敵は「できるわけがない」という思い込み フルマラソンは誰でも完走できる!
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(本記事は、西原 大貴氏の著書『「自分の可能性」を広げる リフレクションの技術』=日本実業出版社、2023年3月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

自分の可能性への挑戦

知らないことはそもそも見えない

人は自分が知らないこと、自分が経験していないことは、難しいことだと考えがちです。あなたも小学生のときには、中学生の勉強ができるとは想像できなかったと思います。自転車に乗るなど今は当たり前のようにやっていることも、何度も無理だと思ったことがあったはずです。そして、あなたが今得意にしているさまざまなことも、経験のない人にとってはとても難しいことなのです。

これは、知識や経験がないことはそもそも見えない、盲点にして見ないという脳の仕組みです。

私はフルマラソンを8回完走しています。1年間の予定でシカゴに赴任した際、貴重な機会を最大限活かすために、「誘われたら断らない(先着順)」を自分との約束事に決めていました。そして、会社のHappy Hour宴会でマラソン・マニアの英国人と友達になり、「シカゴにいるなら国際メジャーの1つであるシカゴ・マラソンを走るべきだ、一緒にやらないか?」と言われたのです。

お客様の期待を超えて毎晩呑んだくれるのが営業だと不摂生の毎日を過ごしていた日々、フルマラソンなんか走りたいと一度も考えたことはなく、到底自分にはできるとも思いませんでした。

数日悩みましたが、やはり「誘われたら断らない(先着順)」は守ろうと思いました。完走を目標とするのでなく、参加することに意義があると言い聞かせ、無理矢理申し込みをしました。

そして、無謀な挑戦を慣れない英会話のネタにし尽くしたことも功を奏して、無謀な挑戦をする自分こそ自分らしいと思うようになりました。マラソンマニアの友人がコーチとして日々の練習や当日も最後まで伴走してくれたのも、あきらめない大きな力になりました。

結果的には途中から歩いたものの無事ゴールにたどり着き、大きな達成感を得ることができました。そしてその後、毎年一度フルマラソンを走ると決めて8年間継続することができたのです。

この経験から私が気づいたのは、体の故障や体の重さなどの身体的なハンデがない限り、「ほぼ誰でもフルマラソンは完走可能」という客観的な事実です。フルマラソンを走ったことがない人が思うほど、フルマラソンを走ることは大したことではないのです。

走ることはストイックに自分を追い込むこと、しんどい、辛いこと。自分を含めた一般人にはマラソンは無理だという強い私の固定観念は大きな錯覚であり思い込みでした。

フルマラソンに関する知識がなく、自分の中で盲点にして見ないことにしていただけだったのです。フルマラソンを完走するには、雑談ができるぐらいの心拍数を保てるとても遅いスピードを、ゆるゆると、ひたすら走ります。その遅いペースのジョギングを科学的に証明されたプログラムに従い週に4回ほどを継続できれば、最初は1〜3kmぐらいしか走り続けられなかったのが、数か月すれば20kmは当たり前に走り続けられ、少し無理をすれば30kmほど走れるようになります。そこまでになると、レース当日には42.195kmを完遂することができます。実際にやってみたら、知らなかったときに思っていたほど大したことではなかったのです。

あなたはまだ知らないだけ

あなたが心から望む、あなたの世界への挑戦も、私のマラソンでの経験と同じです。私がフルマラソンを走れるようになったように、必要なのは知らず知らず植えつけた「できるわけがない」という思い込みを捨てることです。

明確な目的を持ち、科学的に研究され実績のあるアプローチに従い、途中であきらめないように支えてくれる家族・仲間・コーチとともに取り組む。そうすれば、「あなたが心から望む、あなたの世界への挑戦」は実現します。

今、多くの人が、社会の閉塞感から脱出する策を探しているように見えます。強い同調圧力、多様性への不寛容さ、目的意識を見失った前例主義、リーダーシップがないことによる低い生産性などが増幅し、生きづらさを感じます。

「自分にはできるとは思えない」
「身近にロールモデルがいない」
「そんなことできるわけがないと言われた」

そのようなセルフトークを繰り返し、自分の可能性に挑戦することをあきらめる人は少なくありません。そんなあなたも「フルマラソンは無理だ」と思い込んでいた私と同じです。これは脳の仕組みから断言できます。あなたのすべての不安は知識不足の思い込みでしかありません。

あなたにもできるということを、あなたはまだ知らないだけです

▼自分の可能性を広げるリフレクション

不安に打ち勝つ

  • あなたの可能性への挑戦とは?
  • 何が不安なのでしょうか?
  • 不安を克服したあなたが見ている景色とは?
「自分の可能性」を広げる リフレクションの技術
西原 大貴(にしはら・ひろき)
リフレクター、リーダーシップ・コーチ、浄土真宗僧侶見習い。Mononofu LLC Owner。SCデジタルメディア株式会社エグゼクティブ・コーチ。コシキ・バリューハブ株式会社未来デザイン研究所プリンシパル・コーチ。株式会社安田顧問。Rakugo Association of America理事。2023年に浄土真宗本願寺で得度を予定。「脳と心」をよりよく使うリフレクションの実践により、日本IBMの落ちこぼれ社員から米IBM本社のグローバル・リーダーへ自己変革を遂げた経験を持つ。日本と米国IBMでの自己変革の経験、認知科学と最先端のコーチング理論、そして仏教哲学の学びを基に独自の「コグニティブ・リーダーシップ・プログラム」を開発し展開中。リーダーや組織が本来のパフォーマンスを発揮することを支える。また、リーダーシップ・コミュニティー「Global Challengerのすすめ」を主宰。IBM Corporation、日本IBM、トヨタ、PWC、Cisco、富士通、マイクロソフト、パナソニック、SMBC、五鈴精工硝子、GVT、本願寺などの組織から参加する100名規模のコミュニティーで、自分自身と仲間にリーダーシップを発揮して、笑顔で挑戦し応援しあう社会を作る仲間を広げている。
京都生まれ京都育ち。米国に移住して14年目。シカゴ、ロサンゼルスを経て現在はダラス近郊に在住。晶子(アキコ)の夫。大朗(タロウ)15歳と花菜子(ハナコ)11歳の父。
立命館大学経営学部卒業、Bond-BBT MBA中退、MBA Executive Leadership Programs (Harvard,Boston,MIT)修了、米国認知科学会員、日本認知科学会員。

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