「企業が行う活動」と聞くと、利益を得るための事業活動をイメージする人が多いだろう。しかし近年は、利益に直結しない社会的な活動(CSR活動)を重視する企業が増えている。そこで今回は、CSRの意味や実践するメリット・デメリット、事例を解説していく。
目次
CSRとは?
はじめに、CSRの意味や注目される背景、サステナビリティとの違いを簡単に解説する。
CSRの意味
CSR(Corporate Social Responsibility)は、直訳すると「企業の社会的な責任」という意味の用語だ。具体的なCSRの定義に関しては、厚生労働省が以下のように定めている。
「企業活動に社会的公正や環境などへの配慮を組み込み、従業員や投資家、地域社会などの利害関係者に対して責任ある行動をとると同時に、説明責任を果たしていくという考え方」
出典:厚生労働省
つまり、利益ばかり追求するのではなく「社会や環境にとって利益のある活動を行うべき」という考え方を意味する。社会問題の解決や環境保護など、CSRの考え方にもとづいて行う企業活動は「CSR活動」と呼ばれる。
CSRとサステナビリティの違い
CSRとサステナビリティは、しばしば意味が混同されがちだが、厳密には異なる概念である。サステナビリティ(Sustainability)とは、環境や社会、経済の視点から持続可能な世の中を実現するという考え方だ。特に、持続可能な社会の実現を目指して経営戦略を策定することは、「コーポレート・サステナビリティ」と呼ばれている。
以上を踏まえると、CSRはサステナビリティを実現するために企業が取り得る手段(責任)と言える。持続可能な社会(サステナビリティ)を実現するため、企業が責任感を持って社会や環境などの問題に取り組むことがCSR活動というわけだ。
CSRとSDGsの違い
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称だ。持続可能な開発目標は「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」という意味である。SDGsは、持続可能な開発目標として17の目標を掲げているのが特徴だ。
CSRは社会やステークホルダーの期待を察知して信頼獲得につながる自らの行動を自由に選択できるが、SDGsは人類共通の課題として17の目標が明示されている点が大きく異なる。
CSRとボランティア活動の違い
CSR活動の一環として社会貢献活動を行うケースもあるため、CSRとボランティア活動の違いがよくわからない方もいるかもしれない。ボランティア活動とは、個人や企業が自発的に行う活動だ。他人や社会のために取り組むもので原則報酬を得ることを目的とはしない。例えば高齢者や障がい者を対象とした活動としては、一人暮らしの高齢者の見守り活動や社会参加支援、点訳・手話などが挙げられる。
一方CSRは、企業が社会的責任を果たすことで企業価値を高めることが目的のため、利益を目的としないボランティア活動とは大きく異なる。
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CSRが注目される背景
CSR活動は、1990年代後半から「環境経営」として定着していた一面があるが、2000年以降に関心が高まったといわれている。CSRが注目される背景をまとめると以下の通りだ。
・イメージや企業価値の向上
・取引先や株主との良好な関係性につながる
・優秀な人材の獲得や社員満足度の向上
それぞれの背景について以降で詳しく見ていこう。
イメージや企業価値の向上
CSRが注目されるようになった直接のきっかけは、1970年代に生じた公害問題や続発した企業による不祥事(食品の偽装表示など)などがある。公害や相次ぐ不祥事により、企業の事業活動には消費者やNGOなどの各種団体から厳しい目を向けられるようになった。そのような事態を踏まえて、社内外の利害関係者からの信頼を獲得する目的で多くの企業がCSR活動に取り組むようになった。
※2 開発途上地域における企業の社会的責任 CSR in Asia 環境省
取引先や株主との良好な関係性につながる
CSR活動は、社会やステークホルダーの期待を察知して信頼獲得につながるような行動が必要だ。ステークホルダーには、取引先や株主、従業員などが含まれている。ステークホルダーの信頼を獲得するよう行動することで自然と取引先や株主との良好な関係性を築くことが期待できるだろう。
優秀な人材の獲得や社員満足度の向上
