標設定する。その目標へのチャレンジこそが、「働きがい」の向上へとつながるのである。(「責任」〜「働きがい」〜「成長」)
以上、「働きがい」とは本人の自覚以外の何ものでもないことが明確になったと思う。
また、次の3点を心掛けて仕事をすることによって「働きがい」は確実に高まると確信する。
①甘い現状認識を捨てる
②手段ではなく、目的から考える
③主体的なキャリア形成プランを立てる
マネジメントにおける人材育成の基本は、育てるのではなく、育つ環境を整えることにある。「働きがい」が育まれる環境をつくりたいと思う。