(本記事は、西原 大貴氏の著書『「自分の可能性」を広げる リフレクションの技術』=日本実業出版社、2023年3月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
10Xの発想
私はIBMの第一線の法人営業として20年以上勤めました。100年以上続く歴史と伝統のあるIBMでは、毎年の市場の成長率を基に対前年比10〜20%といった営業目標が与えられていました。そして、年初に営業目標を達成するための計画を立案し、四半期ごとに進捗を確認するという厳格なプロセスを遂行していました。
「与えられた目標が絶対であり、この年間を通じたプロセスが確実な成果を生むのだ」と当たり前に取り組んでいました。過去の実績に基づいて現状をシビアに理解し、確実に積み上げる現実的な将来設計のプロセスに取り組んでいたのです。
一方で、GoogleやAmazonなどのデジタル・ジャイアント企業ではまったく違う未来志向のプロセスがあると知り、驚愕しました。不確実な未来を、過去の実績から予測するのではない「10X (テンエックス)の発想」です。
目標を、とりあえず現状を超える過去実績の10倍を設定して、実現方法は最初はわからなくても、どうすれば実現できるのかを真剣に考えることが企業文化に浸透しています。
10Xの結果を出せるかどうかよりも、10Xの結果を出すために何ができるのかを考え抜くのです。そして、結果だけではなく、10Xの目標に挑戦することを評価します。挑戦による失敗すら評価する文化です。
10Xの発想は、圧倒的な結果につながる「見たいものは見える脳」の、よりよい使い方です。見ないことにしている99.9%以上の視界に可能性を見つける技術です。10Xを実現する方法があると知って取り組めば、99.9%以上を見ないことにしている視界から脳は手段を見つけるのです。
10Xを目指すから、対前年比10〜20%といった視界では見えない手段が見えてきます。あると知って探すから見える。10Xを実現につながる手段や、少なくとも2〜9Xの成果を出す手段には気づけるのです。
「恐れるぐらいの夢じゃないと、夢とは言わない」
モハメド・アリがよく言っていた有名な言葉です。あなたの夢、ゴールは恐れるぐらい大きな夢、ゴールでしょうか?
▼自分の可能性を広げるリフレクション
10X
- 心から望む「10Xな目標」を「Circles of Vision」に書きましょう。
- どうすれば実現できるかと真剣に向き合ってください。
- 実現している自分を臨場感高く想像してみましょう。
京都生まれ京都育ち。米国に移住して14年目。シカゴ、ロサンゼルスを経て現在はダラス近郊に在住。晶子(アキコ)の夫。大朗(タロウ)15歳と花菜子(ハナコ)11歳の父。
立命館大学経営学部卒業、Bond-BBT MBA中退、MBA Executive Leadership Programs (Harvard,Boston,MIT)修了、米国認知科学会員、日本認知科学会員。
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