CSRを推進することでステークホルダーである従業員の職場環境や待遇改善なども見込まれ、社員満足度の向上が期待できる。社員の満足度が高くなれば採用市場での競争力も高くなり、優秀な人材を獲得しやすくなるという好循環も十分にありえるだろう。
CSR活動を行うメリット3つ
CSR活動を実践することで主に以下のような3つのメリットを享受できる。
1. イメージや企業価値の向上
CSR活動への取り組みを公表することで、消費者や投資家などの外部の第三者に良いイメージを与える。消費者が良いイメージを持つことにより、自社の商品やサービスの売り上げが伸びたり、投資家からの評価が高まり、積極的な出資を得られたりするなど、結果的に企業価値の向上につながることが期待できるだろう。
実際に東京商工会議所によるアンケートでは、中小企業の79.7%、大企業の98.3%がCSR活動に取り組んだメリットとして「企業イメージの向上」を挙げている。この事実からもCSR活動が企業イメージや企業価値の向上に直結することが理解できるだろう。
2. 取引先や株主との良好な関係性につながる
取引先や株主との良好な関係性につながる点も、CSR活動を行う大きなメリットの一つだ。前述したアンケートにおいて「販売先・納入先との関係強化」は、CSR活動で得たメリット全9項目のうち中小企業は上から2番目(56.7%)、大企業は上から3番目(44.1%)に多い。このように取引先との良好な関係の背景には、やはり消費者を中心とした世間から良いイメージを持たれやすい点にある。
消費者が良いイメージを持っている企業と接すれば、取引先はイメージアップにつながるだけでなく安定した利益を得やすくなる。また、消費者や取引先から信頼を得ている企業は、収益が途絶えるリスクが低いため、投資家から見ても魅力的な出資対象となり得るわけだ。
3. 優秀な人材の獲得や社員満足度の向上
長期的に見るとCSR活動は、人事面にも大きなメリットをもたらす。CSR活動に取り組んでいる企業では、働いている社員も周囲から良いイメージを持ってもらいやすい。また、社員自身も社会的に意義のある事業に携わっていると自覚しやすいため、社員の会社に対する満足度が高まりやすくなるだろう。社員の満足度が高まれば、企業は「離職率の低下」「生産性の向上」といったメリットを享受できる。
また、新卒の大学生や求職中の社会人にも良い印象を持ってもらえるため、優秀な人材が集まりやすくなる効果も見込めるだろう。
※3 「企業の社会的責任(CSR)」についてのアンケート調査結果概要 東京商工会議所
CSR活動を行うデメリット3つ
CSR活動に取り組む企業は、あらゆる面で恩恵を受けられる。一方で、CSR活動への取り組みには以下のようなデメリットもあるため押さえておきたい。
1.コストの増加
CSR活動を行う最大のデメリットは、行わない場合と比べてコストが増加する点である。東京商工会議所のアンケートでは、中小企業の73.8%、大企業の81.1%がCSR活動のデメリットとして「コストの増加」と回答している。8つある回答項目の中で中小・大企業ともに最も多い回答結果だ。コストが増加する理由は、短期的には利益に直結しない活動を行うためである。
例えば、環境保護の活動を行えばそこにかかるコストが上乗せされる一方で、収益は入ってこないため利益は減少してしまう。ただし、長期的には前述したようなメリットを享受できる。そのため、CSR活動は一時的な利益の減少を理解したうえで、長期的な視野で行うことが必要だ。
2.設立間もない企業や業績が悪い企業は取り組む余裕がない
先述した通り、CSR活動を行うと短期的にはコストが増加し、利益が減少する可能性が高い。業績が良く資産に余裕がある企業であれば、短期的な損失に耐えられるだろう。しかし、設立間もなく利益も資産もない企業や業績が悪い企業の場合、短期的なコストの増加は致命的だ。コストが増加した結果資金繰りが悪化し、CSR活動のメリットを得る前に倒産するリスクがある。
CSRに取り組む際には、資金的な余裕があるかどうかをあらかじめ慎重に検討しなくてはならない。
3.人材不足に陥る恐れがある
CSRに取り組むうえでもう一つ忘れてはならないデメリットが「人材不足に陥るリスク」だ。東京商工会議所のアンケートでもコストの増加に次いで回答が多かったのが「人材不足」の項目である。CSR活動への取り組みには人手が不可欠であるため、その分だけ本業に投入できる人手が減ってしまう。人材の数に余裕がない企業の場合は、人材不足から本業が疎かになりかねない。
CSRに取り組む企業の5つの事例
現在に至るまで多くの大手企業がCSRに取り組んできた。この章では、数あるなかからCSRに取り組む企業に関する代表的な5つの事例を以下の一覧にまとめた。
