(本記事は、舛田 光洋氏の著書『一倉定の環境整備』=日本実業出版社、2022年1月28日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
事業経営に環境整備を入れた慧眼の士・一倉定
人間が生きていく原点として、環境整備を据えることですべてがうまくいく、つまり、正しく人間が成長する、ということが理解できたことと思います。
では、一倉先生は、このすべての活動の原点である環境整備を、なぜ、社長学の中心に入れたのでしょうか。その答えとなる文を紹介します。
会社というものは社長次第でどうにでもなる、ということである。
一倉定の社長学第1巻『経営戦略・利益戦略』より
社長が正しい姿勢をとると、社員の姿勢は自然に正しくなる。社長が正しい決定をすると、会社の業績はその瞬間から向上してゆく。
反対に、社長が正しい姿勢をとらないと、社内は乱れ、社員の志気は低下してゆく。社長が正しい決定をしない限り、何をどのようにしても会社の業績は絶対によくならないのである。
社長が正しい姿勢を取ると、会社の業績はその瞬間から向上してくるということです。
私たちにとても必要な気がしてきました。もう少し深く探っていきましょう。
問題は、社長が正しい姿勢を取らないと、社内は乱れ、社員の士気が低下していくということ。これは、業績が悪くなるということです。赤字会社になっていくということです。
では、社長の間違った姿勢とは、具体的にどのような状態なのでしょうか。再び、一倉先生の言葉を引用してみましょう。
会社の業績が振るわない根本原因は、必ず社長がお客様の要求を無視しているからであり、お客様の要求を無視している限り、何をどのようにやっても会社の業績は絶対によくならない。…
一倉定の社長学第9巻『新・社長の姿勢』より
お客様を無視する会社は、お客様から無視される。その結果は、倒産への道を歩まなければならないことになるのだ。それにもかかわらず、お客様を無視する会社は決して少なくない。もしもわが社の経営が不振であったり、行き詰まってしまったならば、まず第一に反省してみなければならないことは、「お客様を無視していないか」でなければならないというのが私の主張である。
とても厳しく、事業経営の本質をついた言葉です。
一倉先生は、会社の業績が振るわない根本原因は、「必ず社長がお客様の要求を無視しているから」だと言っているのです。さらに続けて、お客様の要求を無視している限り、何をどのようにやっても会社の業績は絶対に良く ならない、と言っているのです。
会社の業績が悪くなると、何とか売上を上げるために、キャンペーンを打ってみたり、プレゼントを付けたり、サービスを良くしたり、値下げをしたり、あの手この手と一生懸命やりますが、社長がお客様の要求を無視している限り、どんなに努力を重ねようとも、社員が一生懸命になろうとも、会社の業績は絶対に良くならないのです。
そして、お客様の要求を無視している会社が多いから、倒産する会社も多い、というわけです。
それではどうすればいいのか。その解決方法についても次の文で、はっきりとこのように言っています。
「もしもわが社の経営が不振であったり、行き詰まってしまったならば、まず第一に反省してみなければならないことは、「お客様を無視していないか」でなければならないというのが私の主張である。」
つまり、お客様の要求を無視していることを「反省」しなさいということです。
ここで注目しなければならないのが、「反省」です。
では、いったい誰が反省するのでしょうか。
はい、一倉先生からのご指名があります。
お客様を無視しているのは部長や課長ではなく「社長」です。
反省するべきは「社長」ただ一人です。
さあ、ここで反省し、自らの姿勢を正そうと思った方に、次の一倉先生の有名な言葉が心に響きます。
「電信柱が高いのも郵便ポストが赤いのも社長の責任」
会社で起きるすべての事象は、社長が責任を取らなければなりません。
だから社長が反省をする必要があるのですね。
さて、ここからです。
反省できますか?
業績を悪くした原因は、すべて、自分がお客様を無視していたからだと反省をし、心を入れ替える決意をしたからといって、そう簡単に反省できるものなのでしょうか?
2014年からハワイでの企業コンサルタントを中心に、セミナー講演活動をする。代表作に『そうじ力であなたが輝く』(総合法令出版、25万部)、『3日で運がよくなるそうじ力』(三笠書房)、『そうじ力で自分磨き』(日本実業出版社)などがある。『3日で運がよくなるそうじ力』は、 2006年の発刊以来版を重ね2017年に112万部。
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