(本記事は、舛田 光洋氏の著書『一倉定の環境整備』=日本実業出版社、2022年1月28日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
社長専門のコンサルタント一倉定、通称「鬼倉」
さて、環境整備を社長学に入れた、偉大なる一倉定先生について、エピソードをお伝えしましょう。
まえがきでも少し触れましたが、一倉定先生は、社長専門のコンサルタントでした。
生前指導した会社は驚くことに1万社を超えていたと言います。
なぜ、これほどまでに多くの会社を指導できたかと言うと、赤字会社を中心に指導していたのですが、生涯、顧問契約を1件も結ばなかったからだと言います。
必要な期間、社長を指導し軌道に乗せ、黒字化の見通しがつけば、必要とされる次の会社へ行くのです。
一倉先生はなぜ、赤字会社を中心に指導しようとしていたのでしょうか。
それは、経営コンサルタントとして独立する前、勤めていた会社が4社倒産する経験をしたからだそうです。
世の中が変わったのに社長が経営方針を変えなかったがために、会社が倒産して、自分も含め社員が生活の糧を失い、厳しい現実の中に放り投げられてしまったのです。当時、一倉先生は子供がまだ小学生で、大変苦労したそうです。
経営とは社長の決定次第で、会社の運命、社員の運命が決まるということを、嫌というほど体験して、社長専門のコンサルタントになったのです。
また、社長たちからは恐れられたコンサルタントでもありました。
社長を小学生のように怒鳴りつける。また、灰皿が飛んでくる、額にマジックで×印を書かれた社長や、長い時間、無言の指導を受けた社長もいました。
別名「鬼倉 」。
なぜ鬼倉となったのでしょうか。
一倉先生がコンサルタントを始めた頃に、指導を依頼してきた社長が、アドバイスを実践しなかったことがありました。
そして倒産。
「もっと強く、怒鳴りつけてでも実践させていれば、この倒産はなかっただろう。これからは、鬼になる。罵倒してでも、実践させる。鬼倉になる」
『ゆがめられた目標管理【復刻版】』より
深い後悔、深い悲しみ、深い愛情から鬼となる。
強い覚悟を感じます。
目的は「会社は絶対に潰させない!赤字会社を黒字化する!」
きれいごとが通用しない、ドロドロに汚れた現実の中で、汗と油と泥にまみれながら、赤字会社を救ってきたのです。
お金がない社長は出世払いで指導したと言います。困っている社長をほっとけない、何とかしたいという行動が、気がつけば1万社以上になっていたのです。その実践に裏づけされた考え方は、「一倉定の社長学」として全10巻にまとめられています。
2014年からハワイでの企業コンサルタントを中心に、セミナー講演活動をする。代表作に『そうじ力であなたが輝く』(総合法令出版、25万部)、『3日で運がよくなるそうじ力』(三笠書房)、『そうじ力で自分磨き』(日本実業出版社)などがある。『3日で運がよくなるそうじ力』は、 2006年の発刊以来版を重ね2017年に112万部。
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