各事例の詳細については、以降で説明する。
1.富士フイルム
富士フイルムでは「誠実かつ公正な事業活動を通じて企業理念を実践し社会の持続可能な発展に貢献する」という考え方にもとづき、CSRに取り組んでいる。具体的に同社は、以下のようなCSR活動を実施してきた。
- 再生可能エネルギーへの転換
- 社会インフラの維持管理支援へのAI導入
- 多様な人材・活躍のための仕組み作り
- 物産品購入による被災地支援
- 教育格差是正を支援する新興国における教材提供
幅広い分野・地域でCSR活動を積極的に行ってきた点が、同社のCSR活動における特徴である。
※4 CSRの考え方と各種方針 富士フイルムホールディングス
2.キヤノン
キヤノンでは「CSR活動はマーケティングそのもの」という考え方のもと、持続可能な社会と事業の成長を同時に実現することを目標としている。例えば、日本の医療現場では、高齢化による医療費の増加や医師不足といった課題が深刻化している。同社では、先進的な医療機器を提供することで医療従事者や患者への負担を軽減し、高度医療の実現に努めているのだ。
また、ICT(情報通信技術)と教育を組み合わせたソリューションを提供することで、教育現場が抱える課題の解決や質の高い教育の提供にも取り組んでいる。
3.小松製作所
キヤノンと同じく、本業を通じたCSRに取り組んでいるのが小松製作所だ。小松製作所は「生活を豊かにする」「人を育てる」「社会とともに発展する」という3つの項目に重点を置いてCSR活動を行っている。具体的には、建設機械を稼働させているときのCO2排出を削減する取り組みや、海外諸国での人材育成などだ。
4.ブリヂストン
ブリヂストンでは「最高の品質で社会に貢献」という社是を実現する取り組みの一環として、グローバルな規模でCSR活動を行っている。主な取り組みとしては、原材料である天然ゴムの苗木を生産国に配布し、生産性の向上を支援している。また、タイヤ作りで培った技術を用いた建物用免震ゴムの販売により、オフィスビルから戸建住宅、公共施設に対し地震の際の安全性に貢献する。
5.ダノン
ダノンは「企業が社会の問題・課題の解決に貢献しなければビジネスを発展させることは不可能である」という考え方にもとづいてCSR活動に取り組んでいる。具体的には「廃棄物の大幅削減による環境への負担軽減」「従業員の成果評価に社会貢献に関する項目を設けることでボランティアを促進する」など全社一丸となってCSRを推進している。
国によるCSRの違い
アメリカやイギリスなど欧米諸国のCSRに対する考え方を見ていこう。
1. アメリカ
アメリカでは、デラウェア州会社法が代表するように各州の会社法が法人の取締役会による統合的意思決定や自己優先的意思決定を防ぐ機能を提供している。デラウェア州会社法の要諦は、株主を筆頭とするステークホルダーの利益を守ることだ。アメリカにおけるCSRとは、あらかじめ法律システムに組み込まれた構成要素である。
アメリカでは、過去に発生した数々の企業による不正事件を経て国として企業にCSR活動強化を求めてきた。なかでも大きかったのは、1989年3月24日に発生した大手石油メジャー企業エクソンによる原油流出事故だろう。5,300万ガロンの原油を積んだエクソン・ヴァルディーズ号は、積み地アラスカからカリフォルニアへ向かっていた。
しかしアラスカ州プリンスウィリアムズ湾沖で座礁し流出事故が発生。積荷の20%にあたる1,100万ガロンの原油が流出し周辺の海洋資源を汚染するなど深刻な環境被害を招いた。この事件の結果、環境保護を求める市民意識が高まり、エクソンに対して社会的責任を果たすことを求める機運が高まったのだ。 最終的には、環境NGOの「環境に責任を持つ経済主体連合」が、環境保全に関して企業が守るべき10の倫理原則をまとめ、後に「ヴァルディーズ原則」と呼ばれるものとなった。
2.イギリス
イギリスもヨーロッパを代表するCSR先進国として知られている。イギリスにおけるCSRの歴史は古くすでに1953年には、CSRという言葉が現代と同じ意味で使われていた。イギリスにおいてCSRの実践が本格化したのは1990年代に入ってからといわれている。当初はプライス・ウォーターハウス・クーパーズやKPMGといった大手監査法人などから始まり、やがて他の一般企業に広がった。
CSRは、今や企業以外のNGOやNPOなどでも導入が進んでいるのだ。なお興味深いことにイギリス政府そのものも自らのCSR活動について声明を発表している。
・環境
・ヒューマンリソース
