総務省は6月27日、ふるさと納税の運用見直しの内容を明らかにした。このなかに、「精米・熟成肉の返礼品は地方団体が属する都道府県産に限る」との内容が盛り込まれている。
近年、ふるさと納税の返礼品の競争激化を受け、総務省は運用方法の見直しを行ってきた。地方団体がふるさと納税を導入する場合、現在は国が定めた基準を満たし総務大臣からの指定を受ける必要がある。毎年この時期に運用を見直し、7月から地方団体の申請受付を開始する運び。見直し内容の適用期間は1年間で、2023年10月~2024年9月となっている。
今回改正されるのは、基準のうちの一つである「地場産品基準」。
これまでは、〈1〉当該地方団体の区域内で生産されたもの、〈2〉区域内で返礼品などの原材料の主要な部分が生産されているもの、〈3〉区域内で製造・加工などの主要な工程を行うことで、相応の付加価値が生じているもの――など5つの項目を設けており、いずれかをクリアしていれば地場産品として認められていた。
そのため、従来は新潟コシヒカリを都内で精米(加工)し、東京都の返礼品とすることも可能だった。総務省自治税務局市町村税課によると「新潟コシヒカリを県外の自治体が精米だけして返礼品としていたり、全国銘柄食べ比べセットと謳って様々な産地から寄せ集めた返礼品があったりと、とても地場産品とは呼べないケースが多かった。精米という工程は加工度が低く、精米をするだけで付加価値を向上したとは言い難い」とする。
熟成肉の場合も外国産の肉を輸入して地方団体で寝かせるだけなどの例が多く、まずは米と熟成肉で見直しを行うこととした。今回は産地を地方団体の区域内に限定せず「地方団体が属する都道府県内であれば良し」としているため、例えば南魚沼市で生産したコシヒカリを新潟市が返礼品とすることは可能だ。
また、ブレンド米については「そもそも安価をウリにして、複数の産地を集めたブレンド米は返礼品として認めていない」とした上で、「こだわりを持ってブレンドし、高付加価値をつけた返礼品だとはっきり分かるものであれば個別に認める場合もある」とした。なお、「生産」が区域内であれば、「精米などの加工」は区域外であっても良いとのことだ。
〈米麦日報2023年6月29日付〉