2020年度の国内文具・事務用品市場規模は、前年度比8.2%減の4,077億円
~コロナ禍を受けて大幅に縮小~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内文具・事務用品市場を調査し、商品別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
国内文具・事務用品市場規模推移
1.市場概況
2020年度の国内文具・事務用品市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比8.2%減の4,077億円となった。当該市場は、市場拡大を牽引していた筆記具の減速、少子化の進行、オフィスのデジタル化の進展などを受けて2017年度より縮小傾向にある。特に2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大による文具販売店の休業・営業時間の短縮、インバウンド(訪日外国人客)需要の激減、入学シーズンにおける学校の休校措置、在宅勤務・リモートワークの広がりによるオフィス需要の冷え込み、外出自粛によるユーザーの購買行動の制限などのマイナス影響を大きく受けた。
2020年度の分野別市場規模は、筆記具市場が前年度比16.4%減の792億円、紙製品市場が同6.3%減の1,410億円、事務用品市場が同5.7%減の1,875億円となった。
2.注目トピック
「ニューノーマル」への対応施策
コロナ禍によってもたらされた社会環境の著しい変化は、文具・事務用品市場にも大きな影響を与えており、2020年度は文具・事務用品の多くの品目が市場縮小を余儀なくされた。このような環境下、文具・事務用品メーカー各社では、コロナ禍によって浸透した新しい生活様式=「ニューノーマル」への対応について模索を進めている。
現状では、不確実性が強まる環境下、各社の取り組みの方向性はさまざまであるが、商品展開のキーワードとしては、在宅勤務・テレワークなどの多様な働き方へ対応した商品の提案、抗菌仕様・飛沫防止など衛生面に配慮した商品の投入、巣ごもり消費など趣味的な需要へ対応した商品への注力などが挙げられる。また、販促面では、消費者の購買行動の変化への対応としてeコマースへの注力や、ネット媒体の活用による情報発信のさらなる強化などが推進されている。
3.将来展望
2021年度の国内文具・事務用品市場規模は、コロナ禍は継続しているものの、2020年度と比較して学校の休校措置が行われていないことや、経済活動の正常化も進んでいることから、前年度比1.0%増の4,118億円を予測する。
法人需要は、DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進される環境や、コロナ禍による在宅勤務・リモートワークの広がりによって輪をかけて停滞がみられており、文具・事務用品メーカーの多くは、パーソナルユースの商品展開に重きを置く傾向をさらに強めていくものと予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2021年10月~12月 2.調査対象: 文具・事務用品関連事業者等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用 |
<文具・事務用品市場とは> 本調査における文具・事務用品とは、筆記具(鉛筆、万年筆、油性ボールペン、水性ボールペン、シャープペンシル、油性マーカー、水性マーカー)、紙製品(ノート、学習帳、手帳類、封筒、アルバム、ルーズリーフ、レポート用紙)、事務用品(ファイル類、粘着テープ、印章類、ラベル類、事務用のり、黒板類、修正用品、カッター、ステープラー、消しゴム、文具はさみ、電子文具〔ラベルライター他〕、電子辞書)の3分野27品目を対象とする。なお、水性ボールペンにはゲルインキボールペンを含む。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 鉛筆、万年筆、油性ボールペン、水性ボールペン、シャープペンシル、油性マーカー、水性マーカー、ノート、学習帳、手帳類、封筒、アルバム、ルーズリーフ、レポート用紙、ファイル類、粘着テープ、印章類、ラベル類、事務用のり、黒板類、修正用品、カッター、ステープラー、消しゴム、文具はさみ、電子文具〔ラベルライター他〕、電子辞書 |
出典資料について
資料名 | 2021年版 文具・事務用品マーケティング総覧 |
発刊日 | 2021年12月24日 |
体裁 | A4 516ページ |
価格(税込) | 132,000円 (本体価格 120,000円) |
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