相続が発生した場合には、どのくらいの相続税がかかるのか気になるものです。相続税の合計金額を計算した後は、相続人各人にかかる相続税金額を算出することになります。適用される控除金額など具体的な計算方法を見てみましょう。
1. 実際の遺産金額を分けてみよう
相続税の合計金額を計算した後は、具体的に相続人各人が実際にどれほどの相続分を取得することになるのか決めていかなければいけません。法定相続分はあくまで原則的なルールであり、実際には相続人の間で相続財産を自由に分けることが出来るようになっています。ここで、決まった相続財産の取得割合をもとに、以下の通り各人の税金額を算出するようになります。
2. 控除比率が大きい 「配偶者の税額軽減」
各人の負担する相続税の金額が分かれば、次に各人に対して適用される控除額があるのかどうか検討することになります。相続人の属性に対して適用される税額控除については、以下を確認してみましょう。
2-1. 税額控除が適用される各ケースについて
(1)未成年者:
税額控除金額 = 10万円 × 20歳までの年数
(2)障害者:
税額控除金額 = 10万円 × 85歳までの年数
(3)配偶者:
(a)と(b)の少ない方の金額
(a)実際に取得する課税対象財産金額
(b)1億6000万円 or 法定相続分相当金額
(4)生前贈与:
(a)相続時精算課税制度を利用する場合
⇒制度利用により、贈与をした金額
(b)毎年生前贈与を行った場合
⇒支払い済みの相続発生前3年分の贈与税のうち相続税の課税対象金額
上記を元に、実際に税金額を計算してみます。
例えば、Aさんは妻と子供を残し亡くなってしまったとします。相続財産は、金融資産1000万円、不動産が2000万円の場合に、妻がAさんの全財産を相続することにしたとしましょう。
そうすると、妻が実際に相続する3000万円の相続財産に対して、税金がかけられることになりますが、上記によれば妻には配偶者控除が認められ3000万円<1億6000万円の関係が成り立ちますので、この場合税金はかからないということになります。
3. まとめ
今回は、相続税の合計金額から実際に相続人が負担する相続税の考え方について解説をさせて頂きました。ただし、相続人各人の税金を計算した後も、税金控除を算出すると、税金がかからないということもありますので、忘れずに確認するようにしましょう。(提供:ベンチャーサポート法律事務所)