(本記事は、西原 大貴氏の著書『「自分の可能性」を広げる リフレクションの技術』=日本実業出版社、2023年3月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
「ご縁」に気づき、コネクションを築く
すでにある「ご縁」
第2章でもお伝えした通り、自分自身が持つ関係性が自分自身の存在を定義しています。最新の科学でも本質的に同様の発見がされています。観察するから(観察者が対象と関係性を持つから)、あらゆる物質は存在を確認できるのです。「すべての存在は関係性によって成り立つ」とは、この世界の科学的な解釈です。
すべての関係性は絶対的なものではありません。刻一刻と刹那に変化し諸行無常です。
現状のあらゆる関係性に不満を持つ人も多いかと思います。しかし、その不満のある現状も絶対的ではありません。自分が刻々と選ぶ関係性によって、常に変化し続けていきます。不満のある今に囚われる必要はありません。不満のある今も、刻々と自分が選ぶ新しい関係性によって変化をし続けます。どのような関係性が必要かと選ぶのも自分次第です。
日本ではこの関係性を「ご縁」と言い、人との関係性を大切にするように育てられます。仏教における縁起の思想が私たちの生活に浸透しているのが背景です。
自分の存在を定義する関係性・ご縁とは、自分自身が存在するようにすでに存在するものです。普段はあまり意識することはないかもしれませんが、すでにあるのが関係性です。意識せず見失っていることも多いですが、気づけばそこにあるのがご縁です。
「コネクション」が可能性を広げる
ご縁は英語で「コネクション」という意味でもあります。日本ではコネと短縮して使われたり、縁故と同じ意味で使われることが多いと思います。
どちらかと言うと、不平等、不正、卑怯、裏でずる賢い方法で他人を出し抜くといったイメージがあります。そして、日本人が大切にする平等・公正で正々堂々とした行動ではなく、ほめられた行動ではないといった認識があるように思います。
日本では否定的に捉えられるコネですが、アメリカではコネの語源であるコネクションは、お金だけでは買えない貴重な無形資産、人生の必需品、大きな武器だと認識されています。
コネクションはネットワークやコミュニティと比べても、より強い肯定的な言葉として利用されています。あらゆる人生の局面で遠慮なく、積極的に活用されています。会社や製品・サービス名の一部としてもよく採用されています。持っているコネクションは使うべき、必要なコネクションがないなら、今あるコネクションをたどって探すべき・作るべきと多くのアメリカ人は合理的・論理的に考えます。
私自身のグローバルキャリアもコネクションによって築けました。メンターとして師事していたお客様の樋口英雄さんとコネクションを築いていたことが、アメリカ駐在のきっかけになりました。序章でも紹介したトッド・カートリーさんと築いたコネクションが、私のアメリカ本社転籍、アメリカ永住につながりました。
アメリカに移住してからも、公私にわたりいろいろな方々とコネクションを作り、コネクションを広げ、コネクションに頼って米国本社で10年間生き残ることができました。おかげさまで、日本にずっといたとしたら考えられない、劇的な生活の質の向上を実現しています。
私とのコネクションについて、トッドさんはこのように伝えてくれました。
「コミュニケーション(英語だけでなく、ビジネスに必要な要点を抑えた会話)ができて、お客様中心の姿勢という価値観が同じで、誰よりもアグレッシブだった。そして、実際にお客様に評価され仕事上の実績を出している社員の1人だった。可能性を信じたからこそ、信頼してコネクションを作った」コネクションは正々堂々としていない卑怯者が使うモノという考え方は、自分の可能性に挑戦するには捨てるべき思い込みの1つです。使えるコネクションのない現状を憂うのではなく、正々堂々と自らの目的の手段の1つとして、自らの意思でコネクションを作り、コネクションを広げ、コネクションに頼ることが戦略的で合理的です。
コネクションは、自分の可能性を発揮する力になります。心から望む自分らしさを実現している、心から望む自分らしいコネクションに意識を向けましょう。
今あるご縁に気づき感謝する。ご縁をつなげ広げる。ご縁を信じ頼る。ご縁に報いることで、心から望む自分らしいコネクションは築けます。
▼未自分の可能性を広げるリフレクション
ご縁
- 現在のあなたを定義する存在とは何でしょうか?
- これからのあなたの人生にとって、心から大切な存在とは何でしょうか?
- 一切の制約がなければ、どのような人とどのような関係を作りたいですか?
京都生まれ京都育ち。米国に移住して14年目。シカゴ、ロサンゼルスを経て現在はダラス近郊に在住。晶子(アキコ)の夫。大朗(タロウ)15歳と花菜子(ハナコ)11歳の父。
立命館大学経営学部卒業、Bond-BBT MBA中退、MBA Executive Leadership Programs (Harvard,Boston,MIT)修了、米国認知科学会員、日本認知科学会員。
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