代表的なラーメン店M&A事例
ラーメン業界では、個人店が多く、公表されていないM&Aも多いですが、ここ20年ほどの間で年間数件程度は定期的にM&Aが行われております。以下に代表的なラーメン店のМ&A事例を8つ紹介いたします。
ラーメン業界のM&A推移
参照レコフM&Aデータベースより日本M&Aセンター作成
【フリーワード】「ラーメン」 (すべてのワードを含む) 【検索期間】1996/01/01~2023/12/31 (公表日など)
【データ種別】[M&A]M&A【業界】外食【形態】合併, 買収, 事業譲渡(営業譲渡)
ラーメン業界のM&A代表事例
2023年 フルキャストホールディングス×グロービート(「らあめん花月」を運営)
人材派遣・人材紹介を手掛けるフルキャストホールディングスは、ラーメン専門店「らあめん花月嵐」をチェーン展開するグロービートを買収しました。同族経営からの脱却、上場企業傘下企業としての信用力向上、経営基盤の拡充を企図し、買収が行われました。フルキャストホールディングスにとっては飲食事業への進出は初めての試みです。
2023年 壱番屋×竹井(「麺屋たけ井」を運営)
カレーハウスCoCo壱番屋を運営する壱番屋が、つけ麺店「麺屋たけ井」を運営する竹井を買収しました。壱番屋の自社工場で食材を生産できるようにし、2024年度以降に出店ペースを上げる考えです。壱番屋は既存のカレー店舗以外の飲食店の買収を進めており、23年には「もつ鍋前田屋」を運営する「株式会社LFD JAPAN」も買収しております。「食のエンターテイメント企業」を目指し、2030年にはグループ全体の3割を占める30億円の営業利益をM&Aによりグループ入りした企業によって稼ぐ計画を発表しています。
2020年 イートアンドホールディングス×一品香(「横濱一品香」を運営)
イートアンドホールディングスが買収した一品香ではほとんどの店長や従業員は辞めず、昭和30年創業の地域の伝統を守りました。既存店のリブランディングオープンや、新規の出店も行っています。冷凍餃子の製造で培った食品製造ノウハウを生かし、自社製麺や冷凍ラーメンの製造も併せて行っています。
2020年 鉄人化計画×直久(「直久」を運営)
「カラオケの鉄人」等を運営する鉄人化計画は、フククルフーズより「麺処直久」、「らーめん直久」を運営する直久の全株式を取得のうえ子会社とし、フククルフーズのラーメン事業を株式会社直久にて譲受しました。鉄人化計画は新規事業によりでカラオケ事業一辺倒からの脱却を目指している中で、カラオケ事業と相関の高いラーメン事業に目を付けました。新規出店を増やすことで、地域密着型の店舗展開を目指すと同時に、ブランドイメージを大事にするため、急速な出店計画をたてず、丁寧な出店を目指しています。
2019年 吉野家ホールディングス×ウィズリンクホールディングス(「ばり馬」を運営)
吉野家ホールディングスがとんこつ鶏がら醤油スープのラーメン「ばり馬」を中心に運営するウィズリンクホールディングスを買収した。ラーメン事業の買収は2016年に買収した「せたが屋」以来の2件目になります。直近の24年4月にも、ラーメン店向けの麺・スープ・タレなどの関連商品の開発や製造を手がける宝産業株式会社を買収しています。次なる柱をラーメン事業と位置づけ、外食企業大手が本格攻勢を仕掛けています。
2019年 ギフトホールディングス×ラーメン天華、ケイアイケイフーズ
「町田商店」や「豚山」、「がっとん」を中心に運営するギフトホールディングスはラーメン天華を運営する、ラーメン天華と、自社製麺と餃子製造のケイアイケイフーズを買収しました。北関東エリアの事業基盤の強化を狙ったものです。ギフトホールディングスは2020年時点の直営100店舗から勢いを止めずに、現在は国内外726店舗(23年12月現在)にラーメン事業を展開しています。国内6つの自社工場から製造機能を強みにもち、26年10月期には現在の倍近い、売上400億を目標に今後も国内外において積極的に出店を拡大する予定です。
2017年 トリドールホールディングス×ZUND(「ZUND屋」を運営)
丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスが買収したZUND屋を運営するZUNDでは24年3月時点で80店舗まで拡大し、M&A実行時国内33店舗海外1店舗だったより倍以上に増えています当初上場を検討していた中で、内部管理体制や労務管理能力の弱さを痛感しており急角度での成長を実現するために売却に舵を切りました。丸亀製麺事業で培った「手間暇かけてこだわって展開する」と同時に、「スピーディーに効率的に展開する」という二律両立の経営で、外食企業最大手企業の一翼を担っています。
2014年 クリエイト・レストランツ・ホールディングス×YUNARI(「つけめんTETSU」を運営)
「マルチブランド・マルチロケーション戦略」のもと外食大手となった、クリエイト・レストランツ・ホールディングスが「つけめん TETSU」等のブランドを運営する株式会社YUNARIを買収しました。買収後は愛知、大阪、京都など全国でショッピングモールや、駅ビル等でも店舗展開をしております。
ブランドを0から作りあげた創業オーナーから、店舗展開力、資金力のある大手企業、大手外食企業がバトンを受け継ぎ、長く続くブランドへと進化をしていくことができることもM&Aの魅力です。業界全体としては、価格競争力のある大手企業が買収したブランドをブラッシュアップし、出店を重ねることで、業界の再編がさらに進むと考えられます。