ランチェスター戦略 〈圧倒的に勝つ〉経営
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(本記事は、福永 雅文氏の著書『ランチェスター戦略 〈圧倒的に勝つ〉経営』=日本実業出版社、2022年9月16日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

新規開拓4回訪問の原則

■ 新規開拓は4回目の訪問で見込み度を判定する

新規開拓は1回行ってダメそうなら諦めて、次々と新規先に訪問するのがよいのか。それとも受注できるまで100回でも通い詰めたほうがよいのか。この大切なことに多くの会社は基準を設けていません。営業員任せにしています。ランチェスター戦略には「新規開拓4回訪問の原則」という考えがあります。取引をしてはいけない先(与信上の問題など、NG客という)であることが発覚しない限り、できるだけ4回までは訪問を続け、4回目に見込度を判定するやり方です。

初回訪問で提案を要請されることもあります。その場合は提案に必要な事柄を聞き出して2回目に提案します。ここでいう4回訪問とは、顧客に提案を要請されなくても4回訪問することを目指し、4回目の訪問で顧客に提案許諾を得る(テストクロージングという)ように取り組みます。

なぜ、4回なのか。三顧の礼という故事がありますが、新規開拓も1回目の訪問時から顧客が前向きに提案を求めてくることは稀です。顧客心理は、まずは信用がおける相手か。いったんは断って、本気度合いを確かめる顧客もいます。本気なら、業務遂行の能力があるかどうかを確かめたくなります。ここまでに3回くらいかかるものです。そして、4回目の訪問アポがとれたなら、それは顧客が自分を商談相手として認めつつあるということです。

そこで、営業員は切り出します。

「御社のお役に立つ提案をさせていたろしいでしょうか。」これがテストクロージングです。

『ランチェスター戦略 〈圧倒的に勝つ〉経営』より
(画像=『ランチェスター戦略 〈圧倒的に勝つ〉経営』より)

■4つの見込み度……ホット、ウォーム、コールド、NG

テストクロージングへの顧客の反応によって見込度を判定します。

①ホット客

提案を受ける意思を示した見込客。「いますぐ客」ともいう。提案するにあたり聞かなければならない項目についてヒアリングする。

②ウォーム客

いますぐ提案を受ける意思は表示しないが、提案を不要と断るわけでもない見込客。「まだ先客」ともいう。2回程度継続訪問し、ホットかコールドかを見極める。

③コールド客

提案を不要と断った見込客。今回でいったんは訪問を停止する。ただし、リストとしては管理する。訪問しない定期的なコンタクト「顧客プールへの情報提供法」を実施。

④NG客

取引をしてはいけない先。営業対象外とし、今後はコンタクトしない。

ランチェスター戦略 〈圧倒的に勝つ〉経営
福永 雅文
ランチェスター戦略コンサルタント。戦国マーケティング株式会社代表取締役。1963年広島県呉市生まれ、86年関西大学社会学部卒。マーケティング関係の仕事を経て99年にコンサルタントとして独立。小が大に勝つ「弱者逆転」を使命とする。「特定市場(地域、顧客層、商品)でナンバー1になることが企業の永続的な繁栄のために最も有効である」との考えのもと、企業の戦略づくりの方法を指導する。
営業部門・拠点ごとに市場占有率を把握し、シェアと売上・利益を向上させる目標・戦略・行動計画を策定してPDCAを回す仕組みを導入。集客・営業の「武器」づくりのノウハウを提供する。

2005年よりNPOランチェスター協会で講座の内容とテキストの責任者を務め、後進のインストラクターの養成を行なう。同会常務理事。HIS創業者の澤田秀雄氏が立ち上げた起業家や政治家を育成する澤田経営道場の運営母体で理事を務めるほか、さいたま市の外郭団体や南アルプス市商工会などで若手社長の育成機関で講師を務める。歴史に学ぶリーダーシップ(戦略的思考と人間的魅力)についても著述や研修を行なう。
『小が大に勝つ逆転経営 社長のランチェスター戦略』(日本経営合理化協会)、『新版ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則』『ランチェスター戦略「営業」大全』(以上、日本実業出版社)ほか著書多数。

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