(本記事は、内藤 誼人氏の著書『億万長者のすごい! 習慣 資産・年収1億円の人に学ぶ「勝ち組」の心理戦術』=廣済堂出版、2020年10月31日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
「成功体験」がなくても、仕事で成功することは可能
自分に自信をつけるためには、とにかくどんなことでもいいので何かひとつ「成功体験」を持つべきだ、と言われている。ビジネス書にも、そんな感じのことが書かれていることもある。
たしかに、一度でも成功した体験があれば、「自分にだって、できるんだ!」という気持ちが強化され、それが自信につながるということはあるだろう。
ドイツの名将ロンメル将軍は、新兵を戦闘に送り出すときには、初戦は必ず勝てそうな相手を選んでぶつからせた、という話が残されている。新兵は、勝つことの味を覚えることによって自信をつけていく。
営業マンもそうで、新人のうちには、とにかく契約がとれそうなお客を相手にするのがよいとされている。何度も何度も面白いように契約がとれれば、それが成功体験になって営業に対する自信をつけることができるからだ。
なるほど、成功体験を持てれば、仕事に対して自信も持てるであろう。
では、成功体験を持てないと、自信も持てないのかというと、そんなことはない。
「私なら、最後までやれる!」
「私なら、絶対に成功できる!」
という自信は、何も裏づけのある成功体験からしか生まれないものではない。本人が何度も自分に言い聞かせていれば、しっかり自信はついてくる。
フロリダ大学のジョン・カマイヤー・ミューラーは、新卒の若者1765名に対して、7年間の追跡調査を行なったことがある。
ミューラーは、成功体験があるから自信がついてくるのか、それとも自信があるから仕事もうまくいくのか、という問題に興味を持って調べてみた。
その結果、自信のほうが「先」で、成功体験のほうは「後」からついてくるという順番であることが確認された。
成功体験がなければ自信が生まれないのかというと、それは順番が逆さまである。自信がまずあるからこそ、成功に結びつくのである。
ミューラーによると、「私は自分に自信がある」と答えた人は、その後の7年の調査期間中に、出世もしていくし、収入も高くなっていくそうである。それぞれの人がどれくらい自分に自信を持っているのかの度合いを測定すれば、将来的な出世と収入も予測できるとミューラーは指摘している。
たしかに成功体験があれば、仕事に対して自信を持てるようになるのかもしれないが、なければ絶対にダメなのかというと、そんなことはない。
「私なら、できる!」とたえず自分に言い聞かせよう。そうやって自己暗示をかけていれば、少しずつ自信はついてくるものだし、仕事もうまく回るようになるだろう。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。アンギルド代表取締役。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は手品、昆虫採集、ガーデニング。
主な著書に、『モテる!心理戦術』『好きな人のホンネがわかる恋愛術』『頭のいい人だけが知っている「ちょっとした成功習慣」』『すごい!ホメ方』『内藤式「ザ・検索術」』『自分偽装術<セルフ・カモフラージュ>』『絶対使える!悪魔の心理テクニック』『もらった名刺は、全部捨てろ!』『賛成と反対の法則』『勝てる!ギャンブル心理作戦』『感動させる技術』『イラッとしたときのとっさの対応術』『合コンで座るべき場所はどこか?』『なぜ、島田紳助は人の心をつかむのが上手いのか?』『女の「終電なくなっちゃった」はウソである』『なぜ、タモリさんは「人の懐」に入るのが上手いのか?』『「最強の男」になる心理術』『「不安」があなたを強くする』『交渉を成功させたいなら、赤いネクタイを身につけろ!』『気づかれずに相手を動かす心の誘導術』『もっとすごい!ホメ方』『【図解】読心術<プロファイリング>トレーニング』『すごい!モテ方』『なぜ、マツコ・デラックスは言いたい放題でも人に好かれるのか?』『ワンピース超研究!人気キャラクターに学ぶ心理テクニック』『ヤバすぎる心理学』『すぐにヤラせてくれる女、絶対にヤラせてくれない女』『「すぐ他人に流されてしまう自分」がラクになる本』『心理学者しか知らない すごい!営業』『半沢直樹「倍返し」の心理学』(以上、廣済堂出版)など多数。著書は200冊以上、累計400万部を超えている。
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