(本記事は、太田 差惠子氏の著書『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第3版』=翔泳社、2022年11月08日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
【介護休業制度】
介護で仕事を休める法律がある?
介護休業をサポートする法律
働く人々が、家族を介護するために、一定の期間休業することができる「介護休業制度」があります。育児・介護休業法という法律で定められています。
パートや派遣社員を含めておおよその労働者が対象となります。期間は対象家族1人につき、通算93日まで3回を上限として分割取得できます。93日では短いと感じるかもしれませんが、サービスの体制を整えたり、施設探しやその契約など仕事と介護の両立の準備をするための期間という位置づけです。介護休業開始日の2週間前までに事業主に申し出ます。
介護休業の取得率は低く、数%程度。その一方で、2020年には介護を理由に約7万人が離職しています(厚生労働省「雇用動向調査」)。
「介護休暇」や「短時間勤務制度」も
また、対象家族が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、1日または時間単位で休暇を取得できる「介護休暇」や、短時間勤務制度、フレックスタイム制、時差出勤などが可能になる措置などもあります。
大手企業には、法定以上に制度を充実させているところもあります。自分の働く会社の制度内容を確認しましょう。就業規則に記載がない場合でも、法律が優先されるので利用できます。企業は、要件を満たした労働者の介護休業の申出を拒否したり、その申出や取得を理由に解雇やその他の不利益な取り扱いをすることは禁止されています。同僚や部下に「よく休めるね」などと言うのは、重大な介護ハラスメント。防止策を講じることも企業の義務です。
【介護休業給付金】
介護で仕事を休んだ場合にもらえるお金とは?
賃金の67%が支給される
介護休業を取得した期間、賃金はどうなるのでしょう。
残念ながら、法律での定めがないため、多くの会社で無給となっています。ただし、雇用保険から、「介護休業給付金」として賃金の67%が支給されます。支給対象となる同じ家族について、93日を限度に3回までに限り支給されます。
介護休業給付金の支給対象者
対象となるのは、雇用保険の被保険者(65歳未満の一般被保険者、65歳以上の高年齢被保険者)です。パートやアルバイト、契約社員であっても、対象となる可能性があるので事業主に確認しましょう。
手続きは、原則として、介護休業が終了して2か月以内に事業主がハローワークに申請します。給付金を受け取れるのはそれ以降です。
介護される家族の範囲は、配偶者(内縁含む)、父母(義父母含む)、子(養子含む)、配偶者の父母(義父母含む)、祖父母、兄弟姉妹、孫となります。
福利厚生もチェックしよう
また、多くの企業では、さまざまな福利厚生制度を実施しています。旅行や自己啓発などと並んで、介護支援のメニューを用意しているところが少なくありません。年間数万円までの現金補助や、ホームヘルパー・おむつ費用の補助など内容はさまざまです。
知らずに使っていない人が多いですが、せっかくある制度であれば、ぬかりなく利用したいものです。
●太田差惠子のワークライフバランス http://www.ota-saeko.com/
●NPO法人パオッコ〜離れて暮らす親のケアを考える会〜 http://paokko.org/
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