(本記事は、岡田 康子氏の著書『自分で決める、自分で選ぶ―これからのキャリアデザイン―』=東峰書房、2016年1月13日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
社会の変化を理解して「準備」していますか?
●一〇年、二〇年後の社会の変化を予測する
キャリア・ビジョンを描く際には、「自分が何を求め、何ができるのか?」という棚卸しのほかにも考えておくべきことがあります。
それは、一〇年、二〇年後の社会の変化を予測するということです。
あなたがいくら努力をしても、将来、会社(そして社会)がその様な人材を必要としていないとなると、せっかくの能力が無駄になってしまいます。
事実、ここ二〇年くらいの間にも、私たちの身の回りから多くの業種や会社、ビジネスモデル、職業、製品などが消えていき、それに代わったものが現れていますね。
これだけ社会の変化が激しくなると、私たちが子供の頃に慣れ親しんでいたモノやサービスのうち、未だに儲かるビジネスとして成り立っているケースのほうがむしろまれなのかもしれません。
将来に関しては、最近話題の二人の学者による予測が衝撃的です。
まず、米国デューク大学のキャシー・デビッドソン氏は、二〇一一年度にアメリカの小学校に入学した生徒の六五%は大学卒業時には今はまだ世の中に存在しない職業に就く――という予測をしています。
また、前述のように『雇用の未来――コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文を発表したオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授は、アメリカでは今後一〇年から二〇年程度の間に約四七%の仕事がコンピューターによって自動化される可能性があることを指摘しています。
では、将来の社会はどうなっていくのでしょう?
予測できる変化を一覧表にしてみました(次頁図参照)。
コンピューターやロボットが私たちの働き方を大きく変え、海外からの労働者も増えていく中で、あなたにしかできないことは何なのでしょうか。
●会社と自分の関係を見つめ直す
社会が変化すれば、当然、社員と会社との関係も変わります。
図にあるように、これからのビジネス環境はますます大きくなり、非常に不確実性の高い、超競争社会になります。
企業の持つ“競争の優位期間”や製品のライフサイクルもこれまで以上に短くなり、目まぐるしい栄枯盛衰が繰り広げられるでしょう。
例えば、数年前までは携帯電話(いわゆるガラケー=ガラパゴス・ケータイ)の関連企業は大きな利益を挙げていましたが、スマートフォンが登場して普及すると、あっという間に業績が悪化してしまいました。SNSにしても、facebookやLINEなど次々と登場する新サービスによって、勢力図がどんどん塗り替えられています。
そういう社会の変化の中で、会社とあなたはどうなっていくのでしょうか。想像してみてください。
・自分の会社はどういう方向に行くと思いますか?
・自分はどんな働き方をしていくべきだと思っていますか?
中小・零細企業に勤めている方は、会社がなくなる不安や危機感を持っているかもしれませんが、大企業に勤めている人の中には「会社は永遠に続く」と勘違いしている人がたくさんいます。少なくとも自分の会社は潰れないし、自分はそこにいることができると思い込んでしまっているのです。
もうそんな時代ではありません。
四〇代からの社員は、会社にどう雇い続けてもらうかではなく、自分が会社をどう支えるかを考えなくてはならないのです。
●いろいろな働き方があっていい
その一方で、企業は、事業形態に合わせて人材・雇用の形態を選択し、欧米企業のように個人の職務範囲を明確に定義していく流れになるでしょう。
労働市場では、人材の流動化(転職や中途採用)が今以上に進んでいくと思われます。
その中であなたは「広義のキャリア」を豊かにするために、キャリア形成の機会を重視し、多様な雇用形態の中から自分のライフスタイルに合ったものを主体的に選んでいけるようになります。
ずっと同じ会社、同じ形態で働くのもいいし、一度離れるなり、違う勤務形態を経験してからまた会社員に戻ってもいい。独立起業してもいいと思います。
いろいろなキャリア、働き方があっていいのです。
今は、正社員になるのが難しいという現実もありますが、その一方で、正社員が欲しいという中小企業もあります。
でも、「会社が小さい」「きつい仕事はしたくない」という理由で、有名企業、大手企業などの競争の激しいところにみんなが集中してしまうから、需給のバランスが取れないのです。人材が集中した職場での競争は熾烈で、当然企業側の力が強くなります。組織としては一人ひとりの個性を活かすというよりは、組織にとってより好都合な人を残し、使いきることこそが効率的だということになります。
持てるスキルを磨き、できることを把握して、少し違う場で自分自身の能力を発揮しようと思ったら、受け入れてくれる職場はいくらでもあります。
逆に、中小企業に入って何かを任されて経験とスキルを積んだ人が、大企業に中途採用で入る道もあります。
今、女性の取締役を置こうとしている潮流がありますが、そういう会社にとっては、むしろ小さな会社でビジネスを総合的に体験してきた人、直観的に動ける人が重宝されることでしょう。
あなたも、あるとき、取締役としてヘッドハンティングされるかもしれません。その日のためにビジネスを理解しておきましょう。
今、そういったキャリアの道は選択肢がとても増えています。途中で学校に行ってもいい、海外に行ったり、育児をしてもいい。人生のいろいろな“絵”が描けます。
いずれにしても、大事なことは、自ら働き方を選べるように高いスキルを身に付けておくこと、プライベートも大切にすること、そして、どのようなスタイルの働き方であろうがきちんと自分を主軸にして働くことです。
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