ストックオプションの導入に向いている企業

ストックオプション導入に向いているとされるのは、将来的に高い成長が見込める企業、つまり[IPO(新規上場)を目指す企業です。特に、起業時は高額な給料や福利厚生の提供が難しいベンチャー企業にとっては、優れた人材を確保する有益な手段となるでしょう。

また既に上場している企業でも、人材確保や従業員の定着化に課題を抱えている場合、状況によってはストックオプションが有用な手段になりえるケースもあります。

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ストックオプションのメリット

ストックオプションを導入する主なメリットは、以下の通りです。

従業員のモチベーションアップ

ストックオプションのメリットとしてまず挙げられるのが、会社全体のモチベーションを押し上げることです。

つまり「自分たちの日々の頑張りで会社の価値を上げれば、キャピタルゲインが増える」ため、一般の社員から役員まで「会社の価値向上」という共通の目的を持ち、それを達成するためのアクションを自発的に促します。その結果、企業の持続的な成長が期待できるでしょう。

優秀な人材の確保、定着化

ストックオプション制度は、人材採用にあたってアピールポイントになります。就職・転職情報サイトの中には、企業の検索条件にストックオプションの有無を設定しているところもあります。

将来的に魅力あるインセンティブとして、より優秀な人材を確保につながるでしょう。また、権利を付与することで人材流出の抑止、定着化も期待できます。

企業によっては、多額のキャピタルゲインを獲得した直後に離職が発生するリスクを回避するために、一定期間が経過するまでの間、権利を行使できないようにする条項(べスティング条項)を設ける場合もあります。

ストックオプションのデメリット

ストックオプションを導入するにあたって想定されるデメリットは、以下の通りです。

社内で不公平感が生まれかねない

一部の社員や役員がストックオプションを付与されている場合、社内に不公平感が生まれ、モチベーションに差が生まれる可能性もあります。

そのため、業績への貢献度や勤続年数など、ストックオプションを与える基準をはっきりと定める必要があります。

株価の変動がモチベーションに影響する

業績に大きく左右されるのがストックオプションの特徴ですが、業績は企業努力だけで決まるものではありません。地震や台風などの自然災害、世界規模の景気低迷、など想定外の外部要因の影響を受ける場合もあります。

ストックオプションはモチベーションアップというメリットがある反面、株価下落によってモチベーションの維持が難しくなるというリスクもあるため、企業側は株価の動向を見越し、株価上昇の対策をとることが求められます。