(本記事は、内藤 誼人氏の著書『億万長者のすごい! 習慣 資産・年収1億円の人に学ぶ「勝ち組」の心理戦術』=廣済堂出版、2020年10月31日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
カメレオン人間ほど出世する?
カメレオンは、周囲の環境に合わせて自分の体の色を変化させる。木に登るときには茶色になり、葉っぱに隠れるときには緑色になる。そうやって自分の体の色を変化させることで、周囲に溶け込んで見えなくし、天敵から身を守っているのである。
人間においても、自分が置かれた環境に上手に適応していける人がいる。
たとえば、飲み会で盛り上がっているときには、だれよりもバカになって場を盛り上げるとか、真剣な会議のときには、神妙な顔をして発言をするといったことができるのである。
ペンシルバニア州立大学のマーティン・キルドフは、そういうことが得意な人間を「カメレオン人間」と名づけた。そして、「カメレオン人間ほど出世する」という、まさにそのままのタイトルの論文を専門誌に発表している。
カメレオン人間は、その場その場の状況に応じて、柔軟に自分を変化させることができる人だ。そういう人のほうが、「場の空気を読んだ言動」ができるので、周囲の人たちにも好ましく受け入れてもらえる。するとどうなるかといえば、どんどん出世していくに違いない、とキルドフは仮説を立ててみた。
この仮説を検証するため、キルドフは、大学のMBAコースの修了生に5年後にコンタクトをとった。そして、どれだけカメレオン人間なのかの度合いを調べるテストをする一方で、5年間でどれだけ昇進したのかも教えてもらったのである。
すると、やはりキルドフの仮説通りであった。カメレオン人間ははっきりと昇進が早いという傾向が確認されたのである。
会社で出世したいのであれば、「自分は何がしたいのか?」ではなく、「周囲の人は、自分にどんなことを期待しているのか?」を見抜くことが大切だ。
自分が何をしたいのかは関係がない。他人が自分をどう見ているのか、という視点を持って行動するようにするのだ。職場全体の場の空気を読んで、みんなが感じていることを代弁するようなことを言うのだ。
たとえば、飲み会の途中に、参加者たちがそろそろ帰りたいなと感じていることを察したら、「明日の仕事もありますし、そろそろお開きにしましょうか」と提案するのである。すると、みんな同じことを考えているので、ホッとした顔をして「そうだな、そうしよう」と同意してくれる。言いたくても言い出せないという気持ちを察して、お開きの提案をしてくれたあなたに感謝の念を抱くであろう。
本当はみな残業などせずに帰りたがっているときも同様である。こんなときも、「さあて、仕事も一区切りついたんで、少し早いけど、僕はあがらせてもらいますね」とみんなに聞こえるように言うのだ。すると、「じゃ、私も」と追従してくる人がけっこういるはずだ。
カメレオン人間になるためには、場の空気を敏感に察するという高度な能力が求められるものだが、「自分が何をしたいか」ではなく、「ほかの人が何をしたがっているか」を考えて常に行動するようにすると、自然にそういう能力も磨かれていく。
「かわいげのある人間」だけが、お金持ちになれる
お金を稼ぐ人は、かわいげのある人である。「ドジでダメなところもたくさんあるけど、それでもあいつって憎めないよな」と言われるような人ほど成功する。これは、おそらくどんな職業で働く人にも言えるのではないかと思う。
お金を稼ぐ人は、みな有能で、仕事ができる人ばかりなのか。
いや、決してそんなことはない。
むしろ、仕事など少しくらいできなかろうが、〝かわいげのある人間〟のほうが、ほぼ確実にお金持ちになれる。なにしろ、カワイイのだから。周囲の人たちが、つい面倒を見てしまいたいという気持ちになってしまうのだから。
スコットランドにあるストラスクライド大学のニコス・ボジオネロスは、さまざまな会社の176名のCEОについて調べて、「上司にたくさんかわいがってもらう」ことが自分の出世に役立った、という回答を得た。
