医者が教える 心と体が本当に整う サウナ習慣
(画像=PacoSinisterra/stock.adobe.com)

(本記事は、小林 弘幸氏の著書『医者が教える 心と体が本当に整う サウナ習慣』=Gakken、2023年3月23日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

サウナ中に実践しよう!小林式「3・6呼吸法」

みなさんは、サウナに入っているときに呼吸が浅くなったり、ときどき呼吸を止めてしまったりしていませんか?また、水風呂に入っているときも呼吸を止めていませんか?

サウナ中、呼吸が浅くなったり、止めてしまうのはNGです。

サウナや水風呂に入っているときこそ、呼吸を意識して、大きくゆっくりと息を吸う、吐く・・・・・・をくり返す習慣を身につけてください。

その理由は、やはり自律神経にあります。

これまで解説してきたとおり、自律神経は私たちの意志によって筋肉などを動かすことができる神経とは異なり、その意志とは関係なく、無意識下で働き続けている神経です。

意識とは関係なく働く自律神経のおかげで、私たちは睡眠中であっても呼吸が止まらず、心臓などの臓器も働き続けることができます。

しかし、自律神経には、呼吸の影響を受けやすいという特徴があります。

たとえば、緊張したり、不安を感じたりすると呼吸が浅くなって胸がドキドキしますが、深呼吸すると落ち着いて、早くなった鼓動を鎮めることができます。

これは緊張感や不安感によって交感神経が強く働いたときに、意識的に深呼吸をすることで副交感神経の働きを強化して、交感神経の働きを抑えているのです。

つまり、呼吸によって自律神経をコントロールしているというわけです。

サウナによって「血管の筋トレ」をするためには、自律神経に刺激を与える必要がありますが、呼吸が浅くなったり、止めてしまうと、自律神経の働きが低下してしまいます。

サウナでも、水風呂でも、大きくゆっくりと呼吸するように心がけてください。

また、ぜひサウナ中にみなさんに実践していただきたい呼吸法があります。

その呼吸法とは、小林式「3・6呼吸法」です。やり方はとても簡単です。

まずは3秒間、鼻から大きくゆっくりと息を吸ってください。このとき、肺が大きくふくらんでいる感覚をしっかり意識しましょう。次は、6秒かけて口からゆっくりと息を吐きます。 吐くときには、肺がギューッと縮む感覚を意識してください。 サウナや水風呂に入りながら、大きくゆっくりと「息を3秒吸う、6秒吐く」をくり返すだけでOKです。

私自身、毎日サウナでこの「3・6呼吸法」を実践しています。

その目的は、ひとつは自律神経のバランスを整えて、その働きを向上させるためです。サウナや水風呂によって自律神経に適度な刺激を与えながらそのバランスも整えることで、血液の流れを促し、血管の筋トレ効果を高めます。

もうひとつは、「呼吸筋」を鍛えるためです。 呼吸する臓器は肺ですが、肺は自分だけの力でふくらんだり、縮んだりすることはできません。呼吸筋と呼ばれる肺の周囲にある筋肉が、呼吸のたびに上下する 横隔膜(おうかくまく) とともに肺を収納している 胸郭(きょうかく) を動かすことで、肺はふくらんだり、縮んだりします。

しかし、通常時の呼吸では、この呼吸筋がダイナミックに動くことがないため、 その筋力が衰えてしまい、呼吸が浅くなって酸素量が減少し、息切れしやすくなってしまいます。

サウナの中で「3・6呼吸法」を実践することで、自律神経のバランスを整えるだけでなく、しっかり呼吸筋も鍛えましょう。

医者が教える 心と体が本当に整う サウナ習慣
(画像=『医者が教える 心と体が本当に整う サウナ習慣』より)
医者が教える 心と体が本当に整う サウナ習慣
小林 弘幸
1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部教授。1992年、順天堂大学大学院医学研究科博士課程修了後、ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科を経て、順天堂大学小児外科学講師・助教授を歴任。
日本スポーツ協会公認のスポーツドクターでもあり、自律神経のバランスを意識的にコントロールすることで、心身のパワーを最大限発揮できることを提案。数多くのトップアスリートのコンディショニング、パフォーマンスの向上指導にかかわっている。自律神経研究の第一人者であり、書籍も多数刊行している。

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