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神奈川県藤沢市に本社を置くミヤマ建設株式会社は従業員20人強と決して多くはないが、神奈川県を中心に首都圏で建設工事、土木工事、外構内装工事など幅広く手掛ける少数精鋭の総合建設会社だ。端山正明代表取締役社長が「他社と同じことをしていてはだめだ」と話すように、独自の技術力と無駄なコストを削減した提案力で顧客の信頼を積み重ねてきた。ICTシステム導入による業務効率化を推進するとともに、コンピューターウイルスなどサイバー攻撃を防御するためUTM(統合脅威管理)システムを導入、個人情報保護にも万全の体制を整えている。(TOP写真:神奈川県内で手掛けた公共施設の工事)
原材料不足逆手に大手ゼネコンとの取引拡大
ミヤマ建設の前身は端山社長の父親が1962年に創業した「ミヤマ工事」だ。1972年に「ミヤマ工事株式会社」を設立した際、鉄鋼系建設会社に勤めていた端山氏が入社。2年後には社長に昇格した。第1次石油ショック後の原材料不足が続いていたが、前職時代に培った材料仕入の手腕を生かしてゼネコンなど大手との取引関係を築いた。当時から端山社長は独自の発想を顧客開拓に生かし、ビジネスチャンスを広げてきた。アルミ製で低コストのエクスパンション(耐震補強など接合部材)を開発して施工に生かすなどアイデアマンでもあった。
アスベスト処理で県内有数の施工実績
1991年には現社名に変更し事業分野も広がってきた。土地の入手・活用から資金繰り、設計・施工や事業運営までトータルに提案するコンサルタント事業もその一つだ。しかし、1980年代から同社の業績を牽引(けんいん)してきたのは当時、社会問題化していたアスベスト処理技術だ。早くからアスベストの有害性や処理の重要性を痛感していた端山社長は、年を追って厳しくなる法規制を先取りして処理技術の資格を取得。アスベストの除去や封じ込めの工事で実績を積み上げ、神奈川県内の公立高校など75校の工事を一手に受注したこともある。
2005年7月には石綿障害予防規則が施行され、建造物のアスベストが飛散する可能性がある場合は建物の所有者はアスベスト処理の措置を講じることが義務化された。「アスベスト処理の仕事はいまも続いているが、うちは他社ができない封じ込め技術を持っているから強い。当社の従業員は今も自治体が実施するアスベスト対策の講習会で講師に呼ばれている」と端山社長は説明する。アスベスト処理の施工で培った技術力と長年の信頼がミヤマ建設の強みとなっている。
また、設計事務所など外部との協業から始まった提案型受注でも数多くの受注実績がある。品質や強度を維持しながら無駄なコストを削ぎ落すことで一般的な設計事務所より2割前後安く提案できるため、顧客層を広げ信頼関係を深めることができたという。
規模追わず独自技術力に磨きかけ信頼獲得
近年の円安や原材料費値上げによる建設コスト高騰の中では、客先に割高な新築を提案せず「リニューアルで10年待ってみましょう」などと勧めることも少なくない。神奈川県や藤沢市から改修事業を受注することも多く、いまやリノベーションは同社の重要な事業になっている。2023年5月期の売上高は約11億8000万円。今期は受注が好調で、13億円前後に伸びる見通しだ。しかし、端山社長は「売上高は12億円を一応の目安にしている。人を増やして規模を大きくすれば赤字の仕事も取りにいかなければならない。得意技術を生かして無理のない工期で利益もそこそこ出る仕事ができれば」と淡々と話す。従業員は二十数人で推移しており、規模拡大より強みを発揮できて利益を生む仕事を主体に堅実な経営を目指している。
業務管理システムは電帳法対応を行いクラウド化
同社が給与計算や業務管理システムを最初に導入したのは1999年。それまで手作業で行っていた事務処理業務を大幅に効率化できたほか、現場単位で工事台帳が作成できるようになり、プロジェクトごとの収益性の「見える化」が実現した。その後、タブレット端末を導入し、社長、事務所、現場の間で業務連絡のほか決裁業務もリアルタイムで行えるようになった。前島富子経理部長は「小さな会社なので資材購入など社長決裁が多いけれど、社長がいつもタブレット端末を持ち歩くようになってから、決裁待ちがなくなり仕事がスムーズに回るようになりました」と導入効果に満足そうだ。2023年1月には、業務管理システムをバージョンアップしてクラウド化し、電子帳簿保存法への対応も可能にした。
UTM導入で多面的セキュリティ対策を実現
ミヤマ建設がセキュリティ対策に本腰を入れることになったのは2016年、従業員のパソコンにコンピューターウイルスが侵入してダウンしたのがきっかけだった。「従業員宛のメールでウイルスが混入して、パソコンがダウンしてしまい業務データが失われました。かろうじて全社に影響は及ばなかったのですが、個人情報漏えいなど顧客に迷惑をかけないためにも抜本的なセキュリティ対策が必要だと考えて、すぐに導入を決めました」(前島部長)
システムインテグレーターと相談して2017年に高機能サーバーを導入し、社内のパソコンのウイルス対策を強化。2018年には複数のセキュリティ機能をワンボックスに集約したUTMシステム(Unified Threat Management:統合脅威管理)を導入した。ネットワークシステムの脆弱性を攻撃してくるワームやウイルスの侵入を防ぐ機能に加えて、IPS(不正侵入防止システム)やIDS(侵入検知システム)、不正侵入による個人情報漏えい防止機能など万全のセキュリティ機能を備えた。「がっちりとセキュリティ対策を実施したおかげで安全、安心に仕事ができている」(端山社長)という。その後バージョンアップを経て、現在まで「セキュリティ面で一度も問題が起きたことはない」(同)という。
企業を狙ったサイバー攻撃は増える一方で、不断の対策強化が不可欠だ。ミヤマ建設はさらに機能強化を進める一方、ネットワークを駆使した社内業務の見直しや効率向上をさらに推進する方針だ。太陽光発電や省エネ技術など環境分野にも積極的に進出する考えで、小数精鋭で攻めの総合建設事業者を目指す。
企業概要
会社名 | ミヤマ建設株式会社 |
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本社 | 神奈川藤沢市大庭5221番地13 |
HP | https://miyama-kensetsu.co.jp |
電話 | 0466-87-1443 |
設立 | 1972年11月 |
従業員数 | 23人(パート含む) |
事業内容 | 建築工事、土木工事、アスベスト処理など環境配慮工事 |