9月14日にNFT MediaとWeb3総合広告代理店PARDEYによる共催イベント「Web3 Business Roundup」が開催されました。
このイベントはWeb3関連のプロジェクト、ビジネス、並びに関連有識者にご登壇いただき、今までのWeb3ビジネスを振り返り今後の展望をお話いただくイベントです。
今回はNFT Media Studioで開催されたため、参加者を限定させていただき、小規模での開催となりましたが大変有意義なプレゼンテーションが行われました。こちらの記事ではこのイベントの模様をレポートします。
目次
【登壇者1】NFT Media 代表 小林憲人氏
最初に登壇したのは当メディアの代表である小林憲人氏です。氏からはNFT Mediaの2023年上半期を振り返っての状況が発表されました。
NFT Mediaは2022年末と比較し、PV数、各種SNSフォロワー数が増加しています。
今後に向けてNFTマーケットの予想としては、下記が考えられています。
この中で、NFT Mediaとしては引き続き正しい情報をスピーディーに発信すること、また新規参入企業/その支援企業をメディアとしてサポートする方針が発表されました。
今後、2023年/2024年の企画としては「2023年Web3/NFT界隈10大ニュース」にまつわる記事・イベントなどが計画されています。
【登壇者2】PARDEY株式会社 Founder / CEO SAI氏
続いてPARDEY株式会社の代表、SAI氏より2023年の様々な活動事例の共有がありました。
PARDEY社は、一般企業に対してWeb3での様々なソリューションを提供し、そのソリューションの実現を多数のパートナーと共に実現していくことを事業モデルとしています。
PARDEY社が取り組んでいるNFTの事例として大型なものは、2022年10月から開始された渋谷スクランブル交差点大型モニターによるNFTアート展示が挙げられます。こちらは一ヶ月ごとに作品を入れ替えながら現在も放映が続いていて、斎氏の資料によると平均展示エントリー数300作品にのぼり、展示作品募集Tweetの最大インプレッション数は60万PVになっているとのことです。
https://x.com/PARDEYinc/status/1587005502042427394?s=20
また7月には、KDDI社とのNFTを活用した地域競争に関する実証実験も行われました。こちらは広島にゆかりのあるNFTアーティストが広島をモチーフにしたNFTアートと、県内の飲食店で使用できる優待券、そして特産品をセットで提供したものとなります。
https://x.com/PARDEYinc/status/1678181285733490689?s=20
今後もこのように、様々な企業から「そもそもWeb3というのがわからない」という相談から受け付けてWeb3総合広告代理店としての事業を進めていかれる予定とのことです。
【登壇者3】Tales&Tokens 佐々木大輔氏
3人目の登壇者は、Tales&Tokensの佐々木大輔氏です。氏からは地方創生事例として「Game of the Lotus 遠野幻蓮譚」の事例をプレゼンテーションしていただきました。こちらは、岩手県遠野市という現実の土地を実際に結びつけるNFTプロジェクトです。
それぞれのキャラクターNFTが、実際の遠野の施設や店舗を訪れることで手に入れられるNFTを獲得することでオリジナルのイラストに変化していきます。
またこれらの仕組みは他の企画にも応用可能で、すでに新潟県燕三条エリアにおける「匠の守護者」、同じく遠野における「Tono Hard Apple Cider」といったプロジェクトに活用されています。
実際にその場所を訪れないと獲得出来ないNFTということで観光などの地域活性化に役立つことが期待されます。
【登壇者4】GMOアダム株式会社 代表取締役社長 服部遥氏
国内NFTマーケットプレイスとして確固たる位置を築きつつある「Adam byGMO」の運営会社、GMOアダム株式会社の代表、服部遥氏にはAdam byGMOの現状とこれからの展望をご発表いただきました。
Adam byGMOの特徴は、ウォレットや暗号資産が無くても通常のECサイトのような感覚でNFT(※)を購入できるという点にあります。特に2023年上半期のトレンドとして気軽にNFTの保有体験ができるということから、多くのプレゼント企画が実施されたことです。
特に、サッカーJリーグ名古屋グランパス様、清水エスパルス様では、NFTをデジタルグッズと位置付け、試合の観戦証明書や、チケット・サイン入りグッズが当たる抽選券として活用されています。
他にも、さまざまな「くじ形式」のNFT企画も実施しています。
Adam byGMOでは、企画意図にあわせたNFT配布が可能になっており、特定のNFTをファンなど特定の方々に配布する方式、複数のNFTを1つのURLに紐づけて先着順またはランダムに配布する方式などがあります。
