社会保険料,計算
(画像=PIXTA)
當舎 緑
當舎 緑(とうしゃ・みどり)
社会保険労務士・行政書士・CFP®。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。

超高齢化とともに、社会保険料が高くなっていることを実感している人は多いだろう。日本では、社会保険は現役の人が高齢者を支える構造になっているので、高齢者が増えると当然社会保険料も増加する。しかしどんなに保険料が高くても、社会保険に加入しないという選択肢はない。必ず何らかの社会保険に加入して、保険料を払うことになる。

扶養家族など一部例外もあるが、加入している社会保険の種類は違えど、社会保険料を納めることは国民全員の義務なのだ。今回はそんな社会保険料の費用計算方法を見ていこう。

「社会保険料」とは?

広義の社会保険は、「労災保険」「雇用保険」「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険料」「国民年金保険料」などを含むが、今回は会社員が加入する「健康保険(40歳以上の方の場合には「介護保険」を含む)」と「厚生年金」の保険料を「社会保険料」と呼んで説明する。

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給与計算における社会保険料の計算方法

社会保険料は、社会保険料額表(東京都の図参照)から自分の標準報酬月額を割り出し、それにそれぞれの保険料率を乗じて計算する。

自分の給料を、ただその表に当てはめればいいというわけではない。給料をもとに「報酬月額」を計算して届出をする必要がある。

これから入社する新入社員であれば、基本給に通勤手当を含めた給料の総額を報酬月額として、「資格取得届」を提出する。継続して勤務する労働者については、毎年4~6月の給料の平均額を記入して、日本年金機構や健康保険組合などに「算定基礎届」を提出する。これが「報酬月額」であり、これによって決まった標準報酬月額の等級が、その年の9月から1年間固定される。

途中で「基本給が上がった」「交通費が変更になった」「手当が加算された」などの理由で固定的賃金が変動した場合は、4ヵ月目に「月額変更届」を提出することで等級が変わることがある。ただし給料の変動があっても、等級表で2等級以上の変動とならない場合や、残業などの突発的な手当による変動の場合は、報酬月額は変更されない。

また、産前産後休業や育児休業中、介護休業中、病気休業中などの理由で給料が支払われなかった場合は月額変更届の提出は不要で、等級は変わらない。

標準報酬月額とは?

標準報酬月額」を計算するために、4~6月に支払われた給料の総額を3で割って、「報酬月額」を算出してみよう。その3ヵ月間で支払われたすべての手当を含めるのがポイントだ。税金上交通費は非課税なので誤解している人が多いが、3ヵ月分や6ヵ月分の定期代が支給されている場合は、月数で割ったものを加算する。

会社の業績が好調で、年4回以上の賞与が支給された場合や、4月に昇給したものの後で支払われた場合などは、それも含めなければならない。そのようにして計算した「報酬月額」を社会保険料額表にあてはめて、はじめて自分の標準報酬月額がわかるのだ。たとえば基本給が30万円、1ヵ月の定期代が1万1,000円であれば、総額は31万1,000円。標準報酬月額は、32万円の23等級(年金の等級は20等級)となる。

健康保険と厚生年金では、等級の下限・上限と幅が異なる。健康保険は1等級の5万8,000円から50等級の139万円までだが、厚生年金では1等級の8万8,000円から31等級の62万円までだ。

厚生年金は全国どこでも同額だが、健康保険は都道府県で保険料率が異なる。保険者が「協会けんぽ」なのか「健康保険組合」なのかによっても保険料率は変わる。

ただし等級自体はどこでも同じなので、自分の報酬月額がどの「標準報酬月額」になるかを知るためだけなら、どの社会保険料額表を見ても問題ない。参考までに全国健康保険協会が出している「令和2年度保険料額表(令和2年4月分から)」の東京版を掲載しておこう。

社会保険料_計算
(画像=全国健康保険協会)
標準報酬月額
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健康保険料の計算方法

また、結婚した時や子どもが生まれた時などに、「健康保険料が上がりますよね?いくらになりますか?」と聞かれることがある。

健康保険料は、扶養家族の数によって変わることはない。年金保険料を納付しなくてもいのは、第3号被保険者として認定された配偶者のみだ。20歳以上の子どもなどは対象外となる。

子ども20歳以上でも学生の場合には、親が年金保険料を納付することも可能だが「学生納付特例」を使えば保険料の納付が猶予される。