部下のモチベーションを落とさない「賢い指摘の仕方」
(画像=JacobLund/stock.adobe.com)

(本記事は、吉田 幸弘氏の著書『共感されるリーダーの声かけ 言い換え図鑑』=ぱる出版、2023年6月24日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

部下のモチベーションを落とさずに指摘したい場合

共感されるリーダーの声かけ 言い換え図鑑
(画像=『共感されるリーダーの声かけ 言い換え図鑑』より)

2つは同じ内容を伝えていますが、言われた側の捉え方は大きく変わります。

NGの言い方では「予算を考えると難しいから、一応効率的と言っているだけかな」という印象を部下に与えてしまいます。

一方、OKの言い方だと「予算の問題はあるけど、上司も賛同してくれたんだな」と部下も思います。

もう1つ例を挙げていきます。「大口顧客A社との契約も締結して素晴らしいね。ただ、ミスが増えているから注意して」。

このように、褒められてから叱られると、「ミスを注意して」という内容が頭の中に残ります。形式上褒めておいた感が強くなります。

一方で、叱られてから褒められるとどうでしょうか。

「最近、ミスが増えているから注意して。大口顧客A社との契約も締結して素晴らしいのだから」。

ミスを指摘されたけど、大口顧客受注を褒めてもらったという印象の方が強く残りませんか。

親近効果といって、最後の言葉の印象は強く残りやすいものです。

ですから、「褒めてから叱る」より「叱ってから褒める」にしましょう。

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吉田 幸弘(よしだ・ゆきひろ)
リフレッシュコミュニケーションズ代表
コミュニケーションデザイナー・人材育成コンサルタント・リーダー向けコーチ

成城大学卒業後、大手旅行会社を経て学校法人へ転職。1年間で70件以上の新規開拓をし、広報リーダーになるも、「怒ってばかりの不器用なコミュニケーション」でチームをガタガタにしてしまう。その結果、職場を去らなければならない羽目になり、外資系専門商社に転職。 転職後も、周囲のメンバーとうまくコミュニケーションが取れず、降格人事を経験し、クビ寸前の状態になる。その後、異動先で出会った上司より「伝え方」の大切さを教わり、ポイントを絞ってわかりやすく伝える方法を駆使し、営業成績を劇的に改善。5か月連続営業成績トップになり、マネジャーに再昇格。コーチングの手法を用いた「部下を承認するマネジメント」及び中国古典をベースにした「ストレス耐性力アップ術」により、離職率をそれまでの10分の1にし、売上も前年比20%増を続け、3年連続MVPに選ばれる。そして、社外でもコンサルタントとして活動し、クライアント数が増えてきたため、2011年1月に独立。
現在は経営者・中間管理職向けに、人材育成、チームビルディング、売上改善の方法を中心としたコンサルティング活動を行い、累計受講者数は3万人を超える。「管理職研修」をはじめ、「営業力アップセミナー」「褒め方・叱り方・伝え方をベースにしたコミュニケーションセミナー」「モチベーションアップセミナー」「アンガーマネジメントの理論をベースにした感情マネジメントセミナー」「リーダーの総合力をアップするリーダー塾」などを主催。
著書に、ロングセラーとなっている『リーダーの一流、二流、三流』(明日香出版社)などがある。

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