毎年、多くの会社が設立されている一方で、近年はその数を上回る会社が廃業を余儀なくされています。
本記事では、もし廃業を決断した場合にどのような手続きや費用が発生するのか、そして会社をたたむ以外の選択肢について解説します。
「会社をたたむ」とは?
「会社をたたむ」とは、解散・清算の手続きを経て会社を廃業することを指します。
会社を作るときには株主から出資を募り、それを資本金として会社を設立登記し、そして事業をスタートしますが、この逆のプロセスです。
人が生まれれば出生届を出して、自然人として認められます。これと同じように、設立登記を法務局に提出することで、私たち自然人とは別に権利義務を認められた「法人」が誕生します。
法人は何年でもこの世に存在し続けることが可能ですが、その多くは株主である経営者が抱えるさまざまな事情によって「会社をたたむ」と決断されています。
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会社をたたむ理由
経営者が会社をたたもうと判断する理由として、多く挙げられるのは主に以下の4つです。
①経営者が高齢で引退を考えている
最もイメージしやすく、実際に多いのは経営者の高齢化です。
中小企業の多くは、経営者自身のマンパワーやカリスマ性に依存する属人性の高い経営が行われています。そのため、高齢化による意欲・体力の低下は引退を考えるきっかけとなりやすいのです。
②適切な後継者が見つからない
事業を承継する適切な後継者がいない場合も、会社をたたむ理由になります。 例え経営者が高齢でも、若くて優秀な人材に経営をバトンタッチできれば、自身は会社経営をサポートする側に回ることもできます。 しかし、経営を任せられる適切な後継者がいなければ、会社をたたむという選択肢が上がってくるでしょう。
このような場合に急な病気や事故などで業務ができなくなってしまったら、従業員や取引先などに迷惑をかけることになってしまいます。 そのため健康で元気なうちに、後継者不在を理由に会社をたたむと決断される場合もあります。
③債務超過を解消できる見込みがない
会社の負債が資産を上回る「債務超過」が続き、解消できる見込みがないと判断し、会社をたたむ選択をする場合もあります。 毎年債務超過が続けば、累積赤字は増加する一方です。
こういった場合には、被害がこれ以上大きくならないうちに個人資産を切り崩して会社を清算するケースもあります。
④資金調達が難しい
資金調達が難しくなったことから、会社をたたむ選択をする場合もあります。定期的に設備投資が必要な場合には、資金を金融機関からの借入金で調達するケースは珍しくありません。
しかし、経営者の高齢化や収益の減少などを背景に資金調達が難しくなってしまうと、設備投資が思うように進められなくなります。その結果、事業の継続が難しいと判断され、会社をたたむ場合があるのです。