不動産登記法改正により、2024年4月から相続登記が義務化されます。
法務省のアンケート調査結果によると、
相続登記の申請義務化について「知らない」という回答が66%に。
期日までに登記をしなければ、相続人は追加で費用を支払わなければなりません。
今のうちから登記の義務化について、
顧問先や関係先が理解を深められるようなサポートを意識しておく必要があります。
20〜70代の66%が、相続登記の義務化を「知らない」と回答
2021年の不動産登記法改正により、2024年4月1日から相続登記の義務が決定されました。
具体的な内容は、以下の2つです。
(1)不動産取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をする。
(2)遺産分割の協議が成立したときは、その成立を知った日から3年以内に相続登記の申請をする。
もし正当な理由がなく3年以内に申請をしない場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
また、同じく2024年4月1日から『相続人申告登記』という新制度が開始。
現在は、遺産分割協議中に相続登記を申請する場合、
すべての相続人の戸籍謄本などの資料が必要です。
しかし、今回新しく設けられた『相続人申告登記』では、
自らが相続人であることの戸籍を用意できれば、
相続人のうち一人だけでも手続きを行うことができます。
これらの相続登記について、法務省は2022年7月、認知度調査を実施。
調査は、「配偶者、または親が不動産を所有している成人男女1,200人」で、
20代から70代までの各世代200人ずつが対象です。
調査結果によると、相続登記の申請義務化を「全く知らない」との回答が43.1%、「よく知らない」が23.3%。
「知らない」という回答が全体の66%であることが明らかになりました。
約1年半後には義務化がスタートしますが、いまだ認知度は低い水準です。
■2024年4月から、不動産を相続した場合の登記申請が、法律上の義務になることを知っていますか。
認知したきっかけは「インターネット」が最多に
また、認知度を年代別に見ると、相続登記義務化を
「詳しく知っている」「大体知っている」との回答は、20代が最多。
直近で相続に関わる可能性が高い40代・50代では、
「聞いたことがあるが、よく知らない」「全く知らない」との回答が最も多い結果となりました。
■年代別回答:2024年4月から、不動産を相続した場合の登記申請が、法律上の義務になることを知っていますか。
「新制度を知った方法」については、インターネットが最多。
20〜30代の若い世代も、ネットで得た情報から、
相続への理解を深めていることが伺えます。
親が元気なうちから相続について理解を深めることで、
資産全体や家族関係を把握でき、円滑な相続につながります。
そのためにも、幅広い世代が相続について理解を深めておくことが重要です。
■相続登記の義務化について、どのような方法で知りましたか(複数回答可)。
相続の相談先・士業はトップ5にランクイン
今後、自分が相続手続きをすることになった場合、
相談したい相手は「親族・知り合い」 との回答が 最も多く、
次いで「自治体」、「司法書士」、「弁護士・税理士・公認会計士」、「法務局」が上位に。
士業がトップ5にランクインする結果となりました。
■今後相続をすることになった場合、誰に相談をすると思いますか(複数回答可)。
近年、ネットやテレビ、新聞などで相続をテーマにしたコンテンツが増えており、
世代を問わず相続について知る機会が増えています。
また相続のサポートを行う企業も増加し、相続需要の高まりが伺えます。
このようななかで、士業も顧客に十分なサポートができ、
相続発生時に頼られる事務所となるよう、最新の相続情報を知っておくことが重要です。
勉強会を開催したりチラシを準備したりなど、顧客と接する機会のあるスタッフも対応ができるよう、
日頃から事務所内でも相続への理解を深めておく必要があるのではないでしょうか。
※出典『相続登記の義務化・遺産分割等に関する認知度等調査・法務省民事局』