店舗数ごとのオーナーの悩みと譲渡理由

当社では年間数十件のラーメン店の譲渡相談を受けます。譲渡相談の中で、M&Aにおけるメリット、デメリット等、お伝えさせて頂く内容はオーナー様の目指したい方向性によって変わります。以下、店舗数に応じて、よくお伺いするお悩みやМ&Aの検討背景について解説致します。

1店舗~2店舗

創業時の体制で、オーナーが現場を見ながら数人のアルバイトや共同で始めたスタッフとともに現場を回しています。 この段階では個人商店に近く、日々おいしいラーメンを作る、知名度を上げ集客を伸ばすということが一番の仕事です。店舗展開を考えるオーナーであれば、店長の育成や、採用、味を同じにするのか、セカンドブランドを作るのか、事業展開について悩み始める時期です。 この段階でM&Aを考える方の多くは、後継者がいないか、別の事業をしてみたい等が挙げられます。

2~5店舗

1店舗目が人気となり2店舗目、3店舗目と順調に出店し、オーナーとしても一番楽しい時期、楽しい規模感ではないでしょうか。自身の目の届く範囲で管理もでき、従業員ともコミュニケーションをとりながら日々各店舗の集客数、1店舗ずつ売り上げを上げるために努力をします。 一方で、店舗数が増えると、「セントラルキッチンを作り、各店舗での味を均一化する」のか「店内調理にこだわりあえて違いを出す」のか等、店舗展開におけるラーメンのクオリティー面に悩みが行くことがあります。こだわりが強いオーナーのラーメン企業が更なる店舗展開をしようとすると、何かを捨てる作業が必須になってきます。 この段階からは、後継者不在以外でも当社に相談をされるオーナーが格段に増えてきます。 他社とのМ&Aを行い、社長だけのワンマン経営から脱却することで、

5~10店舗

地域では名の知れた有名店になり、社長の人脈も広がります。現場に行く回数が減る社長も増え管理業務が多くなってきます。人の採用、労働時間の管理、出店費用や全体のコスト管理、従業員のモチベーションを上げる施策や新メニュー開発、出店店舗の視察等やることが大きく増えます。会社の売上、利益を上げる、従業員の給料を上げるためには会社は成長をしなければいけません。このように会社を成長させるために、やらなければいけないことが増え、社長自身の“疲れ”から譲渡を決断されるケースも増えます。

10店舗~30店舗

会社が大きくなると同時に、業態・出店フォーマットが確立してきているため、出店が単純作業に感じる社長がいらっしゃいます。従業員も成長し、社長業務負担が減る半面、創業当時のこだわり、勢いが薄れてくるケースがあります。つまり社長の“やり切った感”や “飽き”が出ていきます。 コロナ禍以前の2010年代後半では、この段階で相談をもらうことが多く、数多くの人気ラーメンチェーンが、大手企業やファンドに譲渡しています。 オーナー企業としての成長の限界を超え、10年、20年、30年と生き残るブランドへとつながる分岐点に差し掛かかる時期だからこそ、自身が作り上げたブランドを第三者に託す選択肢をフラットに検討する必要があるのではないかと思います。

M&Aのタイミングに正解はありません。ただ1店舗目が繁盛し、2店舗目の出店を検討するタイミングで店主から、社長になります。社長のなった段階で、ラーメン店のオーナーは企業経営を考えます。企業経営を考えるタイミング=M&Aも考え始めるタイミングとしても良いのではないでしょうか。

食品業界のM&Aへのご関心、ご質問、ご相談などございましたら、下記にお問い合わせフォームにてお問い合わせを頂ければ幸甚です。 買収のための譲渡案件のご紹介や、株式譲渡の無料相談を行います。 また、上場に向けた無料相談も行っております。お気軽にご相談ください。

日本M&Aセンターでは、事業売却をはじめ、様々な手法のM&A・経営戦略を経験・実績豊富なチームがご支援します。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。

著者

岡田 享久 岡田たかだ 享久たかひさ

株式会社日本M&Aセンター/業種特化2部 食品業界専門グループ

神奈川県出身。早稲田大学法学部卒業後、大手保険会社にて営業企画・債券投資業務に従事し、日本M&Aセンターに入社。外食・食品業界専門チームにて、企業の存続と発展に向けたM&Aの提案に従事している。