「新人の頃は、本当にみんなに迷惑をかけまくりました。けれども、当時の上司にとにかくかわいがってもらって、いろいろ教えてもらったので今の私があるんです」
多くのCEОが、口をそろえてこう述懐をしているのである。
では、どうすればかわいげのある人間になれるのかというと、ボジオネロスによれば、「心の開放度」(オープンネス)の高い人であるという。
何事に対しても好奇心を持って、がんがん首を突っ込んでいくようなタイプほど、かわいがってもらえるようだ。
だいたいどの会社もそうだと思うのだが、自分のやりたいことをいきなりやらせてくれる会社などはない。特に、新人に対してはそうである。不本意な仕事をやらされることもいっぱいあるであろう。むしろ、そのほうが多いであろう。
そんなときでも、心の開放度の高い人であれば、「ふうん、そういう仕事はやったことはないけど、なんだか面白そうじゃん」という前向きな姿勢で受け入れる。未経験のことに対して、最初から拒否的な態度をとらないのが彼らの特徴である。そういう姿勢は、上司からすると、ものすごくかわいげがある。
新人のうちには、とにかく何でも受け入れるという、心の開放度の広さを持つことが大切だ。
四の五の言わずに、とにかく上司や先輩に何かを言われたときには、「ハイッ!」と大きな声で受け入れるような人ほど、どんどん出世していくし、昇給もしていくものなのだ。
私は、これまでに200冊以上の本を書かせてもらっているが、その理由は私が〝カワイイ作家さん〞だからであろうと思っている。何しろ、私はどんなテーマの本の依頼も断ったことがない。
編集者から、「こういうテーマで執筆してもらえますか?」と言われたら、喜んで引き受ける。私は、健康心理学の本も書くし、ビジネス心理学の本も書くし、恋愛心理学の本も書くが、それは私にもともと節操がないというのもあるが、頼まれたことは何でも引き受けるタイプだからだ。
なんだか自画自賛になってしまうが、私自身もこれでうまくいっているので、ぜひみなさんにもオススメしたいのだが、頼まれたことは何でもホイホイと引き受けて、「イヤです」とか「やりたくありません」とは口が裂けても言わないような人間になろう。そのほうが絶対に仕事はうまくいく。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。アンギルド代表取締役。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は手品、昆虫採集、ガーデニング。
主な著書に、『モテる!心理戦術』『好きな人のホンネがわかる恋愛術』『頭のいい人だけが知っている「ちょっとした成功習慣」』『すごい!ホメ方』『内藤式「ザ・検索術」』『自分偽装術<セルフ・カモフラージュ>』『絶対使える!悪魔の心理テクニック』『もらった名刺は、全部捨てろ!』『賛成と反対の法則』『勝てる!ギャンブル心理作戦』『感動させる技術』『イラッとしたときのとっさの対応術』『合コンで座るべき場所はどこか?』『なぜ、島田紳助は人の心をつかむのが上手いのか?』『女の「終電なくなっちゃった」はウソである』『なぜ、タモリさんは「人の懐」に入るのが上手いのか?』『「最強の男」になる心理術』『「不安」があなたを強くする』『交渉を成功させたいなら、赤いネクタイを身につけろ!』『気づかれずに相手を動かす心の誘導術』『もっとすごい!ホメ方』『【図解】読心術<プロファイリング>トレーニング』『すごい!モテ方』『なぜ、マツコ・デラックスは言いたい放題でも人に好かれるのか?』『ワンピース超研究!人気キャラクターに学ぶ心理テクニック』『ヤバすぎる心理学』『すぐにヤラせてくれる女、絶対にヤラせてくれない女』『「すぐ他人に流されてしまう自分」がラクになる本』『心理学者しか知らない すごい!営業』『半沢直樹「倍返し」の心理学』(以上、廣済堂出版)など多数。著書は200冊以上、累計400万部を超えている。
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