アファメーションとは? 自分らしく生きていくための7つの注意点
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(本記事は、西原 大貴氏の著書『「自分の可能性」を広げる リフレクションの技術』=日本実業出版社、2023年3月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

心から望む自分らしさを言語化する

無意識に作った自分らしさに意識的に介入して変化をもたらす決定的な技術が「アファメーション」、自己宣言です。

アファメーションとは、無意識に意識的に介入する技術です。心から望む自分らしさを言語化し、言語化したアファメーションを日々意識的にリフレクションする方法論です。アファメーションの日々の実践により、心から望む自分らしさを無意識の自分らしさとして同化させることができます

脳は言語を読むと無意識に映像化して、映像化された姿に感情を抱きます。言語、映像、感情という要因が、無意識にある記憶に強い影響を与え、自分らしさを作るのです。

自分の可能性を最高に発揮している姿をリフレクションして、言語化してください。怖いぐらいに現状を超え、心からやりたいことを、やり尽くしている自分を、多面的にリフレクションしてみましょう。

アファメーションの実践

アファメーションを作成して実践するには注意事項があります。以下の7点です。

① 個人的、主体的な文章にする

関係性によって成り立っている世界において、自分がコントロールできるのは、自分のプロセスだけです。自分が主体的に行動できる内容を文章化しましょう

×「妻に」尊敬されている
◎「私は」妻を愛している

② 他人の評価を含まない

心から望む自分らしさを手に入れたあなたは、他人の評価を気にしますか?

他人ではなく自分自身の評価を基準にしているはずです。他人にどう思われたい、他人よりも優れていたいなど、他人の決める基準に依存していません。自分が決める心から望む自分らしさを文章化しましょう

× インスタ映えするような国に旅行している
◎ 新しい出会いと感動のあるさまざまな国を旅行している

③ 意識を向けたい肯定文で書く

「レモンを思い浮かべないでください」伝えられても、レモンが思い浮かび、口に唾液が出そうになります。否定したいイメージにも脳は反応してしまいます。「過去に囚われたなりたくない自分らしさ」ではなく、「心から望む自分らしさ」を文章化しましょう

× 病気知らずでいる
◎ 心と身体の健康に感謝している

④ 実現している自分を現在進行形・現在完了形で表す

「○○をしたい」などの願望を描くと、過去に囚われた脳はどうしても「でもな……」と失敗などの過去の経験に意識が向いてしまいます。「○○している」「○○になっている」など現在進行形、現在完了形により、過去に囚われた脳の介入を排除しましょう

× 大金持ちになりたい
◎ 提供する高い価値に見合う大きな収入を得ている

⑤ 感情(うれしい・楽しい・誇らしい・気持ちいい・穏やか)を含める

脳は自動的に言葉を映像化して、感情とともに記憶します。心から望む自分らしさを想像して、あらゆることを実現しているときの感情を含めた言語化が、脳への同化を加速します

△ 本を出版している
◎ 本の出版を通じて自分の学びを共有できていることが心からうれしい

⑥ 臨場感と精度を日々高める

アファメーションした自分らしさに臨場感を感じることで、脳はアファメーションした内容を同化していきます。毎日何度でもアファメーションで言語化した、心から望む自分らしさに意識を向ける時間を作りましょう。また、日々刻々と世界は変化していきます。言語化したアファメーションにこだわることなく、日々内容を精査して自分らしさを高めていきましょう。少しでも違和感を感じるのであれば、躊躇なく変更しましょう。

× 男に二言はない。初志貫徹
◎ 朝令暮改

⑦ ドリームキラーには教えない

「夢を語ると実現する」のは脳の仕組みからも一理あります。心から応援し合える仲間にあなたのアファメーションを伝えることは意味があります。

一方で、人に伝えることには大きなデメリットがあります。「ドリームキラー」の存在です。「見たいものしか見ない脳」を持つ私たちは、自分が見てきた視界で人の夢も判断してしまいます。残念ながら、悪気がなくてもドリームキラーになってしまう人がほとんどです。人の夢を「現実味がない、前例がない、危険、意味がない」と判断してしまうのです。特に親や家族、権威を感じる人(先生など)には注意してください。アファメーションは自分だけのものです。他人に教える必要はまったくありません。アファメーションの内容は、100%肯定してくれる人にのみ共有してください

また、特に注意してほしいのが「善意のドリームキラー」です。あなたのことを思い、心から「よかれと思って」夢への挑戦をあきらめさせようとするからです。代表的な存在は親です。そして、他にも権威のある教師や上司なども善意の「ドリームキラー」になり得ます。

ある人はキャリアインタビューで、現実離れしたタイムラインでの将来の希望を尊敬する上司に伝えたそうです。尊敬する上司は、経験と善意からより現実的なタイムラインを指導してくれました。そして、彼女は尊敬する上司から教わった現実的なタイムラインで、将来の希望を叶えることができました。尊敬する上司があらゆる観点で、希望を叶えるために指導や支援をしてくれたと、彼女は尊敬する上司に心から感謝をしています。

これはとても素晴らしい成功事例です。しかし、もし尊敬する上司が脳と心の仕組みを知っていて、現実離れしたタイムラインであっても応援してくれていたらどうなったでしょうか?

当然より多くの挫折も失敗も経験することにはなるでしょう。しかし彼女には、もっと早く希望を叶えることができた可能性もあったのです。

× 権威に盲目的に従い、前例をならう
◎ 自分の直感を大切にして、自分の可能性を守る

参考として、私のアファメーションのサンプルを共有します。「Circles of Vision」というフレームに、多面的な本来の自分らしさを文章で記したものです。より具体的な数々のアファメーションを、大切にしたい領域ごとに抽象的にまとめたものです。

あなたのアファメーションを作成する際の参考になれば幸いです。

「自分の可能性」を広げる リフレクションの技術
西原 大貴(にしはら・ひろき)
リフレクター、リーダーシップ・コーチ、浄土真宗僧侶見習い。Mononofu LLC Owner。SCデジタルメディア株式会社エグゼクティブ・コーチ。コシキ・バリューハブ株式会社未来デザイン研究所プリンシパル・コーチ。株式会社安田顧問。Rakugo Association of America理事。2023年に浄土真宗本願寺で得度を予定。「脳と心」をよりよく使うリフレクションの実践により、日本IBMの落ちこぼれ社員から米IBM本社のグローバル・リーダーへ自己変革を遂げた経験を持つ。日本と米国IBMでの自己変革の経験、認知科学と最先端のコーチング理論、そして仏教哲学の学びを基に独自の「コグニティブ・リーダーシップ・プログラム」を開発し展開中。リーダーや組織が本来のパフォーマンスを発揮することを支える。また、リーダーシップ・コミュニティー「Global Challengerのすすめ」を主宰。IBM Corporation、日本IBM、トヨタ、PWC、Cisco、富士通、マイクロソフト、パナソニック、SMBC、五鈴精工硝子、GVT、本願寺などの組織から参加する100名規模のコミュニティーで、自分自身と仲間にリーダーシップを発揮して、笑顔で挑戦し応援しあう社会を作る仲間を広げている。
京都生まれ京都育ち。米国に移住して14年目。シカゴ、ロサンゼルスを経て現在はダラス近郊に在住。晶子(アキコ)の夫。大朗(タロウ)15歳と花菜子(ハナコ)11歳の父。
立命館大学経営学部卒業、Bond-BBT MBA中退、MBA Executive Leadership Programs (Harvard,Boston,MIT)修了、米国認知科学会員、日本認知科学会員。

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