・ファイナンスと購買
・コミュニティ
上記の4つで構成されイギリス政府が具体的にどのようにCSRをはたすのかについて説明。例えば環境では「私たちは、天然資源の廃棄や排出、消費を積極的に管理することで環境への直接的な影響を低減に取り組んでいる」となっている。
海外企業のCSR活動例
続けて海外企業の主なCSR活動例を3つ紹介していく。
1. Google
Googleは、CSRへの取り組みに非常に熱心なことでも有名だ。同社は、専用ページで自社のCSRについてコミュニティもGoogleのステークホルダーであるとしたうえで以下のように述べている。
「GoogleのCSR活動は、これまで1億米ドル(1米ドル110円換算で約110億円)以上寄付してきた奨学金や寄付金も含まれます。特に気候変動やグローバルヘルス、飢餓の領域での活動にフォーカス、サプライヤー行動基準に国際環境基準と倫理コードを盛り込み関係者に徹底を促します」
このように自社のみならずサプライヤーを含む関係者全員のコミットメントを求めているのだ。なおGoogleのCSR活動については、Google.orgで最新の情報がアップデートされている。
2. スターバックスコーヒー
世界75ヵ国で2万8,000店を運営するスターバックスコーヒーもCSRの熱心な信奉者だ。自らのCSRを「スターバックス・ソーシャルインパクト」と呼び4つのフィールドでゴールを設定している。
・原料調達の行動基準
不法労働などが行われやすいコーヒー農場に対し、適正な労働倫理基準の順守を求めている。
・公平な機会の提供
人種やジェンダー、年齢などにかかわりなくあらゆる人に公平な機会を提供。
・グリーンリテールの追求
環境フットプリントを削減し他者にも実践するよう促す。
・コミュニティの強化
スターバックスを「パブリックな会話の場」として提供しコミュニティのエンゲージメントを高める。
3.Amazon
新型コロナ禍でも業績を大きく伸ばしたAmazon。しかし実は、自らに厳しいCSR基準を課してもいる。自社のみならずサプライヤーなどに対しても4つのフィールドにおいて詳細なコードを定めているのだ。特に目を引くのが「気候」のフィールド。Amazonは、パリ協定が定めたカーボンニュートラル実現目標の2050年を10年前倒しした2040年を目指すとしている。
また2025年までにオペレーションで使うすべての電気を再生可能エネルギーに切り替える予定だ。さらに20億米ドル(1米ドル110円換算で約2,200億円)の資金を出資して「クライメート・プレッジ」財団を設立。ゼロカーボン実現を目指す企業や製品、サービス、テクノロジーに投資するとしている。ジェフ・ベゾスCEOのコメントは以下の通りだ。
「ゼロカーボンを実現し、未来の世代の地球を守る企業であれば、スタートアップ企業から大企業まで幅広く投資する」
このようにAmazonは、ゼロカーボンへ積極的に投資する意向を示している。
中小企業におけるCSR活動のポイント
中小企業はCSR活動に費やせるコストが限られているため、将来への影響を踏まえてプランを立てる必要がある。ここからは、中小企業が特に意識したい3つのポイントを解説する。
各ステークホルダーへの影響を予測する
CSR活動の施策を考える際には、各ステークホルダーへの影響を予測しておく必要がある。予測をした結果、自社にとって大きなプラスにならないと判断した場合は、別の角度からプランを考えることが重要だ。
顧客や株主はもちろん、従業員、取引先、地域住民、金融機関などへの影響も踏まえて、慎重に活動プランを組み立てていこう。
無理のない範囲で取り組む
影響を及ぼすステークホルダーや活動領域が限定的であっても、CSR活動自体の効果が薄まるわけではない。むしろ「費用対効果」の観点から見れば、範囲を絞ることが望ましいケースもある。
得られる効果に対して多くのコストをかけると、財務面を圧迫してしまう恐れもあるので、CSR活動は無理のない範囲で取り組むことを意識したい。
長期的・持続的な取り組みを意識する
CSR活動のメリットは、いずれも長期的・持続的な取り組みが前提となる。短期で効果を期待することは難しいので、少なくても数年規模のプランを立てることが必要だ。
また、CSR活動は資金がないと続けられないため、出資者などの資金調達先も同時進行で探すことが望ましい。
CSR活動に関するQ&A
おさらいの意味も含めて、以下ではCSR活動に関する基礎知識をQ&A形式で解説する。ここまで解説していない内容にも触れているため、最後までしっかりと確認してほしい。
Q1.CSRとは?どういう意味?
CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業が果たすべき社会的な責任のことである。
多くの企業は利益を追求しているが、売上にこだわるだけでは社会的責任を果たすことは難しい。とりわけ現代では、顧客や株主、取引先などのステークホルダーを意識し、多方面から評価されるような企業が求められている。
Q2.CSR活動とは?
CSR活動とは、企業が社会的な責任を果たすために社会や環境への配慮を自主的に事業活動およびステークホルダーとの関係構築のなかに組み入れることである。利益を追求するだけでなく、社会なステークホルダーとの対話などから持続可能な社会の発展に寄与するためのあらゆる取り組みは、CSR活動の一つといえるだろう。
Q3.CSRはいつ頃になぜ生まれた?
日本でCSRの考え方が広まったのは、1956年に経済同友会によって行われた「CSR決議」がきっかけとされている。その後、1990年代後半から「環境経営」の考え方が浸透していき、徐々にCSR活動への関心が高まっていった。
なかでも2000年以降に深刻視された食品偽装問題や粉飾決済、地球温暖化などは、企業のあり方が見直される大きなきっかけになっている。
Q4.CSRは誰のために行う?
CSR活動の目的は、それに取り組む企業自体の評価を高めることや、ステークホルダーに対して社会的な責任を果たすことである。つまり、CSR活動は自社や働く従業員のほか、顧客や株主、取引先、一般消費者などのために行う。
また、近年では社会的責任が求められるシーンが増えた影響で、生き残り戦略のためにCSR活動に取り組む例も見受けられる。
Q5.CSRではどんな活動をする?
CSR活動では、ボランティアや寄付、環境に対する取り組みなど、社会・地域に貢献できる活動を行う。収益には直結しないが、社会的責任を果たすことで多方面から評価されるため、CSR活動は企業の持続的な成長につながる。
Q6.企業がCSRに取り組む社会的責任やメリットとは?
企業の事業活動は、社会や環境に大きな影響を及ぼすため、顧客や株主が不利益を被らない活動を目指す必要がある。また、各ステークホルダーからの要求に対して、適切な対応や意思決定をする責任も求められる。
CSR活動が負担になる可能性もあるが、責任を果たすことで社会的な評価が高まるため、企業側には価値向上や組織力の強化といったメリットが発生する。
Q7.企業のCSRの具体例は?
例えば富士フイルムグループでは「誠実かつ公正な事業活動を通じて企業理念を実践することにより、社会の持続可能な発展に貢献すること」という理念を掲げてCSRに取り組んでいる。これまでのCSR活動の具体例は、以下の通りだ。
・再生可能エネルギーへの転換
・社会インフラの維持管理支援へのAI導入
・多様な人材・活躍のための仕組み作り
・物産品購入による被災地支援
・教育格差是正を支援する新興国における教材提供
Q8.CSRの略は?
CSRは「Corporate Social Responsibility」の略語で、直訳すると「企業の社会的責任」という意味の用語だ。
Q9.CSRは誰が作った?
CSRの考え方は、1997年にサステナビリティ社のジョン・エルキントン氏が提唱した。ジョン・エルキントン氏は「トリプル・ボトムラインが大切だ」としている。「トリプル・ボトムライン」とは、事業活動において経済面)だけでなく、環境面、社会面の3点に配慮し、自然環境や社会のサステナビリティを高める経営を行う考え方のことだ。
Q10.CSRの3つの柱は?
CSRの3つの柱は、ジョン・エルキントン氏が提唱した「トリプル・ボトムライン」で触れられている、経済面・環境面・社会面のことだ。これら3点に配慮し、自然環境や社会の持続可能性を高める経営を行うことが、CSR活動となる。
CSR活動は企業イメージの向上にも有効
CSRへの取り組みは、単に社会貢献を果たせるだけでなく、企業イメージの向上や取引先との関係性強化などのメリットを得られる可能性が高い。実際に多くの企業がCSR活動に取り組み、自社と社会にとって大きな恩恵を得ている。短期的にはコストが増えるリスクはあるものの、長期的に事業を続けるうえではデメリットよりもメリットが上回る可能性が高いだろう。
長期的に企業経営を続けていきたい経営者は、ぜひCSR活動に取り組んでみてはいかがだろうか?
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