さらに直近では、東京メトロが提供するNFTガチャ企画もスタートしています。
※Adam byGMOで取り扱うNFTは、Adam byGMOから最初に出庫がなされたときに、Ethereumブロックチェーン上にERC-721規格でトークンが発行されます。
【登壇者5】株式会社WAFUKU Labs 取締役 山﨑浩隆氏
国内NFTプロジェクトとして人気の高いWAFUKU GENを運営する「WAFUKU Labs」からは、取締役の山﨑氏にご登壇いただきました。
WAFUKU GENは単純なPFPNFTコレクションに留まらず、さまざまな企業とコラボレーションし、NFTが活用される場を広げています。
旅行×NFT『Traveler’s Canvas(通称:トラキャン)』
こちらは株式会社エイチ・アイ・エスとコラボレーションしたプロジェクトで、NFTを活用した新たな旅行体験の創出を目的としています。
Traveler’s CanvasのNFTコレクションを保有している方は、各地の観光地でSBT形式のNFTが獲得できるようになっていて、それらの保有者にはさまざまな特典が提供されます。
現在は、9月30日まで新千歳空港国内線ターミナル1階到着ロビーにてSBTが獲得できるようになっています。
参考リンク:Web3.0・ バーチャルプロジェクト – HIS
足利市縷縷プロジェクトでのNFTの活用
またWafukuLabsは、足利市の名刀山姥切国広を取得するためのクラウドファンディングにて、NFTを返礼品とするプロジェクトにも参画しています。
こちらのプロジェクトは支援額1億円を目標としており、現時点で約8,000万円が集まっています。支援者に対しては、山姥切国広の共同オーナーである証をNFTとして返礼されるとのことです。共同オーナー証NFTには、関係人口の増加や観光業の活性化に繋がるさまざまなユーティリティーがあることから、NFTの社会実装の事例の一つとなっています。
【登壇者6】公認会計士/税理士 水地一彰氏
最後は、2023年の法律などの動きについて、公認会計士/税理士の水地一彰氏よりレクチャーしていただきました。
Web3が一般化していくためには、法律/税/会計の3点をしっかり考える必要があります。
水地氏がまとめられた以下の資料に基づくと、昨年12月から直近の9月まで、その3点における大きな動きはこちらのとおりです。
特に、2022年のおいて自民党の政治家の中でいわゆる「渡辺創太問題」と呼ばれる問題は、自社発行自社保有の時価評価についての問題です。
こちらは、例えば自分でトークンを発行して、それに価値がついた場合、自分の保有しているトークンにも課税が行われてしまうことです。
トークンを発行しただけで、計算上はまだビジネスが始まっておらず、手元には1円も現金が無いのに100億の課税義務が発生するといったことも起こりえます。
このような状態ですと、トークンの発行を考えてWeb3ビジネスを行おうという企業、あるいは起業家は日本から出て海外に拠点をおく、といったことが考えられます。
この問題をきっかけにさまざまな法律の改正、税の検討が行われています。これに基づき、「自社発行自社保有とは如何なる状態を指すのか」について国税庁の詳細な見解が発表されたのが6月20日になっており、これは2023年上半期の大きな出来事です。
加えて、NFTにおいては税法におけるNFTの定義を考えましょう、ということが国税庁から出されたのが1月13日、それと同時並行的に金融庁によりNFTの取り扱いの明確化が行われたのが3月24日となっています。
さらに6月には、日本におけるステーブルコインの発行が法制度化され、JPYCなどのスタートアップのみならず、メガバンクなども乗り出すことを表明。前向きな取り組みが今後加速していくものと思われます。
これらの3点が2023年上半期における大きな出来事となっています。
しかしまだまだ課題は多く、今後もこのような課題を検討する必要があると考えられています。
例えば一部では「DAOを法的に定義しよう」という声もあがっているとのことです。
2023年下半期、また2024年以降にこういった法律/税/会計の面においてどのような改正・話し合いが行われるのかは大変注目すべき点です。
それぞれのプレゼンテーションに対して、ONIちゃん氏からさらに内容を深める質問や補足があり、イベントはネットワーキングの時間が7分しか残らないほど充実した内容となりました。
まとめ
今後NFT Mediaは、PARDEYを始めとするさまざまなWeb3関係企業とコラボレーションしながらこういった有益なイベントを開催していきます。
参加方法はPeatixを活用して告知いたしますので、ぜひNFT Media公式Peatixをチェックしてください。