2024年の外食・飲食のМ&Aの動向

最後に、「外食・飲食業界M&A DATA BOOK 2024」には掲載されていませんが、2024年3月末時点での2024年の主な外食・飲食のМ&A事例を紹介いたします。

壱番屋×LFD JAPAN

LFD JAPANは2014年設立した、「博多もつ鍋 前田屋」を福岡市内で4店舗経営している会社となります。「博多もつ鍋 前田屋」は多くのメディアに取り上げられており、有名人・野球選手御用達の地元民から愛されるもつ鍋専門店として有名なお店です。ココ壱番屋などを展開する上場企業の壱番屋は既存店舗の活性化に加えて、新たな業態を開発・育成していくことでグループ力の強化と企業価値の向上を図るとしています。

サンライズ・キャピタル×キルフェボン

香港に所在するCLSAキャピタルパートナーズがアドバイザーを務める日本特化型ファンドであるサンライズ・キャピタルは、フルーツタルト専門店のキルフェボンの全株式を取得しました。キルフェボンは四季折々のフルーツを使ったタルトを企画・製造・販売しており、日本国内で11店舗展開しています。サンライズ・キャピタルは事業成長支援と経営基盤強化に取り組むとしています。

コロワイド×日本銘菓総本舗

日本銘菓総本舗は売上高約60億円、地域銘菓・名産品の事業承継のプラットフォーム企業として2018年に設立された、PEファンドであるアドバンテッジパートナーズの投資先企業となります。日本銘菓総本舗は「チーズガーデン」「クリオロ」「グリンデルベルグ」などのブランドを有しており、ふかや花園プレミアム・アウトレットや麻布台ヒルズといった一等地に旗艦店を出しています。コロワイドは国内・海外への出店で事業成長を図り、グループの既存事業の新たな事業機会につなげるとしています。

GOSSO×大高商事

大高商事は2009年設立した、ちゃんぽんを主力メニューとする「じげもんとん」「じげもんちゃんぽん」をプロデュース・ライセンス店含め、首都圏中心に34店舗展開している会社です。GOSSOは「0秒レモンサワー仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」など10ブランド約100店舗を展開しており、「じげもんちゃんぽん」の日本全国と海外展開を目指すとしています。

ブロンコビリー×レ・ヴァン

レ・ヴァンは1990年設立、売上高12億の愛知県下で「とんかつ かつ雅」などとんかつ専門店を11店舗展開している会社とおなります。ブロンコビリーはステーキ業態に続く第2の業態として「とんかつ かつひろ」をオープンしており、「とんかつ業態」の愛知県下での営業基盤を確固たるものとし、同業態の成長基盤を固める。グループ成長を目指すとしています。

ここ数年アルコールを伴う業態をメインにしている外食・飲食企業のM&Aは消滅状態にありましたが、新型コロナウイルスの影響が落ち着き、壱番屋×LFD JAPANやGOSSO×大高商事といった事例のように、売手側・買手側の双方でアルコールを伴う業態をメインにしている外食・飲食企業のМ&Aが復調する兆しが見えてきた2024年の始まりとなりました。 また、サンライズ・キャピタル×キルフェボンやコロワイド×日本銘菓総本舗の事例のように、PEファンドが関与するМ&Aや、ブロンコビリー×レ・ヴァンのように、外食・飲食の上場企業が、地域の有名店を買収していく動きも2023年に引き続き増加傾向にあることも予想されます。

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著者

高橋 空 高橋たかはし そら

株式会社日本M&Aセンター/業種特化2部 食品業界専門グループ

1991年9月、神奈川県生まれ青山学院大学経営学部卒業後、株式会社船井総合研究所にてフードビジネス専門のコンサルティングに従事した後、日本M&Aセンターに入社。食品業界専門グループにて、食のベンチャー企業のイグジット支援から創業100年を超える老舗企業の事業承継支援まで幅広くM&A支援に携わる。