外食・飲食業界M&Aにおける3つの特徴
2000年頃からM&Aがニュースでも取り上げられることも増え、一般的にも認知度が高まっていき、それに伴い外食・飲食企業のM&Aも増加しました。
当時はゼンショーやコロワイドといった現在国内を代表する外食・飲食企業や、大手PEファンドが中心となりМ&Aを実行していきました。
その後2010年代に入り、業界雑誌を賑わすカリスマ経営者が会社を売却する事例が増え、外食・飲食企業の経営者にとって、М&Aという選択肢が更に深く浸透していきました。
そういった中、直近の外食・飲食業界M&Aの特徴について3つ解説させて頂きます。
1.ポートフォリオ経営の加速を促す0to1М&A
以前は、単一業態を国内に何百店舗展開するという単一業態多店舗展開が主流戦略であったが、昨今は消費者のニーズが多様化したことで業態の多様化が求められ、多業態多店舗展開のポートフォリオ経営を取り入れる企業が増加しています。その結果、業態の立ち上げを自社で行うのではなく、既に確立した業態をМ&Aで取得する経営戦略(0to1М&A)の重要性が増し、外食・飲食市場におけるМ&Aにおいては、店舗数以上に強固なブランド力を持った企業が重宝されやすい傾向にあります。
2.多店舗展開の“崖”を乗り切る成長戦略型М&A
外食・飲食経営においては店舗数が拡大すると、人事・財務など管理コストが増大し、新規出店に偏った投資が困難になり、利益率が急激に減少していく傾向にあり、これまで培ってきた経営ノウハウだけでは、乗り切ることが困難な“崖”が経営者の前に立ちはだかることがあります。 そのような中、30代~40代の若手経営者が自身の会社を成長させるために、大手外食・飲食チェーンや投資ファンドとの資本提携を目論む成長戦略型のM&Aという概念が普及しました。
3.海外市場への参入強化と高まる外食・飲食マーケットへの期待度
2023年の外食・飲食業界においては「海外市場参入に向けたМ&A」と「異業種とのМ&A」が目立ちました。 海外市場参入に向けたМ&Aにはおいては、ゼンショーによるスノーフォックス・トップコの買収や、トリドールによるフルハムショアの買収など、海外大型案件のМ&Aが相次いだ。
ゼンショーはスノーフォックス買収発表時から株価を倍以上に上昇させ、時価総額は1兆円を記録しました。 異業種とのМ&Aに関しては、上場企業の異業種やPEファンドが中堅・中小外食企業への投資を積極的に行っており、外食・飲食業界以外からコロナ明けの外食・飲食マーケットに対する期待度が高まっています。