ウクライナ侵攻後の世界経済
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(本記事は、戸田 裕大氏の著書『ウクライナ侵攻後の世界経済』=扶桑社、2022年7月2日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

年代別に理想的な資産形成のあり方

私が10代~20代の方にお伝えしたいことは、資産形成も大切ですが、それよりも自己投資を思い切ってやってみることをおススメしたいです。それは決して有名な企業の良いポジションで働いてくださいということではなくて、とにかく自分の興味があることに熱中して、勉強して経験してみるということです。

私はお恥ずかしながら20代の前半までほとんど勉強したことがありませんでした。25歳の頃に外国為替の世界に飛び込み、そこからようやく興味を持って勉強を始めました。

会社の仕事も忙しかったですが、合間を縫って英語の勉強をして中国で経営大学院に通ったり、海外30か国程度に足を運んだりしました。それでも、もっと早くに色々なことにチャレンジしておけば、より早くに色々な道が自分の前に広がっていたと思います。

歳を重ねると、人によっては新しい家族ができて、子供が生まれて、また会社ではポジションが少しずつ上がっていきますので、ことさらに忙しくなると思います。私は今37歳で本書を執筆していますが、かなり体力の衰えを感じています。おそらく10年後はさらに衰えを感じていると思います。何が言いたいかというと、年を取ってからは体力も気力も徐々に減少していく傾向があるので、やりたいことにはとにかく早くチャレンジして、挑戦して、失敗して、経験していくのがよいと思います。

今にして思うと、海外MBAは高額な負担だったなとか、英語塾にはお金を掛けたなとか、あの時は上司に生意気言ってマズイことをしたなとか色々ありますけれども、やっぱり一歩を踏み出すことが大事で、それによって人生は変わっていくと思います。

そういう意味でいま、世の中では資産形成ブームと言いますか、資産形成をやらないとダメだといった雰囲気が形成されていてそれはそれでよいと思うのですが、まずは特に新人の頃は地に足をつけて、自分が成長するために目の前の仕事に取り組むとか、積極的にチャンスをつかみに行くとか、そういったことをやっていけばよいと思います。

これは稀代の投資家、ウォーレン・バフェット氏もよく言うことで、若いうちは自己投資こそが最大の投資であると述べています。若いうちは体力も、気力もありますし、しいて言えばお金はないかもしれませんが、自己投資には奮発してください。

30歳~50歳では、なるべく資産形成を始めたほうがよいと思います。ある程度、自分の進むべき道も決まってくる頃だと思いますし、家族や親族のことで何かと金銭的な負担も増えてくると思うので、その足しにしていくという考え方がよいです。

私自身は外国為替が専門なので、特にFXを中心に取引していますが、一般的には資産形成の代表格はリスクを分散させた株式市場への「インデックス投資」です。中でもドルの基軸通貨制や、強い経済成長力を考えるといまのところは米国株式市場への投資が最も見込みがあると思います。

S&P500やNASDAQ100など代表的なアメリカのインデックスに連動する投資信託を始めるのが最初の一歩でよいと思います。

そのうえで、それだけでは飽きてしまうとか、物足りない方は、外国通貨を運用に加えればよいと思います。メリットは円安のリスクを機動的にヘッジできることです。

円が安くなっていく可能性が強いと思う方、それから自分の資産が円だけで不安に感じる人は、外貨預金やFX積立を行うとよいでしょう。金融マーケットを肌で感じてみたい方には外国為替証拠金取引(FX)をおススメします。

外国為替はその性質が国であることから、世界情勢を肌で感じるのに最適なプロダクトです。私自身、外国為替と出会わなければきっとここまで世界の情勢に興味を持たなかったと思います。

私は「為替から世界を学ぶ」というコンセプトで個人投資家向けの情報発信をしていますが、このコンセプトには特に30代~60代の方で共感してくださる方が多いです。

プロと一緒に楽しんで学ぶ、学ぶから地力がつく、ニュースや世界情勢がわかるようになる、外国に詳しくなるから旅行の楽しみも増える、教養が身につき深みのある人に、人生も、金銭的にも豊かな人に、こういったことをモットーに活動しています。

60代より上の方も、人生は100年時代ですから投資を始めるにしても決して遅くない。順番は一緒で米国株式や外貨取引などを取り入れればよいです。

一方で使うべきものやイベントには、思い切ってお金を使ってください。残念ながらお金は墓場までは持っていけません。

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戸田 裕大(とだ・ゆうだい)
株式会社トレジャリー・パートナーズ代表取締役。2007 年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10 年間、外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして1日に数十億ドルの取引を執行するとともに、日本のグローバル企業300 社、在中国のグローバル企業450 社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019 年9月、CEIBS(China Europe International Business School)にて経営学修士を取得。現在は法人向けに、トレジャリー業務(為替・金利)に関するコンサルティング業務を提供するかたわら、為替相場講演会に多数、登壇している。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(小社刊/ 2020 年)がある。

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