アパート・マンション経営を始めるときの注意点 収支の「予定表」を作る際の5つのポイント
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(本記事は、東京シティ税理士事務所(著者)、山端 康幸氏(編集)の『【改訂新版】個人事業ではじめる アパート・マンション経営がぜんぶわかる本』=あさ出版、2023年4月25日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

◆今、重視するべきは「収益性」

かつて、アパート・マンション経営といえば、地主さんが相続税・固定資産税を抑えるために行うのが一般的でした。

税金対策に目を奪われるあまり、「収益」については、二の次になっていたのが現実でした。

また、賃貸物件が少ない時代には、大家さんの立場が強いこともあり、「借り手」への配慮が足りなかったといえます。

ところが、建物が増え、競争が激しくなれば、「借り手」への配慮が足りない賃貸住宅は当然「空室」となってしまいます。

これからの賃貸経営では、「税金対策」だけの意識を捨て、「借り手=大切なお客様=収益につながる」という考えに転換できなければ、厳しくなっていくでしょう。

大家さんというと、むずかしくないように思えますが、実際には、お客様からお金をいただいて賃貸住宅を経営する立派な経営者。

アパート・マンションを建てれば満室になるような貸手優位の時代はすぎました。

これからは、お客様を満足させ、自身もしっかり儲ける。こういった「経営者」としての視点をしっかり持つことが重要です。

◆確実に儲けるための計画をしっかり立てましょう

「収益性」の重要性を理解していただけたら、次は、事業計画を立てることが大切です。

何千万、場合によっては何億円もの投資をするのですから、「なんとなく」始めてはいけません。

まずは、「損益」と「資金繰り」について考えていきましょう。

といっても、むずかしく捉えないでください。要は、「損益」は「何にお金がかかり(マイナス面)、どうすれば儲けが出るか(プラス面)」を考えることですし、「資金繰り」は、「手持ちのお金(自己資金)と借入したお金で、どうやりくりしていくか?」ということ。

いずれも、収入と支出のバランスを考えることですから、主婦の方が家計をやりくりすることと大差はありません。

◆損益予定表と資金繰り予定表を作ってみましょう

「何に、どれくらいお金がかかるのか?」「家賃からの儲けはどのくらいあるのか?」これらの収支を考えるためには、表(損益予定表)を作ると、すっきりわかりやすくなります。

さらに、アパート・マンション経営の場合、多額の初期費用がかかることもあり、借入(借金)をすることがふつうです。毎月の収入と借金返済の予定を立てていきます(=資金繰り予定表)。

くれぐれも「赤字」にならないよう、しっかりと「儲け」が出る予定表を作りましょう。予定表作成のポイントは、次の5つです。

①アパート・マンションにかかる建築コスト
②建築コストの調達方法(自己資金か、借入か)
③借入の場合の返済計画(何年間で返済するのか、利息は何%か)
④敷金・礼金・毎月の家賃(どれくらいの収入が見込めるか)
⑤管理手数料、修繕費、税金、光熱費等の諸経費(どのくらいの支出がありそうか)

1つも漏れのないように気をつけましょう。

【改訂新版】個人事業ではじめる アパート・マンション経営がぜんぶわかる本
【著者】東京シティ税理士事務所
税理士法人。1981年、山端康幸税理士事務所として個人事業スタート。2002年、税理士法人東京シティ税理士事務所に組織変更。“中小企業の税務会計”と“不動産・相続の税務”の2つの得意分野を持ち、所属税理士はすべて相続税・不動産税務のプロフェッショナルと自負している。
【編者】山端康幸(やまはた・やすゆき)
税理士法人東京シティ税理士事務所代表税理士
土地活用や相続税対策に関する不動産税務を専門とする。不動産税務専門税理士として40年の経験を有する。クライアントもアパート・マンション経営者が多く長期的な資産活用の税務コンサルタントを業務としている。
明治大学リバティアカデミー講師・全国宅地建物取引業協会講師・不動産コンサルティング協議会講師・賃貸不動産経営管理士協議会講師などを歴任、その他新聞社など主催のセミナーを数多く行う。
著書に『<新版>らくらく個人事業開業のすべてがわかる本』『<新版>相続の手続きと節税がぜんぶわかる本』(共著、あさ出版)など多数。

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