最大効率ゴルフスイングでゼロからやり直す!
(画像=TomasMarek/stock.adobe.com)

(本記事は、菅原 大地氏の著書『最大効率ゴルフスイングでゼロからやり直す!』=KADOKAWA、2022年6月30日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

クセはクセで上書きするしかない

ゴルフの上達にはボールを打つことは必要不可欠です。しかし、ボールを打つことよりも大切なことがあります。どういう考えを持ってスイングをするのか、自分が今はどういう状態で、どういう練習が必要なのかという、練習と向き合う心構えが何よりも大切です。

本当にやるべきことをしっかり押さえて練習をしていかないと、いくらボールを打ったとしても上達することはできません。間違った構えや動作でボールを打ち続けていたら、むしろ悪い方向にいく、後々困ってしまうクセを身につける恐れがあることを知ってほしいと思います。

練習と向き合う心構えとして、理解しておくべきなのは、“上達までの道のりに近道はない”ということ。大きく分けると、まっすぐ進むか、遠回りするか、あと戻りするかの3本の道があると思います。まっすぐ進むのがいちばんの近道と思うかもしれませんが、効率良く上達するための近道はないと思ってください。そうした心構えを持って練習に取り組むことが、はじめの一歩となります。

では、練習の方法という部分では何が大切なのか? ゴルフのスイングの肝となるのは、構えであり、グリップです。過去にゴルフを経験していて、時間ができたので再開してみようという方の場合、「基本はできている」と考えがちです。この「できているだろう」という思い込みは、上達を妨げる要因となるので、まずは自分がどういう状態なのかを理解しましょう。

すでにクセがついてしまっている人は、自分のスイングに対する疑問を持つこと、できていないことを認識する必要があります。つねに半分は疑って、半分は信じてというように、自分への疑問を持っておくことです。人間は本能的に元に戻ろうとする生き物なので、良くない箇所がわかっていたとしても、自分のやりやすいやり方に戻ろうとします。なので、つねに疑問を持つことが大切なのです。

最大効率ゴルフスイングでゼロからやり直す!

自分のクセというのは、思った以上に抜けにくいものです。一度、レッスンプロに見本を見せてもらったからといって、それがすぐにできるようになるわけではありません。悪い身体の使い方、クセが身についてしまっているとしたら、それを直すのはなかなか難しいものです。なぜならクセは一瞬でつくものではなく、長い期間同じことを続けた結果、クセになったものだからです。

これを変えていく、改善していこうと思ったら、新しいクセ、良い身体の使い方で上書きするのがいちばんの方法です。新しいクセ、良い身体の使い方を徹底してルーティンのなかに取り入れ、半年、1年とやり続けることで、ようやくクセとして身につくのです。

ボールを打つと下手になる

打ちっぱなしに練習に来ている方の大半は、ボールを打つことが上達への近道だと考えていると思います。もちろん、ボールを打つことで上達する部分もあると思いますが、人間はボールを目の前にすると、どうしても遠くへ飛ばそうという意識になってしまいます。

ナイスショットを打てなかったら、悔しいですし、感触も気持ち悪いので、すぐに気持ちの良いものに切り替えたいと思って、とくに修正もしないままボールを打ってしまいがちです。たまたまうまく当たってナイスショットが出ると気持ちが良いので、それで満足してしまいます。ただ、これでは上達したことにはなりません。

10球打って1球ナイスショットが出たからといって1球分成長するわけではなく、一か八かのスイングでいくら練習しても、結局、一か八かの確率は変わりません。

エンジョイゴルファーの方で「気持ち良く打ちたい」というのがいちばんの目的だとしたら、気持ち良さを追い求めても構いません。しかし、少しでもスコアを伸ばしたい、上達したいと考えているのであれば、気持ちの良い当たりに特化するのはマイナスです。

最大効率ゴルフスイングでゼロからやり直す!

気持ちの良さを求めると、本能的に自分の持っているすべてを駆使して当てにいってしまいます。効率やメカニズムに関係なく、ボールをフェースの真ん中に当てようとすると、手打ちになったり、身体が伸び上がったり、結果的に効率の悪いスイングになる恐れもあります。もっと言えば、悪いスイングはケガにもつながります。つまり、気持ちの良い当たりを求めるのは、スイングができてからのほうが良いのです。

私のレッスンを受けてくださる生徒さんのなかに、1年前にゴルフを始めたばかりの70代の方がいます。その方には「ボールを打てば打つほど下手になりますよ」と言い続けています。毎週1時間のレッスンをしているのですが、その方は素振りをしないでボールを打つので、「ボールを打ってはいけない」ということを繰り返し伝えてきました。

その方が1週間レッスンに来ることができず、2週間ぶりにレッスンをしたとき、「ボールを打てないので家で素振りだけ毎日やっていました」と言っていました。そしてボールを打ってみたら、すごく良くなっていたのです。家での素振りの際に意識してもらったのは、バランス良くフィニッシュで止まることです。素振りはボールがないので、身体の動き、フィニッシュの姿勢に集中できるという利点があります。その結果、悪いクセが修正され、ボールを打つと良い球が打てるようになっていたということです。

ただ、繰り返しになりますが、クセは簡単には直らないので、打ち始めるとすぐに悪いクセが戻ってきます。その場合はすぐにボールを打たずに、素振りで動きを確認することをオススメします。

最大効率ゴルフスイングでゼロからやり直す!
グリップはとても大事。ただクラブを握っているだけでは良い構えにならない
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菅原 大地
1989年生まれ。プルーフコーポレーション所属。日本プロゴルフ協会ティーチングプロA級、ジュニア指導員。19歳でゴルフを始め、わずか4年でティーチングプロ試験に合格。横浜の練習場・ハンズゴルフクラブを中心にレッスンをおこない、丁寧でわかりやすい指導と、独自の理論や練習法によって4歳~80歳代まで老若男女問わず数多くのゴルファーを上達へと導く。個人レッスンは満員、スクールのキャンセル待ちは1年以上と絶大な人気を誇るティーチングプロに成長。YouTubeチャンネル『DaichiゴルフTV』は登録者数39万人超。

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