「やりたいこと」が見つかる時間編集術 「4つの資産」と「2つの時間」を使って人生を変える
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(本記事は、長倉 顕太氏の著書『「やりたいこと」が見つかる時間編集術 「4つの資産」と「2つの時間」を使って人生を変える』=あさ出版、2020年12月9日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

真面目は何も生まない

このように、「アンプロダクティブタイム」の可能性は計り知れません。

でも、これだけメリットを伝えても、真面目な人ほど「何もしない」と言うと、ゾワゾワしてしまいます。きっと、真面目ゆえに「何かやらなければ」という想いが湧いてきてしまうのでしょう。

とくに、インターネットが発達し、スマートフォンが普及した現在、僕たちは朝起きてから寝るまでの間、ずっとなんらかのタスクをやっている状態にいます。

そんな僕も以前は、四六時中スマートフォンを握っていて、部下やビジネスパートナーからのメッセージにすぐ反応していました。

僕は『GIG WORK(ギグワーク)』(すばる舎)という本を書いていますが、ギグエコノミーになってくると、誰もが「いつでもどこでも仕事ができる」環境になります。

すると、たとえば、普段の仕事の合間にギグワークを入れていくなど、かつての僕みたいに無理をしてしまう人が増えていきます。

ただ、こんな生活は多くの人にとっては続かないでしょうし、メンタルがおかしくなってしまいます。

生産性にこだわればこだわるほど、人は疲弊していき、どんどん視野が狭くなっていきます

食べていくために、そういう時間が必要なのも事実です。

だからこそ、僕は「プロダクティブタイム」と「アンプロダクティブタイム」に分けるように言っているのです。

オランダ人は大人

どちらか一方だけでも人生はおかしくなります。

よほど才能がなければ「アンプロダクティブタイム」だけで食べていくのは厳しいはずです。なんでもバランスが重要ですが、僕がはっきりしておきたいのは、

「アンプロダクティブタイム」のために「プロダクティブタイム」を活用する

ということ。

つまり、「アンプロダクティブタイム」をメインにおくのです。

よく海外のリゾート地で外国人たちは長期間、何をするわけでもなくホテルに滞在していたりします。ビーチで読書をするために来ているような人も見かけます。

一方、日本人は観光に忙しそうにしているという光景を目の当たりにします。

僕たちは「真面目」が良いことと教育を受けていたから、何もしないで休むことに罪悪感があるのかもしれません。

休むことに対する罪悪感でいうと、有給休暇なんかも同じです。ほとんどの日本の会社では有給休暇が取りづらい雰囲気になっています。

先日、オランダのビジネスパートナーからこんな話を聞きました。

「飛行機のチェックインカウンターで、多くの人が便に乗り遅れそうなくらい並んでいた。ところが受付の女性が帰り支度を始めても、誰一人文句を言わなかったんだ」

オランダの人たちは、仕事を終えて帰るのはその女性の権利だからと、誰一人怒らなかったというのです。

日本なら、というか僕なら、自分が飛行機に乗り遅れそうなら焦って、クレームをつけていると思います。

救急車で運ばれてわかったこと

僕自身も「休む」ということに罪悪感を抱くほうでした。

「休んでいる間に置いていかれるのではないか」「もっとやれることがあるのではないか」といった気持ちが強かったからです。編集者時代は、「ベストセラーを出し続けなければいけない」と勝手に思っていました。

だから、24時間365日ずっと仕事のことばかり考えてきました。逆に不安だったから、「こんなにやっているんだから結果が出ないわけない!」って思い込みたかったのかもしれません。

独立する前はきっと悲壮感すら漂っていたはずです。いまでもよく言われます。出版社を退職したときの表情が、在職時とはまったく変わっていたと。

そんな考えが変わったのは、独立して2年目に救急車で運ばれ、入院したときです。

病気は僕が盲腸の痛みを無視し続けた結果、腹膜炎になってしまったという間抜けなものでしたが、人生初の入院。しかも、40日間。長いか短いかわかりませんが、それまで10年以上走り続けた僕にとっては、久々に立ち止まった時間でした。

「損するつもり」で生きる

そのときに思ったのは、僕たちは圧倒的に恵まれているなということです。

よく自分の生まれてきた環境や不運を嘆く人がいますが、日本に生まれてきただけでも世界的に見れば恵まれています。

世界を見渡せば、学校に行けない子もいれば、生まれたときから職業を決められている子、結婚相手を選べない子など、さまざまな状況の中でまったく選択肢がない環境に生きている子が多くいます。

それに比べれば、僕たちが恵まれているのは明らかです。もちろん、悲惨な環境で育った人もいるでしょう。ただ、それを嘆いても仕方がない。切り替えて、未来に向かっていくしかありません。

僕たちは十分に恵まれているにもかかわらず、「もっともっと」という社会の中で、いつのまにか「生産的であることが善」であるかのように洗脳されているのです。

現在、それが究極のレベルまできていて、多くの人のメンタルが壊れる現象がいたるところで見られるようになっています。

そこで僕が思ったのが、「損するつもりで生きる」というものでした。

なぜなら、多くの人が「得したい」「損したくない」という気持ちで生きているからです。だからこそ、その逆の姿勢で生きるだけで、多くの人と違う視点を持ったり、違う行動ができるようになるのです。

「生産性のジレンマ」でも書いたように、いまの時代、非生産的に生きたほうがいいのです。

「お前、何やってんの?」って思われるくらい「ユニーク」な存在を目指すのです。

これからはユニークな人しか人脈も広がらないし、最終的にはお金もついてこないでしょう。

「アンプロダクティブタイム」では、とことん損するつもりでいきましょう。

「アンプロダクティブタイム」にチャンスがやってくる!

この章の最後に、僕が「チャンスの法則」と呼んでいるものを紹介します。

それは、

ギブ―テイク=チャンス

というものです。

「損しよう」と言われても多くの人が、なかなか理解できないと思います。どうしても、「損したくない」という意識が強くなるからです。

そもそも僕たちの人生はテイクしまくりです。いま、こうやって部屋で原稿が書けるのも、パソコンを開発してくれた人がいるからだし、建物を建ててくれた人がいるからです。

また、僕に本を書かせてくれる出版社の人、いま読んでくれているあなたがいるから、本として成立しています。

そんなことを考え始めたら、すべてが誰かのおかげです。つまり、僕たちは、生きているだけでテイクしまくりな状態なのです。

テイクしている量を考えたら、ギブが上回ることはなかなか難しい。だからこそ「損するくらい」の勢いでギブしていいのです。

そうするとチャンスが来るというのが、僕が提唱する「チャンスの法則」です。

つまり、「テイク以上のギブをしたときに、チャンスがくる」ということ。

こう考えれば、どんな人でもギブしまくれるんじゃないかなと思っています。「ギブ−テイク=チャンス」という気持ちで生きていくと、人生は間違いなく良い方向に広がっていきます。

「やりたいこと」が見つかる時間編集術 「4つの資産」と「2つの時間」を使って人生を変える
長倉顕太(ながくら・けんた)
作家・プロデューサー・編集者。1973年、東京生まれ。学習院大学卒業後、職を転々としたあと28歳の時に出版社に転職し、編集者としてベストセラーを連発。独立後は8年間にわたりホノルル、サンフランシスコに拠点を移して活動し、現在はコンテンツのプロデュースやこれらを活用したマーケティング、2拠点生活の経験を活かしたビジネスのオンライン化/テレワーク化のコンサルティング、海外での子育ての経験(とくにギフテッド教育に詳しい)から教育事業などに携わっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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