ソフトバンクの子会社・ヘルスケアテクノロジーズは、全国の働く男女1200人を対象に「五月病に関する意識調査」を行い、結果をもとに「“五月病対策”から考える、企業の健康経営の未来」についてセミナーを開催した。
ヘルスケアテクノロジーズは、24時間365日リアルタイムで医療関係者との健康医療相談や、土日・夜間も対応のオンライン診療が特長のヘルスケアアプリ「HELPO」を2020年から展開している。労働人口が減少し、医療費が膨らむなか、次世代に向けた取り組みが必要との観点から、法人企業・自治体の福利厚生のひとつとして提供。さらに昨年12月からは、個人向けサービスも展開している。
同社の鴻池大介CSOは、「医師、看護師、薬剤師を当社社員として抱えたうえでユーザーをフォローしていくプラットフォームとなっている。あえてコストは一旦度外視した」と「HELPO」の特徴を挙げ、正確性を担保したサービスを強調する。鴻池CSOが課題と考えるのは、コロナ禍でリモートワークが増えたことで、ここ数年は話題にされることが少なかった「五月病」についてだ。オフィスに社員が戻り始めたことでワード検索数も上昇するようになったという。
同社 ヘルスケアビジネス本部 ヘルスケアコンサルティング部の医師・加藤卓浩氏は、「五月病とは、新年度からおおよそ1ヵ月が経過して緊張や疲れがピークに達した結果、5月の連休後あたりに心身にさまざまな不調を感じること。多くは、憂鬱になる、なんとなく体調が悪い、会社に行きたくないなど軽いうつ的な気分に見舞われるものだが、医学的な観点から言えば、五月病という名前の病気、疾病はない」と話す。
しかし、調査では「あなたは五月病になったことがあるか」という質問に対して、22.8%が「確かにある」、32.8%が「あると思う」と回答し、5割以上の人が五月病になったことがあると自覚していることが明らかになった。
さらに、「五月病は深刻な病気だと思うか」という質問では、「とてもそう思う(14.2%)」、「ややそう思う(46.9%)」という結果に。6割以上の人が五月病は深刻だと考えていることがわかる。
コロナ禍のころに比べて対人関係が増えることが予想される今年は、「五月病の原因を正しく理解して対応していくことが特に重要」だと話す加藤氏は、企業が率先して予防に取り組む必要性を指摘した。実際、五月病が原因で休職や退職に至った人はそれぞれ約3割にものぼることが調査で判明している。特に20代は約4割と、他の世代と10%ほど差をつける結果に。
また、所属する会社や組織が「五月病対策を実施している」と答えた人は、わずか2割という残念な結果も示された。
同社 ヘルスケアビジネス本部の看護師・松尾祐吾氏は、五月病になりやすい人の特徴として「すごく真面目な人や責任感が強い人が多いので、『まあ耐えればいい』と考えてしまうと、なかなかオープンにできなかったり、自覚しにくい人もいる」と話す。五月病を防ぐために人事や組織ができることとして、連休前のケアが必要だと強調した。「周囲の人間が気づいてケアしてあげる、あるいはケアするように促してあげるということが非常に重要になる。連休前から業務量と、それにかかる精神的な負荷を調整していく必要が出てくるのでは。『何が必要なの?』と現場では言われるのだが、日ごろからコミュニケーションをとって、その人のどういう状態が普通の状態=健康でいられる状態なのかをきちんと把握しておく必要がある」という。
五月病で有能な人材が本来のチカラを発揮できないことは、会社にとっても痛手となる。大型連休前から企業側が積極的に対策していく必要がありそうだ。
「HELPO」詳細ページ=https://healthcare-tech.co.jp/service/