信用保証協会,制度融資
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

起業をする方や、すでに起業をしている方にとっても、どのようにして資金調達を行うかというのは大きな課題です。

その中の一つの方法として制度融資というものを知った方はキーワードとして「信用保証協会」というものをよく見るようになっているのではないでしょうか。

このページでは「信用保証協会」とはどのようなものかを、制度融資の制度と合わせてお伝えします。

信用保証協会とは

信用保証協会は「信用保証協会法」という法律に基づいて設立される法人で、中小企業が銀行からお金を借りる際に債務の保証をすることで、中小企業が円滑にお金を借りられるようにすることを目的としたものです。

銀行が貸付をするときには、主に提出される財務諸表などの定量的な情報を元にスコア化して貸付をするシステムを取っています。

そのため、通常財務基盤があまり安定していない中小企業は、銀行からお金を借りづらいようになっています。

しかし中小企業が育たないと、日本経済の活性化や雇用の確保などがうまくいかなくなります。

この政策的なニーズに応えるため、銀行の債務保証をすることで銀行がお金を貸しやすくすることで、中小企業の資金調達という課題を解決するのが目的です。

この目的は信用保証協会法1条に「この法律は、中小企業者等が銀行その他の金融機関から貸付等を受けるについてその貸付金等の債務を保証することを主たる業務とする信用保証協会の制度を確立し、もつて中小企業者等に対する金融の円滑化を図ることを目的とする」という条文で明確化されています。

信用保証協会は各都道府県に1つずつ設置されており、横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市にはその市を受け持つ保証協会が設立されており、全国で51の信用保証協会が設立されています。

銀行は信用保証協会が保証人となって貸付をするので、返済をする企業の返済が困難になったときには信用保証協会は債務者に代わって返済をする(代位弁済といいます)ことになっています。

代位弁済をしたときには信用保証協会は、中小企業信用保険法という別の法律に基づいて、日本政策金融公庫から債務額の7~9割の金額の補償を受けることができ、残った部分については元々の債務者に直接払ってくださいということができるようになっています(求償権と呼ばれています)。

制度融資とは

制度融資とは、中小企業の資金調達を円滑に行うために、地方自治体が信用保証協会・銀行と連携してする融資のことをいいます。

上述したように信用保証協会は都道府県ごとに設定されていることから、その内容は都道府県ごとによって異なります。

例えば東京都の場合には

・ 都内に事業所(住居)があり、保証協会の保証対象となる業種を営んでいること。
・ 事業税その他租税の未申告、滞納がないこと。
・ 許可、認可、登録、届出等が必要な業種にあっては、当該許認可等を受けている(又は、受ける)こと。
・ 現在かつ将来にわたって、暴力団員等に該当しないこと、暴力団員等が経営を支配していると認められる関係等を有しないこと及び暴力的な要求行為等を行わないこと。

次の要件を満たす中小事業者に対しては、下記のような制度融資を設けています。

さまざまな事業運営に活用する制度融資

事業がどのような段階にあっても使える融資の制度で大きくは次の2つにわかれます。

小規模企業向け融資
中小企業信用保険法2条3号所定の「小規模企業者」に該当する方に向けて小口資金調達のための「小口」「小口支援特例」「短期つなぎ特例」「小口短期」と事業資金調達のための「小規模企業」という5種類の融資の制度を用意しています。

一般事業融資
「小規模企業者」に該当しない規模の中小企業については、事業資金の調達として「事業一般」「受注対応特例」「ビジネスチャンス・ナビ2020連携特例」「短期つなぎ特例」という4種類の、限度内での繰り返しの資金調達として「極度枠設定」を、組合の事業資金の調達として「官公需適格特例」という融資を用意しています。

新たな事業展開に活用するための融資

融資を受ける目的が、新たな事業展開に活用するためであるような場合に特別な融資の制度があります。

創業融資
あらたに起業をするための融資の制度として「創業」「創業支援特例」という2つの融資制度があります。

産業力強化融資
設備投資や販路拡大、経営多角化などのニーズに応じた融資として「設備投資・企業立地促進」「働き方改革支援」「海外展開支援」「チャレンジ」「政策特別(金融機関提案)」という内容の融資の制度があります。

経営の安定化に活用

中小企業が何かの理由で経営が不安定になったときに利用できる融資の制度としては次のようなものがあります。

経営支援融資
経営を支援するために、「危機対応」「経営セーフ」「経営一般」「事業承継」「事業承継支援特例」「経営者保証特例」「M&Aつなぎ特例」「経営支援」という経営不安に応じたものから、「企業再生」「特別借換」という企業再生が必要な場面の融資などに対応しています。

信用保証協会,制度融資
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

制度融資の申し込み方法

この制度融資はどのようにして申し込むのでしょうか。

融資の申し込みは地方自治体の制度融資の窓口に申し込みをすることになります。

申し込みを受けた自治体は審査を行い、融資がされる場合には金融機関に紹介状・あっせん書を発行してくれます。

これをもって金融機関に制度融資の申し込みをします。

金融機関のほうで受け付けがされると、信用保証協会は申込者を信用保証協会に呼び出しをして申し込み内容を確認し、その上で最終的な審査を行います。

信用保証協会で保証をするという審査がされると、信用保証協会は金融機関にあてて保証書を発行します。

保証の通知を受けた金融機関で最終的な審査に合格すると、申込者と契約を結び、融資を実行するという流れになります。

起業をするならば制度融資?

これから起業をする方にとっては制度融資を利用すべきなのでしょうか。

上記の東京都の事例のように制度融資には創業支援のための融資制度があり、その他の都道府県等の貸付についても制度融資を利用して起業するメリットはあるといえます。

しかし、創業融資については日本政策金融公庫が行っているものもあり、こちらは制度融資と比較すると代表者の連帯保証が不要であるというメリットがあります。

また借入ができる金額が日本政策金融公庫の創業融資の方が多いので、設備資金・運転資金としてたくさんのお金が必要な場合には制度融資では足りない場合があります。

また設備資金の償還の期限は日本政策金融公庫からの借入の場合には最長20年となっているので、月々の返済にゆとりができます。

あらたに起業しようとしている方が、女性や35歳未満または55歳以上の場合には、女性・若者/シニアといった特別に優遇した利率での貸付をしているのは日本政策金融公庫となります。

さらには、申込から融資実行まで日本政策金融公庫のほうが2か月ほど早いという傾向にあります。

総じて創業時には日本政策金融公庫からの借入の方が有利といえるでしょう。

まとめ

このページでは信用保証協会とはどのようなものかという概要と、制度融資の東京都の実例、申込方法と起業時の注意点についてお伝えしてきました。

融資が受けるのが難しい中小企業の資金調達方法として有力な制度融資の基本的な仕組みを知り、円滑な融資を受けるようにしましょう。(提供:ベンチャーサポート税理士法人